2014年6月30日月曜日

田中 MLBタイ記録を樹立

カーショウとリンスカムの2人のノーヒッターに加えて、もう一つ大きなニュースがあった。
今やヤンキースのエースという存在になった田中将大が連続クオリティスタートのMLBタイ記録を樹立したのだ。
以前も言及したが1973年にスティーブ・ロジャースが達成した16試合連続QSがこれまでのMLB記録であり、田中は5/28の試合で9回2失点とまたしても好投したためこの記録に並んだことになる。
次の登板では新記録がかかる。
6月登板の5試合全てで本塁打を浴びるなど少々気がかりな点はあるが、相変わらず抜群の制球力で余計なランナーを出さないため最小失点で抑えることに成功している。
右のクリフ・リーと言ってもいい投球内容で次の試合でもきっと好投して新記録を達成してくれることだろう。
あわよくばシーズンQS率100%というとんでもない記録も狙えるかもしれない。
現状の活躍ぶりはサイ・ヤング賞最有力候補と言って差し支えなく、田中は日本だけでなくMLBでもレンジェンドへの道を歩みつつある。


6月2人のノーヒッター

サンディエゴへ留学のため忙しく、一時更新を休止しておりました。
ようやくアメリカでの生活も落ち着いてきたため、これからまた再開していきたいと思います。

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そろそろシーズンも半分を終えようかという時期だが、先日のベケットに続いてまたノーヒッターを達成した投手が現れた。
それも今月で2人、両者ともにサイ・ヤング賞を2度受賞しているという共通点もある。

まず最初に達成したのはクレイトン・カーショウ。
5月半ばには2回途中で7失点という屈辱を味わったが、それ以降は安定した投球を見せていた。
そして調子を上げていた6/18のロッキーズ戦で彼はMLB史に残る圧倒的なパフォーマンスを披露してみせた。
並み居る強打者たちを次々ときって落としてなんと9回を無安打無四球15奪三振で抑えてみせたのだ。
本来なら完全試合の内容ではあったのだが残念ながら味方のエラーがあったため結果はノーヒットノーラン。
それでもこの圧倒的な内容史上最高クラスのものと言って間違いないだろう。
ノーヒッターは彼にとって初めてのもので15奪三振もキャリアハイというおまけもついた。
ベケットがドジャースに野茂以来のノーヒッターをもたらして間もないカーショウの快挙となったが、カーショウはその後の試合でも8回を無失点に抑えて連続無失点記録を継続している。
この記録もどこまでのばすことができるか要注目だ。




そしてもう1人、カーショウの快挙からあまり時間をおかずにノーヒッターを達成したのがティム・リンスカムだ。
数年前まで2年連続のサイ・ヤング賞獲得などリーグ最高の投手として名を轟かせていた彼は今や落ち目のローテピッチャーになってしまった。
それでも昨季はノーヒッターを達成するなど見せ場を作っており、不安定ながらも調子のいい時は好投してくれる。
そんなリンスカムが今季もまたやってくれた。
6/25の試合、お相手は前回達成時と同じパドレス。
そして前回はアウェイゲームだったが今回はホームゲームでの達成となった。
さらにもう一つ違うのが投球内容。
昨季のノーヒッターは9回148球という非常に苦しんでのものだったが、今回は9回1四球6奪三振で113球という省エネで達成している。
もはや全盛期の面影はないに等しいが、全盛期には達成できなかったノーヒッターを落ち目になってから2度も達成するというのがなんとも不思議だ。
とは言え彼はまだ30歳になったばかり。
これを機にまた以前の輝きを取り戻してくれると信じたい。




2014年6月12日木曜日

ダルビッシュ メジャー初完封

この日本塁打王候補のスタントンや昨季楽天の日本一に貢献したマギーなどを擁するマーリンズ打線相手に9回6安打10奪三振3四球の完封劇で7勝目。
これまで2度のノーヒッター未遂などをやってきたダルビッシュだがメジャー3年目にしてこれが初完投・初完封となった。
何よりも成長を感じさせるのは9回を117球で抑えたこと。
これまでなら130球近い球数を要していたところを3つの四球を出しながらも120球以内で抑えるようになったのはメジャーにしっかりアジャストした証拠だ。
四球は少ないとは言えないがストライクゾーンで勝負できるようになったダルビッシュは弱点を着実に減らしていっている。
今日の試合はこれから何度も完投・完封するであろうダルビッシュの最初の一歩である。




またこの日は田中もマリナーズを相手に先発登板し、9回1アウトまで完封ペースを維持していたが不運な内野安打でランナーを許すと続くカノーに本塁打を打たれ2点を失い、今季2度目の完封とはいかなかった。
それでも後続はしっかりと打ち取り9回6安打2失点11奪三振1四球1被本塁打で10勝目を挙げた。


2014年6月10日火曜日

チゼンホール MLB史上初の快挙

MLBの長い歴史の中で、未だ達成されたことのない記録というのはそう多くないが、この日インディアンスのロニー・チゼンホールが史上初の記録を打ち立てた。
その記録というのは1試合のうちに5打数5安打3本塁打9打点を達成すること。
5打数5安打も3本塁打も、1シーズンに数度あるかないかという記録のためそのどちらも1試合で達成してしまうことの難易度の高さは想像しやすいが、それに加えて9打点という滅多にないものも加わったことでより一層難易度が高くなっている。
1試合5安打3本塁打9打点自体も過去に3度しか達成されたことがなく、最後に達成されたのも1975年の出来事ということもあって、希少価値としてはサイクルヒットや完全試合よりも断然高い。

ところでこの試合で名を上げたチゼンホールの知名度はそれほど高くはないだろう。
とりわけ日本のファンはほとんど知らないであろう選手であるため、彼について少し記述したいと思う。

チゼンホールは2008年ドラフト1巡目29位指名でインディアンスに入団した左打ちの三塁手だ。
プロ入り前には盗難が発覚して大学を退学処分になったこともある問題児だったが、その素質を高く評価されたための1巡目指名だった。
プロ入り後はマイナーで着々と成績を残し、飛び抜けたツールはないもののバランスのいい三塁手ということでインディアンスのトッププロスペクトとしてカルロス・サンタナらとともに今後のチームの核になる選手と思われた。
そうして2011年にメジャーデビューを果たすが、期待された成績を1年目から残すことはできなかった。
翌年以降もメジャーでプレーはするものの定着することは出来ず、ということを繰り返し今季が始まる前の彼の評価はブレイクできなかったドラフト1巡目選手というものだった。
ところが今季はスプリングトレーニングから好調でそのまま開幕ロースター入りするとそのまま好調を維持し、三塁手、一塁手、そしてDHの3つのポジションでプレーしながら今ではインディアンスで最も打撃成績がいい選手となっている。
そこに来てこの歴史的な試合である。
ちなみに彼は先日ダルビッシュからも本塁打を放っている。
このパフォーマンスが一過性のもので終わるかどうかはわからないが、彼が今最も怖い打者であることは間違いないだろう。



次代のスーパースターはこの男だ!vol.2

★アンドリュー・キャッシュナー(27)
  • Born: 9/11/1986 in ConroeTX 
  • Bats/Throws: R/R
  •  
  • HT: 6'6''
  •  
  • WT: 220
  • Debut: 5/31/2010
  •  
  • College: Texas Christian

長身で球速はトップクラス。
ポテンシャルとしては一級品だが、ブレイクするまでには時間がかかった。
2008年ドラフト全体19位で指名され、メジャー昇格後のカブスではほとんどがリリーフでの登板だったが、2012年にはアンソニー・リゾーが絡むトレードでパドレスに移籍した。
投手に最も有利な本拠地を持つパドレスでは活躍できると予想されていたが、先発で投げるようにもなり今のところは期待値以上の活躍をしている。
トレード相手となったリゾーもカブスで活躍しており、本拠地の特性も活かした近年有数のwin-winトレードと言えるのではないのだろうか。

調子のいいときは1安打ピッチングもできる圧倒的投手だが、彼の最大の特徴はなんといっても長身から放たれる威力ある速球だ。
先発投手としてはトップクラスの平均球速95mph前後、最速で102mphに達するが2013年に大きく躍進した理由はツーシームを投げるようになったことだろう。
こちらも94mph前後と球速があり、変化も大きいため長打を浴びるケースが少なくなった。
また、こういうタイプの投手は三振も四球も多いというのがお決まりだったが、カブス時代はキャッシュナーもご多分に漏れずノーコン気味だった。
しかしパドレス移籍後本拠地の変化も要因だったのかストライクゾーンで勝負できるようになり制球、成績ともに安定した。
2013年中盤までは奪三振がすくなかったのだが、終盤にはいって制球を維持したまま三振も多く奪えるようになった。
もちろん好成績は本拠地の性質によるところも大きく、昨季のアウェイ防御率は4.00でしかなかった。
とは言え終盤からはホーム・アウェイ関係なく好成績を残せるようになり、今季は相変わらず差はあるもののアウェイでの成績が大きく改善されている。
大きく崩れるケースもほとんどなく、ポテンシャルの高さもあって今ではパドレスのエースと言える存在になっている。
まだまだ知名度が高いとは言いがたいが、今後間違いなく名を挙げ、いずれ大きな契約を得ることになる可能性は高い。





2014年6月6日金曜日

2014年MLBドラフト

今年もMLBドラフトが行われた。
前回モックドラフトの結果を記事にしたが実際それに近い結果になっただろうか?
1巡目の結果は以下の通り。
*RHP=右投手 LHP=左投手 C=捕手 1B=一塁手 2B=二塁手
 3B=三塁手 SS=遊撃手 OF=外野手

1位アストロズ:ブレイディ・エイケン LHP
2位マーリンズ:タイラー・コレック RHP
3位ホワイトソックス:カルロス・ロドン LHP
4位カブス:カイル・シュワーバー C/OF
5位ツインズ:ニック・ゴードン SS
6位マリナーズ:アレックス・ジャクソン C/OF
7位フィリーズ:アーロン・ノラ RHP
8位ロッキーズ:カイル・フリーランド LHP
9位ブルージェイズ:ジェフ・ホフマン RHP
10位メッツ:マイケル・コンフォート OF
11位ブルージェイズ:マックス・ペンテコスト C
12位ブルワーズ:コディ・メディロス LHP
13位パドレス:トリー・ターナー SS
14位ジャイアンツ:タイラー・ビード RHP
15位エンジェルス:ショーン・ニューカム LHP
16位ダイヤモンドバックス:トウキ・トゥサン RHP
17位ロイヤルズ:ブランドン・フィネガン LHP
18位ナショナルズ:エリック・フェッド RHP
19位レッズ:ニック・ハワード RHP
20位レイズ:ケイシー・ジレスピー 1B
21位インディアンス:ブラッドリー・ジマー OF
22位ドジャース:グラント・ホームズ RHP
23位タイガース:デレク・ヒル OF
24位パイレーツ:コール・タッカー SS
25位アスレチックス:マット・チャプマン 3B
26位レッドソックス:マイケル・チャビス SS
27位カージナルス:ルーク・ウィーバー RHP
28位ロイヤルズ:フォスター・グリフィン LHP
29位レッズ:アレックス・ブランディーノ SS
30位レンジャーズ:ルイス・オーティズ RHP
31位インディアンス:ジャスタス・シェフィールド LHP
32位ブレーブス:ブラクストン・デビッドソン OF
33位レッドソックス:マイケル・コペック RHP
34位カージナルス:ジャック・フラハーティ RHP

全体1位指名で選ばれたのは予想通りのブレイディ・エイケン。
アストロズはこれで3年連続全体1位指名を得ているが、今回も最もいい選手をとりにきた。
最高の右投手と目されていたコレックが2位、そして大学生NO.1投手ロドンが3位とトップ3はほとんど下馬評通りの結果となった。
さて、投手偏重ドラフトになるともっぱらの噂だったが実際に1巡目34人中20人が投手となっている。
素材重視の指名から即戦力狙いのものまで様々だが、早い選手、特に大卒投手では今季中にMLB昇格する選手もいる。
近年ではそれで最も成功した例が今やリーグ最高の左腕の一人になったクリス・セールであり、彼は2010年に全体13位で指名されマイナーで数試合に登板した後8月上旬にメジャーデビューを果たすというスピード昇格を果たした。
しかもその年メジャーで21試合に登板し好投を見せたのだ。

こういっったケースのように、今日指名された中からもしかすると今季中にメジャーで見れる選手も出てくるかもしれない。
まずは契約自体がどれくらいでまとまるかだが、全体31位のシェフィールドはなんともう契約に合意したようだ。
今季中に決まらない選手もいる中でこれはかなりの早さだが、彼のように早期に契約した選手はプロデビューも早くなる。
このドラフトの中からどれほどのスターが今後生まれていくのか楽しみである。


ブレイディ・エイケン



タイラー・コレック




カルロス・ロドン



2014年6月5日木曜日

2014年MLBモックドラフト

MLB.comより2014年のモックドラフトが発表されたので少し紹介したいと思う。
モックドラフトとは模擬ドラフトことで、MLBに限らずNFLやNBAでも毎年行われている。
このモックドラフトその通りになることはまずないだろうが、これはいわば前評判であり、実際の結果との違いを楽しむことが出来るだろう。
そして今回発表された1巡目の選手たちがこちら。
*RHP=右投手 LHP=左投手 C=捕手 1B=一塁手 2B=二塁手
 3B=三塁手 SS=遊撃手 OF=外野手

1位アストロズ:ブレイディ・エイケン LHP
2位マーリンズ:カルロス・ロドン LHP
3位ホワイトソックス:タイラー・コレック RHP
4位カブス:マイケル・コンフォート OF
5位ツインズ:ニック・ゴードン SS
6位マリナーズ:アレックス・ジャクソン C/OF
7位フィリーズ:アーロン・ノラ RHP
8位ロッキーズ:カイル・フリーランド LHP
9位ブルージェイズ:トリー・ターナー SS
10位メッツ:ショーン・ニューカム LHP
11位ブルージェイズ:ジェフ・ホフマン RHP
12位ブルワーズ:タイラー・ビード RHP
13位パドレス:トウキ・トゥサン RHP
14位ジャイアンツ:グラント・ホームズ RHP
15位エンジェルス:カイル・シュワーバー C/OF
16位ダイヤモンドバックス:マックス・ペンテコスト C
17位ロイヤルズ:ダレク・ヒル OF
18位ナショナルズ:ケイシー・ジラスピー 1B
19位レッズ:ブランドン・フィネガン LHP
20位レイズ:ブラッドリー・ジマー OF
21位インディアンス:エリック・フェッド RHP
22位ドジャース:ショーン・リードフォリー RHP
23位タイガース:ニック・ハワード RHP
24位パイレーツ:ジェイコブ・ゲイトウッド SS
25位アスレチックス:モンテ・ハリソン OF
26位レッドソックス:アレックス・ブランディーノ 3B
27位カージナルス:フォスター・グリフィン LHP
28位ロイヤルズ:コディ・メディロス LHP
29位レッズ:スペンサー・アダムズ RHP
30位レンジャーズ:フォレスト・ウォール 2B
31位インディアンス:AJ・リード 1B
32位ブレーブス:マイケル・チャビス SS
33位レッドソックス:マイケル・コペック RHP
34位カージナルス:ルイス・オーティズ RHP

このモックドラフトからわかるように、今回は非常に投手の比率が高い。
これは投手が豊作であると同時に野手が不作だからでもある。
特に大学生野手が不作で、そのため投手偏重ドラフトになると予想されている。

注目選手は全体1位に選ばれているエイケン。
全体1位指名間違いなしというほど突出しているわけではないが、昨年ワールドカップで松井裕樹とも投げ合った左投手で、最速97mphの速球や投手としての能力が高く評価されており高校生NO.1左投手とされており上位指名の可能性が高い。

2位に選ばれているロドンは一時は全体1位指名間違いなしと言われた大学生投手だが、その後不振に陥り成績を落としているためその座が揺らぎつつあるが、トップ3には入ると目されている。

また3位のコレックは高校生の右投手だが190cm後半の長身から最速102mphを投げ込む一級品の素材であり、ポテンシャルの高さではNO.1かもしれない。
もし彼が全体1位で指名されれば、高校生の右投手では史上初の全体1位ということになる。

野手では6位のジャクソンは今ドラフト最高の野手と評判が高く、ハーパーやマイヤーズがそうしたようにプロ入り後は外野手としてプレーする可能性が高い。
5位のゴードンは父と兄(ドジャースのディー・ゴードン)が両方メジャーリーガーという家系であり、抜群の身体能力が高く評価されており非常にポテンシャルが高い。





次代のスーパースターはこの男だ! vol.1

その豊富な人材から毎年のようにスター候補生が出現するMLBだが、エリート街道を順調に上った者から何年も苦しみながらブレイクした者まで様々。
今回から始めるこの企画は次代を担うスーパースター候補生を紹介していく。

①20代の選手。
②メジャーデビューしている。
③オールスターに選出されたことがない。

この3点を選出基準として私が今後オールスターに複数回選ばれるスーパースターになるであろう、あるいはなりかけている選手を探した。

第一回目となる今回はヤシエル・プイグを紹介する。


★ヤシエル・プイグ(ドジャース)
    • Born: 12/7/1990 in Cienfuegos Cuba
    • Bats/Throws: R/R
    •  
    • HT: 6'3''
    •  
    • WT: 235
    • Debut: 6/3/2013
    •  
    • College: N/A

キューバ出身23歳の外野手。
彼の名前は日本でも知っているファンがいるのではないだろうか。
例のごとくキューバから亡命を果たし2012年にドジャースと7年4200万ドルという長期契約を結び入団した。
恵まれた体格と抜群の身体能力を活かしたプレーが持ち味で、昨季はスプリングトレーニング、開幕してからのマイナーでともに大暴れし、不調に陥っていたドジャースの起爆剤となることを期待されて6月にAAから飛び級でメジャー昇格を果たした。
すると恐ろしい程の爆発力でチームを牽引し、6月は月間打率4割超えの大暴れ。
それと同時にそれまで勝率4割前半で地区最下位だったチームも浮上し始め、最終的にチームは地区優勝を果たした。
もちろんプイグ一人の力ではないが、彼の昇格が大きなきっかけになったことは間違いないだろう。
そのあまりの大活躍ぶり、そして破天荒とも言える野性的なプレーに多くのファンが引きつけられ、メジャー昇格後1ヶ月しか経っていないにも関わらず彼はオールスターの最後の一人の候補者にノミネートされた。
このことは論議も巻き起こしたが、最終的に選ばれたのはプイグではなくフリーマンだった。
惜しくもオールスター選出は逃したが、今季はここまでさらにずば抜けた好成績をあげて現在オールスター投票の上位を維持している。
今度こそ彼はオールスターに、それもスターティングラインナップに名を連ねるはずだ。

ところでプイグは問題児である。
昨季プイグを抑えて新人王に輝いた同じくキューバ出身のホゼ・フェルナンデスが純粋に野球を楽しんでいる優等生なのに対し、プイグはグラウンド内外でトラブルの種になるMLB屈指の問題児になりつつある。
セレブリティあふれる生活を満喫し、スターダムを駆け上がった昨季オフには早速スピード違反で逮捕された。
またグラウンド内でも自分の能力を誇示するかのような暴走プレーを連発し、その結果チームにも大いに迷惑をかけている。
今後の彼にとって最も重要なのは精神面の成熟であり、改善されなければキャリアに傷をつけることにもなりかねない。
既にキューバ亡命時に人身売買組織やマフィアなどが絡んだことが噂されており、今後彼個人だけではなく球界全体を揺るがすような大問題にもなりかねない。

しかしその規格外のプレーにファンは魅了されざるを得ない。
今後彼の数々のトラブルがどう発展していくかわからないが、彼はその危険さと魅力を併せ持った稀代のプレーヤーなのである。
いつか彼の未熟さが身を潜め、誰もが憧れる真のスーパースターになる日が来るかもしれない。





2014年6月4日水曜日

田中 初の月間最優秀投手を獲得

ヤンキースの田中将大が初の月間最優秀に輝いた。
5月の成績は以下の通り。

6試合 5勝1敗 防御率1.88 43.0回 42奪三振 6四球 2被本塁打 WHIP0.98

1敗こそしてしまったが4月は苦しんだ被本塁打も2本に抑え、完封も記録するなど本領発揮してきた感がある。
1年目のダルビッシュが大きく苦しんだ左打者にも全く苦労しておらず、クオリティスタート率も両リーグ唯一の100%を維持するなど既に最高の投手の一角へと顔を出している。

ルーキーが月間最優秀投手を獲得するのはMLBでは昨年7月のクリス・アーチャー以来だが、田中がもはやルーキーという枠組みに収まってはいないのは言うまでもないだろう。
日本では凄まじい記録を樹立した田中だが、実はあるMLB記録も視野に入ってきている。
それが連続クオリティスタート達成の記録であり、これまでのMLB記録は1973年のスティーブ・ロジャースが樹立した16試合連続クオリティスタートだ。
この記録に到達するまであと5試合続けていかなくてはならないが、それをやってしまいそうな雰囲気があるのが田中将大という男だ。

次の対戦相手は兄貴分ダルビッシュがMLBで最も苦手とするアスレチックス。
今季好調でボールを見極める選球眼と試合の流れを変える長打力に長けた打線に加え、リーグ最高クラスの投手力を持ち合わせた隙の少ないチームだ。
相手投手もここまで防御率2.37のドラフト1位投手ポメランツということで、田中にとってもヤンキース打線にとっても苦しい戦いになることは間違いないだろう。
連続クオリティスタート記録への最大の難関になるはずだ。
逆にこのチームをあっさりシャットアウトすることができれば田中にもはや敵はいなくなる。
6月5日(日本時間6日)の試合は最も注目すべき試合になる。
そうなれば新人王はおろかサイ・ヤング賞も視界に入ってくるだろう。


5月の月間アワードは以下の通り。

月間MVP 
野手部門 エドウィン・エンカーナシオン(TOR) ヤシエル・プイグ(LAD)
投手部門 田中将大(NYY) マディソン・バンガーナー(SF)
ルーキー ジョージ・スプリンガー(HOU) コルテン・ウォン(STL)


2014年6月2日月曜日

新人王レースの展望〈ナ・リーグ編〉

今季のナ・リーグはア・リーグとは違い不作と言わざるをえない。
昨季とは逆転した形になるが、ナ・リーグも優秀な素材は数人いる。

☆クリス・オーウィングス(ダイヤモンドバックス)
52試合 打率.263 3本塁打 9打点 出塁率.306 OPS.701 6盗塁

走攻守揃った22歳の遊撃手。
昨季マイナーでの好成績を引っさげてメジャー昇格し早速結果を残した。
今季は同じく若手遊撃手のグレゴリアスとのポジション争いから始まったが見事ポジションを獲得してみせた。
まだメジャーのレベルに適応できているとは言いがたいのだが、今季のナ・リーグなら今後の浮上次第で新人王獲得の可能性もある。





☆ビリー・ハミルトン(レッズ)
50試合 打率.251 1本塁打 10打点 出塁率.290 OPS.629 20盗塁

下馬評では新人王最有力候補であり、今もその座は揺らいでいない。
しかし打撃で苦戦しており出塁力の低さゆえ自慢の盗塁も思ったほど数がかせげておらず、昨季メジャー13試合で13盗塁した圧倒的パフォーマンスはまだ見せていない。
ただ序盤に比べると調子は上がってきており、馴染んでくれば量産モードに入る可能性も高い。





☆コルテン・ウォン(カージナルス)
34試合 打率.268 0本塁打 11打点 出塁率.333 OPS.659 8盗塁

典型的な小兵タイプの二塁手で、昨季デビューしワールドシリーズでもプレーしたが上原に牽制で刺され試合を終わらせるなど苦い思いもした。
今季は3Aでもプレーしているが安定して高打率を残しており、もはやマイナーで証明すべきことはない。
パワーはあまりないため、打率や盗塁などでどれだけのパフォーマンスをみせることができるかが重要になってくるだろう。





☆オスカー・タベラス(カージナルス)
2試合 打率.286 1本塁打 1打点 出塁率.286 OPS1.000 0盗塁

5月31日と約2ヶ月遅れのデビューとなったが、他の候補選手の活躍ぶりから、場合によってはタベラスが最有力候補になり得る。
本来ならば昨季デビューするはずだったマイナー最高級の外野手だが、故障などもあり予定より遅いメジャーデビューとなった。
将来的にスーパースターになれる打撃力を持っており、出塁力は今後上げていかなければならないが首位打者は今後数年のうちに狙えるようになるだろう。
今季のナ・リーグの新人の中では最もポテンシャルが高く、デビュー初日でいきなり本塁打も放った。
ハミルトンと並んで今季終了時の成績が最も楽しみな選手だ。





☆デビッド・ヘイル(ブレーブス)
16試合 1勝0敗 防御率1.38 39.0回 19奪三振 17四球 0被本塁打 WHIP1.18

ポテンシャルが高いとは言いがたいが、派手さはなくともしっかりと結果を残す便利屋で、場合によっては先発も任せることができる。
低めに集める投球で被本塁打こそ少ないが三振がとれる、あるいはコントロールがいいといったことはなく、内容はそれほどよくなくとも抑えるタイプだ。
ただその役割的にもあまり印象に残らないので、新人王レースに名を挙げるためには70回 防御率1点台前半といった結果が必要になるだろう。





2014年6月1日日曜日

新人王レースの展望〈ア・リーグ編〉

5月も終了し、これでシーズンの約3分の1が終了したことになる。
あらゆるアワードは今後どういった展開を見せるかはわからないが、新人王に関してはよほど不作でない限りは大体この時点から候補者がある程度しぼられてくる。
それは序盤から出場している方が成績的に有利になるからだ。
昨季6月に昇格して新人王に輝いたマイヤーズや、同じく6月昇格で新人王有力候補の一人にまでなったプイグなどは基本的に例外的存在だと考えていいだろう。
ということで今回は現時点までに昇格しメジャーでプレーしている選手の中から両リーグ各5選手ずつピックアップして成績とともに紹介する。

☆田中将大(ヤンキース)
11試合 8勝1敗 防御率2.06 78.2回 88奪三振 12四球 7被本塁打 WHIP0.95

日本のファンからすれば彼を新人扱いするのも馬鹿らしい話だが、田中は新人の枠を飛び越えてリーグトップクラスの成績を残している。
ほとんどのカテゴリでトップ10入りしており、防御率とWHIPに関してはリーグ1位になっている。
新人王最有力候補であり、また現時点のア・リーグサイ・ヤング賞の有力候補でもある。
怖いのは疲れによる失速と故障くらいだろう。





☆ホゼ・アブレイユ(ホワイトソックス)
44試合 打率.260 15本塁打 42打点 出塁率.312 OPS.908 0盗塁

キューバ史上最高級といっても素材だが、こちらも前評判通りの活躍ぶりを見せている。
一時は本塁打と打点の二冠もキープしていたが、怖いのは故障だけという状態で早速DL入りしてしまい、近いうちの復帰が待ち望まれる。
まだメジャーの水に慣れている段階で本領発揮とはいっていないだろうが、左投手から結果を残せていない、四球が極端に少なく三振が多い、などの弱点は既に見えてきている。
最初の調子が続くのであれば最終的に40本塁打は超えてくるだろうが、ここからは弱点にどれだけつけ込まれないかという戦いになる。
サイ・ヤング賞級のパフォーマンスを見せている田中に対抗するためには、40本塁打 100打点、あるいはタイトル獲得などが必要になってくるだろう。





☆ザンダー・ボガーツ(レッドソックス)
53試合 打率.304 3本塁打 13打点 出塁率.397 OPS.835 1盗塁

上の2人に比べれば少し地味に見えるかもしれないが、彼がキャリアルーキーであるのに対してこちらは21歳の純粋なルーキーだということを考慮すればかなりの好成績だ。
昨季は終盤に昇格しプレーオフでも活躍するなど今季の活躍に期待されたが出足は少々不調。
しかしその後調子を上げて今では2番打者もまかされるようになった。
彼のすばらしいのはしっかりボールを見極める点であり、三振も少なくないがしっかり四球を選び出塁率がかなりの高水準になっている。
パワーもないように見えるが二塁打を量産しており、ペドロイアと少し似たところがあると考えていいだろう。
はまれば本塁打も大幅に増えてもおかしくない。
田中とアブレイユがいなければ最有力候補になれたというところが惜しいが、このまま調子を維持してほしいところ。





☆ヨーダノ・ベンチュラ(ロイヤルズ)
10試合 2勝5敗 防御率3.45 57.1回 59奪三振 19四球 6被本塁打 WHIP1.26

こちらもデビューは昨季のロイヤルズ期待のエース候補。
その特徴はなんと言っても超のつく剛球で、平均球速96.0mph(約155km)、最高では101.9mph(164km)を記録するなど球速においては既にMLBの先発投手で3本指に入る。
そしてそれだけの剛球を操りながらも制球はそれほど悪くなく、かなり迫力ある投手だ。
序盤快調に飛ばしていたのだが5月に入ってからはあまり調子が良くなく、先日は故障の疑いでMRI検査も受けた。
DL入りはせずに済んだのだがこれだけの速球を操るため剛球投手の例に漏れず彼も故障との戦いに苦しむことになるだろう。
また今季の新人王レースにおいては球威以外で同じ投手の田中に勝る点がなく、彼がいる限りはベンチュラが上回る可能性は低い。





☆ジョージ・スプリンガー(アストロズ)
40試合 打率.255 10本塁打 29打点 出塁率.343 OPS.840 1盗塁

大卒でドラフトにかかったため24歳でのデビューとトップ選手のデビューとしてはやや遅いが、アストロズが待ち望んだスター野手候補の満を持しての登場だ。
昨季はマイナーで37本塁打 45盗塁というずば抜けた好成績を残したが、今季は開幕ではなく4月半ばからのデビューになった。
いきなり4番を担ったこともあってか最初こそ苦しんだが5月に入ってからは調子を上げて5月の26試合だけで10本塁打を量産してみせた。
盗塁はまだ少ないなど完全にメジャーに馴染んだわけではないが、だからこそ今後の躍進ぶりが非常に気になるところ。
彼が爆発すれば新人王争いが面白くなること間違いなし。
5ツールを備えたニュースターのパフォーマンスにご注目あれ。