2015年12月31日木曜日

新ブログのお知らせ

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MLBフラッシュ / Flash Report on MLB
mlbto.com

MLB考察も引き続き更新を続けていきますのでよろしくお願いします。

2015年12月13日日曜日

2015年ポジション別 守備力ランキング vol.2

vol.2となる今回からはいよいよランキングを紹介していく。今回は外野の守備の要、センターだ。

5位 A.J・ポロック(ダイヤモンドバックス)
大補強でオフの主役になっているダイヤモンドバックスの28歳のセンター。
今季は3割20本30盗塁とブレイクしたが、本来は守備に定評がある選手だ。そのスピードを活かした広い守備範囲で数々の失点を防ぎ、今季はゴールドグラブ賞も獲得した。遅咲きではあるが、走攻守すべてトップクラスと理想的なセンターになりつつある。




4位 フアン・ラガーレス(メッツ)
今季大躍進でリーグチャンピオンに輝いたメッツから守備職人ラガーレスを選出。
お世辞にも打撃力が高いとは言えないが、その守備だけでも彼をセンターで使う価値は大いにある。昨季までと比べて今季は少し守備面で数字を落としはしたが、おそらく来季以降また守備の要として君臨するはずだ。昨季は有識者が選ぶフィールディングバイブル賞も獲得している。



3位 ビリー・ハミルトン(レッズ)
ハミルトンの名前は日本でも知っている人がいるかもしれない。
マイナー記録となる155盗塁を叩き出し、メジャーでも2年連続で50盗塁を記録しているあのハミルトンだ。彼の凄さはなんといってもスピード。リーグ最高峰のスピードを活かしたセンターの守備が凄くないわけがない。打球への反応が少し遅れてもカバーできてしまうため、今後経験を積んで打球反応が向上していけば守備範囲はMLB最高の域に達するだろう。



2位 ロレンゾ・ケイン(ロイヤルズ)
今季のワールドチャンピオン、ロイヤルズからはケインを選出。
野球を始めたのが高校生になってからという変わり種だが、今でも年々技術が向上しており、走攻守すべてでチームに欠かせない選手となっている。その高い身体能力に加え反応も良く、ダイナミックなプレーで観客を沸かせてくれる。



1位 ケビン・キアマイアー(レイズ)
2013年にデビューし、実質的なキャリアはこの2年しかない。しかしこの2年だけで、彼は今のMLBで最高の守備力を持つセンターだと確信を持っていうことができる。今季の彼が残した数字DRS+42は、彼のパフォーマンスがMLB史に残るものだったということを示している。興味があれば是非彼のプレーを見てもらいたい。キアマイアーはまだ25歳。今季はゴールドグラブ賞を受賞したが、あるいはこれから数年にわたってこの賞は彼が独占していくかもしれない。

2015年12月12日土曜日

2015年ポジション別 守備力ランキング vol.1

メジャーリーガーの凄さが一番わかりやすいプレーというのは何だろうか?
バックスクリーンに飛び込む豪快な本塁打、ベースをトップスピードで駆け抜けるランナー、100mphに届く圧倒的な球速、大きく曲がる変化球など色々な意見が出ると思うが、私はメジャーリーガーの守備こそが、なによりも彼らの凄さが一発で知らしめることのできるものだと考えている。
そこで今回は、MLBに興味を持ち出している野球ファンのみなさんに是非知ってもらいたいMLBの守備の名手たちをランキング形式で紹介していく。

その前に、まずは何をもって守備の名手と呼ぶのかについてお話ししなければならないだろう。

守備というものは野球の中でも最も評価の難しいカテゴリーであり、明確な数字として表される打撃と比べても数字で表れる情報が極めて少ない。その中でも最近まで守備を評価する上で多く使われてきたのは守備率だった。算出の仕方はシンプルなもので、守備機会のうちエラー率を引いた割合が守備率となる。例えば守備機会100回の選手がその中で1度だけエラーした場合は、守備率0.99となるわけだ。このデータから読み取れるものは言うまでもなくミスの少なさであり、守備率が高い選手は堅実、低い選手はミスの多い粗い守備という評価になる。
ところがこの守備率には大きな弱点がある。それは守備範囲の広さなどは全く考慮されていないという点だ。守備率0.99のA選手と守備率0.97のB選手を比較した場合Aの方がミスが少ないということは明らかだが、Aの守備範囲が狭く、Bの守備範囲は極めて広いとすると総合的にはBの方が守備貢献度が高いということになる。守備の目的というのはミスをしないことではなくアウトをとることにある、という基本にたちかえるならば、守備率だけを見ていては守備貢献度を図ることは全くできないということがわかるだろう。

そうした中でもなんとか守備を数値で評価することはできないだろうかと考えたセイバーメトリシャンたちは、苦労の末いくつかの守備指標を生み出すことに成功した。そのいくつかある中から今回スポットライトを当てたいのはDRS(守備防御点)だ。DRSはUZR(アルティメット・ゾーン・レイティング)とともに名前が挙がることが多いのだが、投手や捕手も含めてデータが出ているDRSの方を今回は見ていきたいと思う。
DRSのコンセプト自体は単純明快。その年の平均的な選手と比べて何点分の失点を防いだか、あるいは許したのかを数値化していこうというものだ。+5ならば並の選手と比べて5点分を防いだことになるし、ー5ならば5点分多く失点を許したことになる。
このデータは計算式で算出できるものではなく、フィールドをいくつものゾーンに分け、打球の方向、タイプやプレーを記録し、各打球の難易度を設定した上で選手の実際の守備と照らし合わせることで数値化している。非常に高度な分析であり、今なお改良が繰り返されている指標だ。大まかな基準としてはポジションにもよるが+10以上なら優秀、+20以上ならその年トップクラスだと考えていいのではないだろうか。
さて、そこで気になってくるのはこの指標の精度である。上記でも言及したように、今なお改良されている発展途上の指標故に、100%の信頼を置けるものではなく(最も100%信頼できる指標は存在しないが...)現状正しく評価するには3年分のサンプルが必要だと言われている。しかし、正確性にやや難ありだとしても有用な指標であることには間違いなく、DRSの普及によって”実は守備貢献度が高い”、あるいは”実は守備範囲が狭かった”という真の守備力とでもいうべきものが明らかにされている。
その典型が引退したデレク・ジーターで、その華やかなプレーと堅実なグラブ捌きでショートとして5度のゴールドグラブ賞に輝いているが、実際は守備範囲が狭く守備貢献度はかなり低かったことは既に知れ渡っている。

日本の野球ファンの間でも少しずつ知れ渡ってきているこの守備指標は、今や守備を語る上で欠かせないものになりつつある。そこで今回はDRSなどセイバーメトリクスの指標と観客を魅了する魅せる守備の両方の視点をハイブリッドさせ、次回からポジション別に選手を紹介していく。vol.2ではまず、センターの選手のランキングからだ。

vol.2へ続く
http://djokercw.blogspot.jp/2015/12/2015vol2.html

2015年8月13日木曜日

岩隈久志 野茂以来2人目のノーヒットノーラン達成

日本人にとっては受難の年になっている2015年のMLB。その中にあって日本人ファンにとってはこれ以上ない快挙を岩隈久志が成し遂げてくれた。岩隈は日本人としては野茂以来2人目となるノーヒットノーランをオリオールズに対して達成した。9回7奪三振3四球という内容だった。
今季は怪我もあり、現時点でキャリアワーストの被本塁打率を記録するなど正念場となっているのだが、8月に入ってからは非常に安定しておりようやく調子が上がってきたかなという状態だ。ここから調子を上げてFAに向けてその価値を示したいところだ。


2015年7月28日火曜日

ビッグトレード、続々

トレードが最も活気付く7月、今季も優勝争いの図式を塗り替えるビッグトレードが成立した。先日のカズミアーのアストロズへの移籍が今季最初のスター選手のトレードだったが、今回はそれよりもさらに大物が動いた。

まず一つ目はロイヤルズ、レッズ間で成立したこのトレードで動いたスター選手は予想されていた通りジョニー・クエトだ。リーグ1位をひた走るロイヤルズが弱点である先発ローテを補強し、投手陣を万全な状態とした。その見返りとしてレッズが獲得したのは将来有望な3人の左投手、フィネガン、リード、ラムだ。
フィネガンは2014年の全体17位選手だが、その年順調に昇格しプロ1年目にしてメジャーデビューも果たした。今季も開幕こそマイナースタートだったもののすぐに昇格しプレーしている。22歳の彼の魅力は最速98mphの速球なのだが、今はまだ制球面が課題。さらにサイズ不足も懸念されており、体格的にはリリーフ最適なのかもしれない。
リードは2013年に2巡目でドラフト指名された22歳だが、最初の2シーズンを制球難などにより苦しみながら、今季ようやく開花した。今はAAでプレーしており来季以降のメジャーデビュー候補だ。
ラムは2008年の5巡目でドラフト指名された投手だが、怪我などもあり2013年にようやくAAAに到達し今もまだメジャー昇格はなっていない。25歳ともうプロスペクトとしては若くないのだが、90mph前後の速球や右打者に有効なカッターなどを武器にまだまだメジャーで活躍する素養はある。

ジョニー・クエト → ロイヤルズ

ブランドン・フィネガン
コディ・リード      
ジョン・ラム   → レッズ

さらにもう一つ、こちらは少々衝撃的とも言えるトレードも成立した。ロッキーズのフランチャイズプレーヤーとして知られる現役最高の遊撃手トロイ・トゥロウィツキがブルージェイズへとトレードされたのだ。ブルージェイズへと移籍したのはトゥロウィツキとラトロイ・ホーキンスの2人。ロッキーズへ移籍したのはホゼ・レイエス、ミゲル・カストロ、ジェフ・ホフマン、ジーザス・ティノコの4人だ。
トゥロウィツキとホーキンス、レイエスらベテラン選手は説明の必要はないだろう。トゥロウィツキは2020年までの10年契約を交わしており、来季以降9800万ドルの契約が残っている。対してトゥロウィツキと同じく故障がちな遊撃手のスター、レイエスもオプションを含めて2018年までの契約が残っており、トレード後も両チームは1年あたりの年俸負担はほとんど変わらない。
レイエスとともにロッキーズへ移籍する選手たちも非常に有望な若手だ。カストロは20歳の右投手で、制球に不安定さはありながらも長身から繰り出される速球は非常にレベルが高く、今季はメジャーデビューも果たしている。もう一人の右投手ホフマンさらに一段上の有望株で、2014年ドラフト全体9位指名選手だ。今はまだAAでプレーしているが完成度が高く速球にも魅力があり、健康さえ維持できれば数年後には確実にローテーションの一角を見込める投手だ。最後のティノコは20歳の右投手で、ルーキーリーグでは長年苦しんだがようやく昇格したAではそれなりの投球を見せており、上記2投手に比べるとポテンシャルには劣るが若いだけに将来が楽しみだ。
トゥロウィツキにトレードの噂は出ていたものの、地区優勝を狙って戦っているブルージェイズは打線をさらに強化し、内野守備を堅実にすることによって本気度を見せてきた。トゥロウィツキの健康面に問題が出さえしなければ、ドナルドソン、トゥロウィツキの形成する三遊間はリーグ最高クラスだろう。

トロイ・トゥロウィツキ
ラトロイ・ホーキンス → ブルージェイズ

ホゼ・レイエス
ミゲル・カストロ
ジェフ・ホフマン
ジーザス・ティノコ → ロッキーズ

コール・ハメルズ ノーヒッター達成

毎年のようにトレード候補になり、今季もトレードの噂がつきまとうフィリーズのエース、コール・ハメルズがキャリア初のノーヒッターをカブス相手に達成した。9回13奪三振2四球という素晴らしい内容だった。その直前の2試合で合計14失点するなどここにきてトレード価値が下落するような内容だったのだがそれを見事に挽回する結果となった。チームの低迷により、優れた投球内容にもかかわらず勝敗がついてこない日々が続いており、今季は2012年以来の二桁勝利を狙うが、それそろ環境が変わってむくわれてもいいころなのかもしれない。31日のデッドラインまで今後も目が離せない。

2015年7月24日金曜日

ドジャースの誇る最強のダブルエース

それぞれリーグトップクラスの実力を持った右投手と左投手の左右のダブルエースというのは誰もが夢見る先発ローテーションの一角だろう。私でもファンタジードラフトで自由に選手を獲得できるのであればそういった1,2番手を作るだろう。そんな”僕の考えた最強のダブルエース”とも言うべきものを今季のドジャースは現実に擁しているのだ。
クレイトン・カーショウとザック・グレインキー。この2人のキャリアについてはMLBファンならよく知っているはずだ。カーショウはドジャース生え抜き、そして今やMLB最高と名高い先発投手だ。27歳にして3度のサイ・ヤング賞にMVPを1度、ここ4年連続で防御率リーグ1位、近年ではもはやカーショウくらいしかできない防御率1点台を2年連続でやってのけている。グレインキーは社会不安障害を乗り越えサイ・ヤング賞を獲得し、投手としては史上有数の巨額契約でドジャースへ移籍後もしっかりエース級の投球を見せている。どこへ行ってもエースになれるような投手が左右で2人揃っているのに、今季はそれがさらに凄みを増しているのだ。

クレイトン・カーショウ
8勝6敗(12位) 防御率2.51(8位) 140.0回(1位) 185奪三振(1位) WHIP0.94(4位)



ザック・グレインキー
9勝2敗(9位) 防御率1.30(1位) 131.1回(3位) 117奪三振(12位) WHIP0.82(2位)



ここまでの数字はほぼあらゆる点でトップクラスなのだが、凄いのはシーズンが中盤に入ってから。カーショウは序盤はらしくなく打ち崩される場面が目立ち防御率上位からは蚊帳の外だった。しかし6月にはいってからギアが入り7月に至っては4試合でわずか1失点、2試合は完封という驚異的な出来で圧倒し続けている。その内容は四球を出さない、本塁打を打たれない、三振を奪る、という投手にとって最も必要な要素を完全に体現している理想的な投球だ。これで連続無失点イニングは29に伸びた。
グレインキーは4月から全ての月で防御率1点台という抜群の安定感だったのだが、こちらもまたギアが一段上がり今の所43.2回連続無失点を記録している。ハーシュハイザーの持つMLB記録の59イニングをも狙える位置につけており、7月の月間防御率はもちろん0.00。カーショウのように毎試合奪三振ショーを繰り広げる派手さには欠けるものの絶対的な制球力を武器に点を全く許さない。
タイプの違う2人の絶対的エースだが、6月以降では間違いなくMLB最高のダブルエースと言えるだろう。カーショウの調子の上げ方を見るに、彼についてはここからさらに数字がよくなるだろう。シーズンが終わる頃には史上有数のダブルエースと言える成績になる可能性も少なくないだろう。