2013年11月15日金曜日

2013年MVPはミゲル・カブレラとアンドリュー・マッカッチェン

サイ・ヤング賞同様こちらも大きな波乱はなかった。
ア・リーグが2年連続のミゲル・カブレラ、ナ・リーグが初のアンドリュー・マッカッチェンが受賞。
投票の内訳は以下の通り。


2013 AL MVP VOTING
Player, Club1st2nd3rd4th5th6th7th8th9th10thPoints
ミゲル・カブレラ, DET237385
マイク・トラウト, LAA5193111282
クリス・デイビス, BAL14111211232
ジョシュ・ドナルドソン, OAK114933222
ロビンソン・カノ, NYY1592652150
エバン・ロンゴリア, TB466453103
ダスティン・ペドロイア, BOS155542199
エイドリアン・ベルトレ, TEX28734299
マニー・マチャド, BAL21255757
デビッド・オルティズ, BOS212212247
ジェイソン・キプニス, CLE1133531
マックス・シャーザー, DET1211225
アダム・ジョーンズ, BAL119
エドウィン・エンカーナシオン, TOR127
グレッグ・ホランド, KC13
カルロス・サンタナ, CLE13
ココ・クリスプ, OAK113
ジャコビー・エルズベリー, BOS113
トリー・ハンター, DET12
岩隈久志, SEA12
上原浩二, BOS22
ダルビッシュ有, TEX11
フェリックス・ヘルナンデス, SEA11
サルバドール・ペレス, KC11
シェーン・ビクトリーノ, BOS11


2013 NL MVP VOTING
Player, Club1st2nd3rd4th5th6th7th8th9th10thPoints
アンドリュー・マッカッチェン, PIT2811409
ポール・ゴールドシュミット, ARI159132242
ヤディアー・モリーナ, STL28466121219
マット・カーペンター, STL65439111194
フレディ・フリーマン, ATL578811154
ジョーイ・ボットー, CIN2873412149
クレイトン・カーショウ, LAD844541146
ハンリー・ラミレス, LAD1121233358
カルロス・ゴメス, MIL1362343
ジェイ・ブルース, CIN1132330
クレイグ・キンブレル, ATL113327
シンス・チュー, CIN1114323
ジェイソン・ワース, WSH122620
アンドレルトン・シモンズ, ATL2414
ヤシエル・プイグ, LAD2110
ハンター・ペンス, SF1127
トロイ・トゥロウィツキ, COL215
アレン・クレイグ, STL114
エイドリアン・ゴンザレス, LAD114
バスター・ポージー, SF13
アダム・ウェインライト, STL13
マイケル・カダイヤー, COL33
マット・ホリデイ, STL12
ラッセル・マーティン, PIT11

受賞選手の成績はこちら。

ミゲル・カブレラ(30)
148試合 打率.348 44本塁打 137打点 出塁率.442 OPS1.078 3盗塁

アンドリュー・マッカッチェン(27)
157試合 打率.317 21本塁打 84打点 出塁率.404 OPS.911 27盗塁


カブレラは故障もあり、2004年から続けていた毎年150試合以上に出場という記録が途切れてしまったが、それでも打撃3部門は引き続き高水準。
あわや2年連続三冠王とも思われたがタイトル獲得は打率だけで、本塁打と打点は2位にとどまった。
53本塁打と138打点で二冠を獲得し今季大ブレイクしたクリス・デイビスもMVP有力候補ではあったが、一塁手であることと打撃の質的にカブレラの方が上回っていたことで票はあまり伸びなかったようだ。
もう一人の最終候補者トラウトは昨年同様MVP争いの有力候補になったがチーム成績がひどかったことも相まって2年連続カブレラに敗れる結果となった。
それでもWAR1位などトータルとしては相変わらずMLB最高クラスの活躍だった。
当初は中島のライバルとしてもフューチャーされていたドナルドソンがブレイクし4位に入っている点も興味深い。
そしてここでも日本人投手3人は下位票とは言え入ってきているのが素晴らしい。

ナ・リーグは3年連続で150試合以上に加え3割20本20盗塁を達成したマッカッチェンが受賞。
こちらはトータルとしての活躍が評価された形で、彼は弱点にもなっていた守備を大きく改善させたっことで総合力で抜きん出ることになった。
やはり守備負担の大きなセンターで高守備を見せるということの価値は高い。
デビュー当初から大きな期待をかけられていたゴールドシュミットは順調に成長し26歳の今季ブレイクに成功し、本塁打と打点の二冠を獲得。
今後数年間は毎年打撃タイトル争いに顔を出すだろう。
打撃だけでなく一塁手ながら守備・走塁でも貢献できる点が素晴らしい。
ダイヤモンドバックスがプレーオフに進出していれば彼の方がMVPを獲得していたとしてもおかしくないというパフォーマンスだった。
3位になったモリーナは怪我での離脱と首位打者争いから一気に失速していった感があるのが痛いところ。
それでもチームをワールドシリーズにまで導いたのは流石だ。
カーショウが結構上位にきているのも興味深く、もし彼が今季投手三冠だったらどこまでいっていたのかも気になるところだ。





6 件のコメント:

  1.  ア・リーグでは93年、94年のフランク・トーマス以来となる2年連続MVPに輝いたミゲル・カブレーラ。成績から見れば三冠王であっても不思議ではなく、MVPに選ばれたことに異存はありません。ただ、、2冠王のクリス・デービスが対抗馬だと思っていましたが、意外にポイントが伸びなかったのは意外です。本塁打はカブレーラに9本差つけましたが、打点の差が1点というのが痛かったか?でも、2位には入ってもよい成績だったので、かなり残念ですね。

     ナ・リーグはパイレーツ大躍進の立役者、アンドリュー・マカッチェン。打撃成績だけならばさほど目立っている印象はありませんが、何といっても20年間も負け越し続きだったチームをプレーオフに導いた中心ですから、貢献度は大リーグナンバーワンでしょう。

     MVPの選考基準に関しては今一明確でないところもありますが、近年はチームの成績を以前より重視するようになったと言われています。個人的にはこの傾向はあまり感心しない。優勝するチームには活躍する選手が多いから、結果としてMVPになる選手が多いという程度ならまだいいのですが、「とにかくプレーオフ出場チームから選ぶべき」というのであれば、全選手を公平に扱っているとは言えなくなるからです。野球はチームスポーツであり一人では勝てない。それは個人がいくら奮闘しても、チームメイトが駄目だったらチーム成績はなかなか上向かないということでもあります。仮に投票権を持つ記者たちが「MVPは何が何でもプレーオフ出場チームから選ぶべき」と考えるようになるとすれば(日本のプロ野球などはまさに「優勝チームから選べ」という発想が強すぎて、時に無理矢理選出したような事例すらある)、それは弱いチームで頑張る選手に自分ではどうにもならないことの責任を負わせることになり、甚だ不当です。やはり基本は個人成績で選ぶべきでしょう。もちろん、数字に表れない要素を考慮することも全く許されないわけではありませんが、それが恣意的になってはいけません。
     それにたまには最下位チームからMVPというのがあった方がファンとしては面白いです。むしろ「野球はチームスポーツ」という真理が裏面から如実に示されるのではないでしょうか。

     ドジャースのカーショー投手が3位票を8票とるなどして7位。「投手はMVPにふさわしくない」という奇妙な不文律はまだまだ強力に存在しており、特にナ・リーグは牢固たるものがあります。何といってもナ・リーグで投手のMVPは1968年の並ぶもの無き無敵のボブ・ギブソンを最後にもう45年間も出ていません。カーショーが7位に入ってきたことはもしかしたら因習を打ち破る萌芽かもしれませんね。

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    1. コメントありがとうございます。
      デイビスの票数が思ったより伸びなかったのはやはり最後の大事な時期に大きく失速してしまったという印象が強かったからではないでしょうか。
      特に7,9月の打率.210台というように波の大きさは出ていましたからね。
      打撃においては完璧だったカブレラとオールマイティな活躍をしたトラウトが強すぎたというのももちろんあるでしょうし、デイビスはついていませんでしたね。

      MVPの選考基準においては私も思うところがあります。
      最も価値のある選手に与えられるべきなのか最もチームを勝利に導いた選手に与えられるべきなのかというのはやはり個人の考え方の違いが出てしまいますね。
      また特にその傾向が強いNPBではバレンティンはチームが最下位だったから選ばれないのではないかという予想も出ていますし、これで本当にバレンティンが選出されなければ少しMVPのあり方について考えなくてはいけないでしょう。
      投手の勝利数における考え方もそうですが、チームの勝利というのも個人の力だけではなどうにもならない部分が大きいということはしっかり理解しておかなくてはいけませんね。
      投手がMVPにふさわしいのかという部分に関してもやはり考え方によってわかれるところでこれは永遠に決着のでない議論なのかもしれません。

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  2. MVPの選考基準について、やはりおかしいと思います。
    カブレラは今季打撃だけが注目されていますが、肝心な守備は最悪ですし走塁面でも成績を残せていません。
    対してトラウトはほぼ全てにおいて優秀な成績を残しています。
    今季はDRSでマイナスでしたが、単年で彼の守備の評価が下がる訳がないです。
    カブレラを避難する訳でもなく、別に受賞したことにも何ら反対はありませんが、そこまで圧倒的な成績を残せていたかどうかは疑問です。
    むしろトラウトの方が圧倒的だったと思います。

    ナ・リーグについては順当な感じですが、ヤディーについては怪我をした時点で無理だと思っていましたが、意外に3位だったことには驚きました。
    いずれにせよ怪我さえしなければMVPを取っていたことでしょうから残念です。

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    1. コメントありがとうございます。
      確かにおっしゃることはよくわかりますし、これはしばらく議論の余地がある点だと思います。
      単純に野手としての総合力として比較した場合、ほとんど打撃のみの貢献度で守備・走塁面でのマイナスのカブレラと、走攻守すべてにおいてハイレベルなトラウトで貢献度に大きな差があることは間違いありません。
      それはfWARでトラウト10.4、カブレラ7.6、rWARでトラウト10.0、カブレラ7.2と大きな差がついていることからもよくわかります。
      ただ今回は地区優勝のタイガースと負け越しのエンジェルスというチーム成績も大きく響いていたのではないかと思います。
      私はチーム成績は選手の価値にほとんど関係ないと思っていますし、個人的にトラウトのファンなので彼に受賞してほしかったですがこればかりは仕方ないですね。
      もしエンジェルスもプレーオフにでるくらいの成績を残していればトラウトの受賞も大いにありえたのかもしれません。

      モリーナは怪我はあったものの捕手としては出場数は十分すぎるものですよね。
      今季は本塁打が減った分二塁打が激増しましたし打撃貢献度も捕手としては高く、守備に関しては言うまでもありません。
      31歳とそろそろ円熟期に入りますが、来季以降もまたMVP争いに顔を出すでしょうから楽しみにしましょう。

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  3. スカーバラ2013年12月1日 22:44

     まず、プロ野球の話題で恐縮です。「最下位チームに所属しているためMVPに選ばれない可能性が高い」と憂慮されていたバレンティンでしたが、蓋を開けてみれば優勝した巨人勢を寄せ付けず堂々とMVPに選出されました。セ・リーグで優勝チーム以外からMVPが選出されたのは1974年以来39年ぶり三回目のことであり(過去二回はいずれも王貞治)、最下位チームからの選出はプロ野球初の快挙となりました。「聖域化」(むしろ半ば「呪い」と化していたというべきか?)していたシーズン最多本塁打の記録を更新し、応援するチームを超えてファンを熱狂させた彼の功績を考えると、当然というべきであり、受賞できてほっとしています。

     さて、プロ野球のMVP選出基準を大リーグと比べると、投手差別をしない点に関しては素晴らしいと思っています(むしろ「投手優遇」という見方すら可能である)。また、大リーグにも前例のないセットアッパー(中継ぎ投手)からのMVP選出という例すらあり(2011年)、より進んでいる側面もあります。大リーグでもセットアッパーのMVPを見てみたいですね。
     一方で、「優勝チーム至上主義」という困った側面も根強く、一時は牢固たる感がありました。しかし、今年のバレンティンの受賞でその壁に大きな風穴が開いたわけであり、今後は今年を「特殊事例」扱いすることなく、より柔軟に公平にMVPが選出されていく方向に変わっていくことを祈ります。

     ただ、プロ野球には明らかに大リーグよりも悪いところがあります。それはいまだに外国人選手が活躍することを快く思わない、それは望ましくないことと考える傾向が残ってしまっていることです(MVPに関しても「外人」だから選出されなかったと疑われる事例がある。1964年のジーン・バッキー、1981年のトニー・ソレイタ、1986年のランディ・バースなど)。今回バレンティンが大記録を打ち立てたことに関しても、それを矮小化するコメントが有力なOBやメディアから発せされました(野村克也の世迷言が好例。さらに問題なのはその言葉がほとんど公に批判されなかったこと)。私はこれが情けなくて仕方ないです。
     大リーグは様々な人種、民族、国籍の選手が働いています。でも、「大記録はアメリカ人が達成すべきであり、外国人の大リーグ記録は好ましくない」というコメントが公に発せられるのをほとんど聞いたことがない。それどころか野茂英雄が殿堂入り候補に挙げられているし、イチローの殿堂入りはほぼ確実でしょう(外国人選手の殿堂入りをほとんど認めない日本とは大違い)。どこの人だろうが素晴らしいものは素晴らしいと素直に認めるべきです。もうそろそろ外国の選手を「外人」「助っ人」「よそ者」扱いするのをやめて選手として平等に扱うようにすべきでしょう。

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    1. コメントありがとうございます。
      バレンティンのMVP獲得には安心しました。
      これを機にチームの勝敗の影響が過剰に出過ぎる傾向が少しでも弱まってくれればと思います。

      投手に関する考え方にはやはり議論が分かれるところですね。
      ”野手は出場している試合数が圧倒的に多く、投手は先発投手なら最大でも35試合程度にしか影響力を持たない”という言い分と”野手とは違い先発投手の場合は登板試合でのパフォーマンスが単独で試合結果に大きな影響を及ぼす”という言い分は両者ともに理があるように思えます。
      リリーフに対する評価に関してはMLBとNPBでは大きな隔たりがあり、リベラのような一部のレジェンド級投手以外はサラリーの面でも先発投手と同じレベルになるのは困難です。
      リリーフ軽視と言ってしまえばそれまでですが、実際のところ投球回数という仕事量で大きな差が出る以上私自身リリーフが先発投手より評価されるNPBの傾向はあまり隙ではありません。
      しかしリリーフはあらゆる場面で準備しておかなければならないなど精神的疲労の側面も強いですし、先発のようにローテーションが出来上がっているわけではない分、ほぼすべての試合で登板する可能性が出てくるという点があるなど、数字では測れない部分があるのも確かなので難しいところです。

      外国人選手に対する傾向に関しても、今のNPBは徐々に緩和されつつあるのではないかなと思います。
      外国人選手の活躍を好ましく思わないのはやはり高齢世代に多く、若い層は割と受け入れているようですからこれからNPBも変わっていけるのではないでしょうか。
      ただし外国人枠が存在する以上、外国人選手を外様として扱ってしまう感覚は変わらないでしょうね。

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