2014年9月30日火曜日

ワイルドカードプレビュー

いよいよ2014年のポストシーズンが始まる。
まずは各リーグワイルドカード決定戦からだ。

ア・リーグ
アスレチックスvsロイヤルズ
先発投手
ジョン・レスター(16-11, 2.46)
ジェームズ・シールズ(14-8, 3.21)

ナ・リーグ
ジャイアンツvsパイレーツ
先発投手
マディソン・バンガーナー (18-10, 2.98)
エディソン・ボルケス(13-7, 3.04)

まずはア・リーグからみていこう。
当然ながら両チームとも1試合で決してしまうこの試合にはエースをもってきた。
ロイヤルズは昨年同様エースとして1年間ローテーションを守りきったシールズ、対するアスレチックスはシーズン途中のビッグトレードで獲得したレスターだ。
シールズは今季アスレチックスとは2度対戦しており1勝0敗、2度ともQSを達成しているのだが、レディックから2本塁打されており、彼自身調子を上げていることもあって要注意だ。
レスターは今季3度ロイヤルズと対戦しているがいずれも好投。
キャリアを通じてもロイヤルズに対しては防御率1.84を誇るなど"お得意様"だ。
また7月12日以来すべての試合でQSを達成している好調ぶりもあって、特に長打力の欠けるロイヤルズ打線が彼を打ち崩すのは至難の技だろう。
しかしロイヤルズはホームでのアドバンテージに加え、久々のポストシーズンということでモチベーションの高さがある。
精神論になるがレスターを攻略するにはそういったメンタル面も重要なファクターになるだろう。

ナ・リーグの方は今や絶対的エースとなったバンガーナーと、シーズン中盤からエース級投手へと変貌したボルケスの対決。
バンガーナーは今季パイレーツとは1試合しか対戦していないが、その際には4回5失点と打ち込まれ降板している。
対するボルケスは今季ジャイアンツ戦での登板なしと未知数。
キャリア全体でみれば防御率5.72と非常に苦手にしているが今季のボルケスのブレイクを鑑みるにこのデータはあまりあてにならないだろう。
キーになりそうなのはジャイアンツ打線の我慢強さ。
今季は結果が出ているとは言え制球力というボルケスの根本的な問題が改善されたわけではない。
ジャイアンツ打線はボールを見ていくより打っていく傾向にあるが、この試合ではしっかりとボールを見てボルケスを自滅させる必要がある。
勝ちパターンのリリーフが 出てくるとジャイアンツとしてはかなり厳しくなる。

個人的にはア・リーグはアスレチックス、ナ・リーグはジャイアンツが勝ち上がると予想している。


2014年9月29日月曜日

劇的!最後の最後のノーヒッター

ナショナルズのレギュラーシーズン最終戦はホームでのマーリンズ戦だった。
スタントンを欠くマーリンズ打線はスケールに欠けるとは言え、マーリンズ先発のノーヒッター経験者ヘンダーソンが相手とあってナショナルズとしては投手戦は想定の範囲だっただろう。
ナショナルズ先発はジョーダン・ジマーマン。
知名度はそれほどではないが、昨年の最多勝を獲得するなど実力は折り紙付きで他チームにいけば十分エースとして投げられる投手だ。
少し苦しんだ時期があった彼だが今季はオールスター以降かなりいい調子を維持しており、この試合でもハイパフォーマンスが期待された。
そして彼が見せたのは期待以上の、ノーヒッターという結果だった。
1点差の緊迫した展開にも関わらず最後まできっちりしめたが、最後はかなり劇的な締めくくりとなった。
ノーヒッターにはスーパープレーがつきものと言われているが、それが最後の1アウトで起こることは珍しい。
この日最後の打者となるイェリッチが9回2アウトから放った打球は左中間を破りそうな大きな飛球で、2人の外野手はそれを必死で追っていた。
その打球が抜けていれば年に何度か見られる物悲しいノーヒッター未遂となるところだったが守備固めで入っていた左翼手のスティーブン・スウザがなんとこれをダイビングキャッチ。
打たれてからのキャッチが為されるまでのジマーマンの心境のめまぐるしさにも面白いものがあったが、何はともあれ彼はこれでキャリア初の、そして今季4人目のノーヒッター達成となった。
ちなみに相手の先発ヘンダーソンは 昨年の9月29日にノーヒッターを達成しており、最終回に味方が1点を奪いサヨナラ勝ちで無事達成という劇的展開を演出した投手が相手だったのも何かの縁だったのだろうか。





2014年9月26日金曜日

デレク・ジーター ホーム最終戦でサヨナラヒット

やはりこの男は伝説だった。
これまでいくつもの伝説を残してきたヤンキースのキャプテン、デレク・ジーター。
Mr.Novemberと呼ばれるようになったポストシーズンでのサヨナラ本塁打、The Flipと呼ばれるポストシーズンでの歴史に残る守備、3000本安打を本塁打で決めたことなど、印象的なプレーは数知れない。
そして今日迎えたヤンキースタジアムでの最終戦。
ジーターの最終年にポストシーズンをプレゼントすることはできなかったがホーム最終戦だけは絶対に落としてはならなかった。

ヤンキースの先発投手は黒田。
初回オリオールズに2点先制を許すも、その裏すぐにジーターのタイムリー二塁打を含んだ攻撃で同点に追いつく。
そして同点の7回裏満塁の場面でおあつらえ向きにジーターに打順がまわり、安打こそならなかったもののエラーを誘いイチローらがホームインし勝ち越しの2得点に貢献。
黒田も好投しこのまま勝利かと思われたが守護神ロバートソンが9回にまさかの2被本塁打し同点に追いつかれる。
なんとしてでも勝ちたいヤンキースだが、その裏1アウト2塁の場面でまたしても打席にはジーター。
やはりスター性が呼び込むのかいい場面でことごとく打席が回ってきたが、最後にしっかり結果を出すのがこの男。
だからこそのスーパースター。だからこそのMLBの顔。だからこそのデレク・ジーターである。
そうして彼はサヨナラ安打という最高の形でヤンキースタジアムでの伝説を締めくくった。




2014年9月22日月曜日

次代のスーパースターはこの男だ! vol.5

★クリスティアン・イェリッチ(マーリンズ)
    • Born: 12/5/1991 in Thousand OaksCA 
    • Bats/Throws: L/R
    •  
    • HT: 6'3''
    •  
    • WT: 200
    • Debut: 7/23/2013
    •  
    • College: N/A

ファイアーセールを繰り返すマーリンズにはなかなかファンが根付かないが、スタントン、フェルナンデスという投打の若手スターの出現でその流れは断ち切られようとしている。
そして彼らと同様人気が出そうなスター候補がイェリッチである。
2010年に1巡目全体23位で指名された彼は順調にマイナーでの階段をのぼり2013年にメジャーデビューを果たした。
彼の最大の特徴はその総合力の高さであり、走攻守すべてにおいてハイレベルなパフォーマンスを発揮できるところにある。
デビュー1年目の昨季は右打者に強さを見せたものの左打者には手も足も出ないという状態だったが、マーリンズはそれでも彼をスターにするため使い続ける意思を固め、彼もその期待に応えて今季は左投手を克服してみせた。
2年続けて四球率は10%を超えるなど打撃での辛抱強さも持っており、スピード、打撃スタイルともに理想的なリードオフマンであり、今後リーグ最高の1番打者という評価を得る可能性が極めて高い。
またパワーを磨けば隙のない選手になり、スタントンとのデュオは相手にとって大きな脅威になるはずだ。








2014年9月6日土曜日

MVPレースの展望〈ナ・リーグ〉

ナ・リーグでMVP有力候補なのは以下の4選手だ。

ジャンカルロ・スタントン(マーリンズ)
138試合 打率.295 36本塁打 102打点 出塁率.402 OPS.968 10盗塁
fWAR5.9 rWAR6.4 wOBA.410

クレイトン・カーショウ(ドジャース)
23試合 17勝3敗 防御率1.70 169.1回 202奪三振 25四球 WHIP0.83
fWAR6.0 rWAR7.4 FIP1.89 xFIP2.07

アンドリュー・マッカッチェン(パイレーツ)
123試合 打率.303 21本塁打 72打点 出塁率.396 OPS.926 17盗塁
fWAR5.0 rWAR5.1 wOBA.400

バスター・ポージー(ジャイアンツ)
127試合 打率.305 19本塁打 78打点 出塁率.356 OPS.841 0盗塁
fWAR4.9 rWAR4.2 wOBA.365

基本的にはスタントンとカーショウの2選手の争いになりそうだ。
スタントンは今季怪我なくほとんどの試合に出続け、最大のウリであるパワーを存分に発揮している。
後半に入って勢いはさらに加速し、このままいけばキャリア初の40本塁打超えと本塁打王と打点のタイトルをとる可能性は高いだろう。
打率に関しては3割にのせてシーズンを終えられるかどうかというところだが、守備貢献度も非常に高い彼は例年なら文句なしのMVP最有力候補だ。
それを阻むのは現在負け越しで3位のチームと、またしてもレジェンド級のシーズンを過ごしているカーショウだ。
今季のカーショウの凄さを測るデータはいくらでもある。
例えば今季は5月に2回途中7失点という大炎上をおかした以外には4失点以上した試合がない。
そしてクオリティスタートを達成できなかったのもその試合を含めて2度しかない。
奪三振率と四球率はともにキャリアハイのペースで、6月には9回15奪三振のノーヒッター(味方のエラーがなければ完全試合)も演じてみせた。
WHIPに至っては歴代9位のペースで、防御率は2000年以降で最高の数値を叩き出している。
チームも好調で現在地区優勝争いのまっただ中だ。
しかしそんなカーショウにもマイナス要素はある。
まずは投手であるということ。
これはMVP投票では必ずネックになる要素だ。
そしてもう一つはシーズン序盤に怪我で離脱していたことだ。
そのため4月は一度も登板しておらず、仕事量の少なさが不利になる。
歴史的なシーズンではあっても完璧ではないということだ。
これがどう影響してくるか。
少なくともこの調子でいって20勝 200回さえ達成してしまえば誰も文句が言えないと私は思うのだがどうだろうか。
スタントン次第でもあるし、この一騎打ちは白熱している。

昨年のMVPマッカッチェンは今季も好調だが、相変わらず少々インパクトに欠けてしまうためスタントンを上回ることはないだろう。
伸びしろに注目なのがドジャースと絶賛地区優勝争い中のジャイアンツを引っ張る2012年のMVPポージー。
前半戦こそパッとしなかったが8月以降ハイペースで調子をあげており、一塁手として試合に出る試合も多いためこの勢いが続けば25本塁打 100打点が見えてくる。
チーム自体も最近調子をあげており、ドジャースとの優勝争いを制する立役者にでもなれば彼の名前はMVP投票でも重要になってくるだろう。

2014年9月5日金曜日

MVPレースの展望〈ア・リーグ〉

9月に入りレギュラーシーズンも大詰め。
プレーオフ進出がかかるチームにとってはチーム順位が気になるところだが、もう一つ気になるのは各アワードの行方だ。
その中でも特に注目なのは白熱しているMVPレース。
まずは有力候補を見てみよう。

ア・リーグ

マイク・トラウト(エンジェルス)
134試合 打率.285 31本塁打 98打点 出塁率.369 OPS.920 13盗塁
fWAR6.3 rWAR6.6 wOBA.396

フェリックス・ヘルナンデス(マリナーズ)
29試合 14勝5敗 防御率2.18 206.0回 209奪三振 37四球 WHIP0.90
fWAR5.5 rWAR6.4 FIP2.59 xFIP2.59

ホゼ・アブレイユ(ホワイトソックス)
123試合 打率.322 33本塁打 99打点 出塁率.383 OPS.985 2盗塁
fWAR4.9 rWAR4.9 wOBA.419

ロビンソン・カノー(マリナーズ)
133試合 打率.321 12本塁打 71打点 出塁率.387 OPS.848 10盗塁
fWAR5.2 rWAR5.8 wOBA.366

ビクター・マルチネス(タイガース)
128試合 打率.332 28本塁打 90打点 出塁率.401 OPS.966 3盗塁
fWAR3.6 rWAR4.4 wOBA.407

チーム成績なども含めて、現状可能性が高いのはこの5選手だろう。
特に最有力と言えるのは上位の3名、トラウト、ヘルナンデス、アブレイユだ。
過去2年ともMVP最有力候補と言われながらミゲル・カブレラにかすめ取られてきたトラウトは今季も有力であり、なおかつ最大のライバルのカブレラはMVPレースに顔を出すことはない。
過去2年の成績なら今季こそはトラウトがMVPを獲得しそうなところだが、今季は少々勝手が違う。
9月に入ったばかりで既に本塁打と打点でキャリアハイを記録している彼は、打撃の傾向が明らかに変わった。
具体的にはより長打を狙うスタイルになり、フライの比率が大きく上がったのだ。
しかしその弊害は確実に現れており、長打力が上がった反面打率や三振率が悪化している。
また彼をコンプリートプレイヤーたらしめている優れた守備力は、数字上では今季は存分に発揮されていない。
彼が最有力候補であることには変わりないが、ここに他の選手がつけ込む隙がある。
野手で対抗馬はもちろんアブレイユだ。
DL入りでの離脱などもあったがあらゆる打撃スタッツで上位を走っている。
特に打率、本塁打、打点の3部門すべてでトップ5に入っている隙のなさが強みになる。
しかし守備・走塁での貢献度が低いため、総合力のトラウトに対抗するためには過去のカブレラのように打撃でリードする必要がある。
MVP投票で重要視される傾向にあるチーム成績でもトラウトには遅れをとっているため、三冠王とは言わないまでも本塁打、打点の二冠は獲得しておきたいところだ。
どちらかでもトラウトに劣るようならアブレイユの戴冠は厳しくなる。
投手でこの2人に対抗してくるのはヘルナンデスだが、MVP投票では投手という時点で少々不利になる。
知られているように、ほとんどの試合に出場する野手と比べて5試合に1度の頻度でしか試合に貢献しない先発投手はチームへの貢献度が低いと考えている識者が多いからだ。
とは言え先発投手は1試合に対する影響度が最も高いと考える者もおり、近年ではジャスティン・バーランダーが受賞したように投手にもMVPのチャンスはある。
しかしサイ・ヤング賞はほぼ間違いなしと言えるヘルナンデスだが今回は野手に対抗するのは少し厳しそうだ。
バーランダーの場合は24勝という数字の存在感と投手三冠というインパクトがあったが、ヘルナンデスは三冠獲得が厳しいのと他の投手と比較してずば抜けた数字がないからだ。
もし彼がMVPを獲得するなら投手三冠と20勝を同時に達成した時だろう。
それくらいやはり投手のMVPというのは難しい。
またチーム成績でも、マリナーズはプレーオフ進出はできても地区優勝までは厳しく、ヘルナンデスにとっては厳しい条件下での戦いだ。
しかしトラウトは調子を落としていること、アブレイユも初めてのMLBフルシーズンであることを考えるならヘルナンデスにもまだチャンスはあるはずだ。

この3選手以外でこれから次第では可能性が出てくるのはカノーとマルチネスの2だが、カノーはどうしても長打で見劣りする点、マルチネスは打撃専門である点を考えるとここから大きく追い上げても上記3人を上回ることは容易ではないだろう。
個人的にはやはり、最終的にトラウトが手にすることになるだろうと思う。