2014年12月27日土曜日

黒田が広島復帰濃厚

広島カープに少し遅いクリスマスプレゼントが届くかもしれない。
このほどヤンキースからFAとなっていた黒田博樹がカープに復帰するという報道がなされた。
以前より黒田はFAになるたびにカープ復帰への可能性が囁かれ、実際彼は複数年契約が得られたであろう状況でも単年契約にこだわってきた。
チカラが衰える前にカープへ復帰したいとの言葉もあり、近年は毎年のようにカープファンは期待してきたことだろう。
しかしMLBとNPB、しかもカープということでその経済力は桁違い。
MLBでは1500万ドル以上の価値を見出されている彼をカープが獲得できる道理はなかった。
黒田の気持ちは嬉しく思うも実際にはMLBで引退すると予想していたファンもたくさんいたはずだ。
しかし今回の報道通りなら、まだMLBでプレーできるレベルにある彼がカープのローテーションへと加わることになる。
年俸は4億円と言われており、MLBでの年俸とは比べ物にならないがそれだけ黒田にとってカープへの思いは強かったということだろうか。

通常日本に帰ってくる日本人メジャーリーガーは衰え、実力的にMLBで一線でやれなくなった選手がほとんどだ。
しかし黒田の場合は違う。
防御率こそ過去5年で最低の数値を記録したが、2桁勝利に200回近い投球回数、防御率3点台と日本に来ることが考えられないレベルの数字を2014年には残している。
年齢は来年40歳と高齢だが、日本のスポーツ新聞がよくいう”現役バリバリのメジャーリーガー”とは違う”本物の”メジャーリーガーがやってくることになるのだ。
それも日本の野球をすでに経験している投手である。
マウンドやボールの違いがあるため多少は感覚を戻す必要はあるだろうが、過去の経験があるため再び日本流にアジャストできる可能性は高い。

データで見ても黒田が非常に能力が高い投手であることは明らか。
パワーピッチは難しくとも洗練された技術により打者を打ち取る能力に長けている。
以下にFanGraphsより2014年の彼の投球データを引用するが、これを見れば彼が未だMLBでローテーションの2,3番手を張れるレベルであることがわかるだろう。

32試合 11勝9敗 防御率3.71 199.0回 146奪三振 35四球 20被本塁打
WHIP1.14 被打率.246 奪三振率6.60 四球率1.58 FIP3.60 xFIP3.54
シンカー 91.0mph(約147km) 39.7% 
スプリッター 86.1mph(約139km) 27.4%
スライダー 82.9mph(約133km) 22.3%
4シーム 90.7mph(約146km) 6.5%
カーブ 76.1mph(約123km) 3.9%
カッター 89.6mph(約144km) 0.3%

2014年の最高球速は94.7mph(約152km)で未だに日本では上位の球威を誇ることが伺える。
マウンドやボールの違い、あるいは年齢的な劣化により来季は球速に衰えが出ることは間違いないだろうが、大きな衰えでなければ問題にはならないはずだ。
今の黒田を支えているのは制球力で、打たせてとるタイプの彼にとっては内野の守備力が重要になってくる。
その点NPB一の二塁守備を誇る菊池がいることが黒田にとって大きなプラス要素になるはずだ。
前年までMLBで一線級の活躍を見せていたからといってNPBで最高クラスの活躍ができるとは限らない。
環境的に大きな違いがあるし、黒田自身年齢という問題もある。
それでもこのレベルの投手が来日するケースは極めて稀であり、彼のプレーは日本中の野球ファンの注目を集めることになるだろう。
彼が日本にいた時のダルビッシュや田中、あるいは今の金子のような数字を残せるとはあまり思えないが、エース級と呼べるくらいの成績はだしてくれるのではないかと私は思っている。
若い先発投手が揃うカープは、エース前田に黒田が加わったことで一気にローテーションの層が厚くなった感がある。
20億円近いオファーを蹴ってカープに戻ってくる黒田は2015年シーズンNPBでの再注目選手になることは間違いないだろう。
願わくば大活躍してカープの偉大なレジェンドとして引退してほしいものだ。




2014年12月13日土曜日

ウィンターミーティングのビッグディールまとめ

毎年開催されるウィンターミーティングでは各球団の編成のトップが集まるため大きな契約、特にトレードなどが決まることが多い。
先日紹介したレスターのカブスとの大型契約もそこで決まったものの一つだ。
ということで4日間に渡るウィンターミーティングで成立した主な契約やトレードをまとめて紹介したいと思う。

FA選手
⚪︎ジョン・レスター→カブス 6年1億5500万ドル(7年目は2500万ドルのオプション)

⚪︎アービン・サンタナ→ツインズ 4年5500万ドル(5年目はオプション)

⚪︎ブランドン・マッカーシー→ドジャース 4年4800万ドル

⚪︎デビッド・ロバートソン→ヤンキース 4年4600万ドル

⚪︎フランシスコ・リリアーノ→パイレーツ 3年3900万ドル

⚪︎ルーク・グレガーソン→アストロズ 3年1850万ドル

⚪︎ジェイソン・ハメル→カブス 2年1800万ドル(3年目は1000万ドルのオプション)

⚪︎ケンドリス・モラレス→ロイヤルズ 2年1700万ドル(3年目はオプション)

⚪︎パット・ニーシェック→アストロズ 2年1250万ドル

⚪︎ジャスティン・マスターソン→レッドソックス 1年900万ドル


トレード
⚪︎ブランドン・モス→アスレチックス
 ジョーイ・ウェンドル→インディアンス

⚪︎ジェフ・サマージャ→ホワイトソックス
 マイケル・ノア→ホワイトソックス
 マーカス・シミアン→アスレチックス
 ジョシュ・フェグリー→アスレチックス
 クリス・バシット→アスレチックス
 ランゲル・ラベロ→アスレチックス

⚪︎ミゲル・モンテロ→ホワイトソックス
 ジェファーソン・メヒア→ダイヤモンドバックス
 ザック・ゴドリー→ダイヤモンドバックス

⚪︎ジミー・ロリンズ→ドジャース
 ザック・エフリン→フィリーズ
 トム・ウィンドル→フィリーズ

⚪︎ディー・ゴードン→マーリンズ
 ダン・ヘイレン→マーリンズ
 ミゲル・ロハス→マーリンズ
 アンドリュー・ヒーニー→ドジャース
 クリス・ハッチャー→ドジャース
 エンリケ・ヘルナンデス→ドジャース
 オースティン・バーンズ→ドジャース

⚪︎ハーウィ・ケンドリック→ドジャース
 アンドリュー・ヒーニー→エンジェルス

⚪︎ウェイド・マイリー→レッドソックス
 ルビー・デラロサ→ダイヤモンドバックス
 アレン・ウェブスター→ダイヤモンドバックス

⚪︎マット・ケンプ→パドレス
 ティム・フェデロビッチ→パドレス
 ヤスマニ・グランダル→ドジャース
 ジョー・ウィーランド→ドジャース
 ザック・エフリン→ドジャース

⚪︎ヨエニス・セスペデス→タイガース
 アレックス・ウィルソン→タイガース
 ゲイブ・スピアー→タイガース
 リック・ポーセロ→レッドソックス

⚪︎アルフレッド・サイモン→タイガース
 ユージェニオ・スアレス→レッズ
 ジョナサン・クロフォード→レッズ

⚪︎マット・レイトス→マーリンズ
 アンソニー・デスクラファニ→レッズ
 チャド・ウォレック→レッズ

 
この中でも特に注目したいのは比較的大物同士が動いたレッドソックス⇄タイガースのトレード、そしてドジャース、マーリンズのそれぞれのいくつかのトレードだ。

レッドソックスは結局せっかく獲得した主砲候補をシーズン開幕を待たずに放出することとなった。
とは言えそこにはレスターを逃した状況でどうしても安定感のある先発投手が欲しかったという事情があるだろう。
実際若くしてメジャーデビューしたポーセロはキャリア前半こそ伸び悩んでいる印象が強かったが大きな怪我なくここまでキャリアを過ごしており、今季はついに15勝200回防御率3点台という大仕事をやってのけた。
もうすぐ26歳と伸び代も十分で今後にはさらに期待できるためレッドソックスとしては悪くない獲得だろう。
これによってレッドソックスのローテーションはバックホルツ、ポーセロ、マイリー、マスターソン、ケリー、ワークマンとネームバリューには欠けるものの頭数だけはそこそこの投手で揃えられたことになる。
若い投手が多いだけに大きなブレイクがあればまた話も変わってくるだろう。
野手に大きな補強をしただけに、投手、特に先発投手の出来は来季の出来を左右するに違いない。

続いてドジャースのトレードだが、せっかく盗塁王にまで成長したゴードンを放出してエンジェルスからケンドリックを獲得した。
悪くはない選手ではあるが、これによって戦力的にアップグレードされたかというとまた微妙なところである。
またフィリーズから落ち目のロリンズを獲得。
長打力とスピードがあることは確かだが完全に下り坂の選手であり、今季までのラミレスと比べると格落ち感が否めない。
これにより来季はロリンズ、ケンドリックという新しい二遊間でいくことが決まったわけだが、これは応急処置的な意味合いが強い。
なぜならドジャースは遊撃にアルエバルエナ、二塁にはゲレーロという2人のキューバ人選手を抱えているからだ。
彼らがまだレギュラークラスの打撃成績を残せるかわからない状況のため上記のベテランたちに白羽の矢がたったが、将来的にはキューバ人による二遊間が結成されると見ていいだろう。
また人材の余った外野においてトレードの噂が絶えなかったケンプをついにパドレスへと放出し、弱点だった捕手をグランダルで補強した。
これで外野はクロフォード、プイグ、イーシア、ペダーソン、ヴァンスライクの5人で戦っていくことになるが、プイグ以外はどの程度やれるのかやや不透明、おそらくドジャースの理想としてはクロフォード、ペダーソン、プイグの3人で組むことだがマイナーでは敵なしのペダーソンが来季どれくらいやれるかにそのあたりはかかっている。

スタントンとMLB史上最大の巨額契約を結んだマーリンズはスタントンのためにもチームを強くしなければならない。
そのせいかこのオフには今の所最も多く選手を動かしている球団の一つとなっている。
攻めのトレードにより得た選手はゴードン、レイトス、ヘイレンなど。
特に投手陣はフェルナンデスが復帰すればフェルナンデス、レイトス、アルバレス、コザート、コーラー、ヘイレン、イオバルディと年齢的にも実力的にも非常に贅沢な先発投手が揃うことになる。
打線も破壊力がある選手こそスタントンやオズーナくらいしかいないがゴードン、イェリッチの1,2番コンビはスピードにおいて脅威でスタントンらの大きな助けになるだろう。
このチームは、あとはどのくらい若手が成長するかにかかっている。
今回のウィンターミーティングを見る限り、マーリンズ、カブスなどの来季の戦いぶりは非常に興味深くなってきたと言えよう。


2014年12月10日水曜日

ジョン・レスターがカブスと6年1億5500万ドルの大型契約に合意

ついにカブスが動き出した。
先日トレードで正捕手候補ミゲル・モンテロを獲得したカブスが今度はFA市場の目玉の一人ジョン・レスターを6年1億5500万ドルというカブス史上最高額で獲得した。
元レッドソックスのエプスタイン率いるカブスは新監督としてレイズの監督だったジョー・マドンを迎えるなど新体制を整えており、プロスペクトなどの充実度からもそろそろ勝負に出る頃とみられていたがここにきて動きを見せはじめた。
当然これでレスターはエースとしてチームに加わるわけだが、これによって先発ローテーションはレスター、アリエッタ、ウッド、ヘンドリックス、和田、そしてこちらもFAで獲得したハメルとそれなりに充実してくることになる。
とりわけレスター、アリエッタ、ヘンドリックス、ハメル、和田が昨季と同じような活躍ぶりをみせればかなり強力なローテーションになるだろう。
リリーフの方はまだ補強の余地があるが、野手はトレード候補を抱えるほど若手で充実しているため彼らをつかって今後も補強することはできる。
近年常に下位に沈んできたこのチームがついに逆襲を果たすときが来たのだろうか。
今後もカブスの動きには要注目だ。

ホワイトソックスがジェフ・サマージャを獲得

ホワイトソックスがアスレチックスとの大型トレードでジェフ・サマージャを獲得した。
概要は以下のとおり。

ジェフ・サマージャ
マイケル・ノア
   ↓
ホワイトソックス

マーカス・シミアン
クリス・バシット
ジョシュ・フェグリー
ランジェル・ラベロ
   ↓
アスレチックス

今回アスレチックスが獲得した選手はラベロを除いた3人がすでにメジャーデビューを果たしており、年齢的にもそれほど若くはない。
しかしいずれもメジャーでは大した数字はまだ残せていないもののマイナーでは好成績を残しているというタイプだ。
特にフェグリーやシミアンは長打力の面で期待できる。
しかしその代わりにサマージャを失ったのはアスレチックスにとって大きな痛手になるのは間違いない。
シーズン中に獲得したサマージャとレスターを失うことでアスレチックスの先発ローテーションはグレイ、カズミアー、ポメランツに加え2014年全休だったパーカーやグリフィンに頼ることになる。
場合によってはチャベスを再び先発で使ったり、ノーリン、バシットといったメジャーではほぼ未知数に近い若手も使うことになるだろう。
実際アスレチックスはそうやってこれまで強豪と渡り歩いてきたのだが、今回は打線の要であるドナルドソンやモスなども放出してしまっているため投手陣の負担が大きくなるのは必至。
そのあたりを今後ビーンGMがどう解決していくのか気になるところだ。
ビリー・バトラーを3年契約で獲得するなど再建期に入るにしては不可解な補強も見せているため、完全な再建期というわけではないだろう。

対してサマージャを獲得したホワイトソックスはどうやら来季に対して本気で挑むようだ。
弱点の一つであるクローザー問題も元ヤンキースのデビッド・ロバートソンを4年4000万ドルで獲得したことで区切りがついた。
先発はリーグ屈指の左腕セールに加えサマージャ、キンターナと並ぶ3本柱はかなり質の高いものになっている。
残りの2枠に絶対的な投手がいないのが未だ大きな穴ではあるが、若手が台頭する余地があるとも言える。
強力ローテーションを持つ同地区のタイガースや成長著しいロイヤルズは地区優勝候補であっても絶対的な存在ではない。
ホワイトソックスもさらなる補強次第では一気に優勝を狙うチームに変貌を遂げる可能性がある。

2014年12月7日日曜日

ヤンキースがジーターの後継者候補を獲得

サンドバル、ラミレスというFA市場の大物を最大のライバルであるレッドソックスに持って行かれ、例年のようにオフシーズンを賑わすことの少なかったここまでのヤンキースだが、このほどトレードとFAで若手遊撃手とセットアッパーを獲得することに成功した。

FAで獲得したセットアッパーはアンドリュー・ミラー(29)。
契約内容は4年3600万ドルでリリーフとしては高額の部類だが、過去3年ア・リーグ東地区で残した実績と成績が毎年向上していることを考えれば年齢的にも悪くない契約だ。
ただ過去3年で約130回と多少なりとも怪我のリスクがあるのは少々怖いところ。
これで今季ブレイクしたデリン・ベタンセスとともにリリーフの軸ができ上がったことになるが、おそらくロバートソンが抜けるであろうクローザーの穴にどちらが収まるのかはわからない。
ヤンキースは他にも左のリリーフのジャスティン・ウィルソンをパイレーツから獲得しており、またアダム・ウォーレンらもいることからリリーフ全体としては徐々に整備されつつあり年齢的にも悪くはなくなった。



そしてもう一つの動きが若手遊撃手ディディ・グレゴリアス(24)の獲得。
ダイヤモンドバックス、タイガースを含んだ三角トレードで、概要は以下のようになった。

ディディ・グレゴリアス→ヤンキース
シェーン・グリーン→タイガース
ロビー・レイ→ダイヤモンドバックス
ドミンゴ・レイバ→ダイヤモンドバックス

ヤンキースが放出したグリーンは派手さはなくともルーキーながら今季しっかり結果を残した先発投手で、来季も先発ローテーションの貴重な戦力として働くはずだったために惜しい存在ではある。
しかしヤンキースにとって急務である遊撃手の補強の方が優先順位としては上。
グレゴリアスはジーターの後釜として据えるには力不足の印象は拭えないが、高額の中堅選手ではなく若手を獲得できたことは一定の評価に値するのはではないか。
ダイヤモンドバックスとしても余剰戦力になりかけていたグレゴリアスを若いプロスペクトに替えられたのは願ってもない話であっただろうし、今の所全チームがしっかり欲しい部分を補強できたトレードとなっているのではないだろうか。
ヤンキースとしてはとにかくグレゴリアスがせめてレギュラーに定着するだけの成績を残してくれることを祈るばかりだ。