2013年7月31日水曜日

今季一番のビッグトレードが成立

大物の移籍があまりなかった今季のトレード市場で最大のビッグディールが発表された。
3チーム7選手が絡むトレードだ。
概要は以下の通り。

”ジェイク・ピーヴィ” ホワイトソックス → レッドソックス

”ホゼ・イグレシアス” レッドソックス → タイガース

”ブライアン・ビラレアル” タイガース → レッドソックス

”アビセイル・ガルシア” タイガース → ホワイトソックス

”J.B.・ウェンデルケン” レッドソックス → ホワイトソックス

”フランセリス・モンタス” レッドソックス → ホワイトソックス

”クルルイス・ロンドン” レッドソックス → ホワイトソックス

このトレードの中心はもちろんジェイク・ピーヴィだ。
2007年に投手三冠で満票というほぼ完璧な内容でサイ・ヤング賞を獲得し、リーグ最高峰の先発投手となった。
その後は怪我にも悩まされたが2009年シーズン途中にホワイトソックスへとトレード。
しかし移籍後は怪我もあって思うような結果を残せずにいた。
そうして期待はずれの烙印を押されて迎えた2012年は久々に健康にシーズンを過ごすことができ、200イニングや2008年以来の2ケタ勝利も達成した。
今季は序盤から内容は悪くないものの再び怪我に悩まされ1ヶ月半ほど離脱していた。
7月20日に復帰し2試合に登板して復活を印象づけたが、フラッグ・ディールの主役としてマット・ガーザとともに注目されていた。
ピーヴィを必要としたレッドソックスは、レイズの怒涛の追い上げによって首位の座を明け渡しており、投手力に課題がでていた。
先発ローテーションは現在ラッキー、ドゥブロントの二人が好調だがレスター、デンプスターがあまり調子がいいとは言えず、絶好調だったバックホルツは6月8日以来投げていない。

もう一人注目なのはタイガースに移籍したホゼ・イグレシアス。
既にMLB最高峰の遊撃守備力をもつキューバ人であり、打撃が課題と言われ続けてきたが今季はメジャーで打撃がブレイク。
流石に調子が落ちてきたが未だ打率3割を維持しており、守備力を考えれば十分すぎる活躍を見せている。
タイガースは遊撃にペラルタを擁しており、攻守に渡って素晴らしいパフォーマンスを発揮しているが、マイアミ・スキャンダルで名前が挙がっている選手でもある。
また契約も今季限りで切れるため、守備力に不安のあるタイガースとしてはイグレシアスをその後釜にしようと考えているのだろう。

2013年7月29日月曜日

ナ・リーグで驚異の新人対決!

ア・リーグでは松井の引退式やジーターの復帰第一号などがあったが、その裏でナ・リーグのマーリンズ対パイレーツの試合では驚異の新人対決が行われていた。
躍進中のパイレーツと弱小マーリンズという一見魅力的ではなさそうなカードなのだが、先発した投手はゲリット・コールとホゼ・フェルナンデスの二人。
両投手とも今季デビューしている大型新人であり、コールは2011年全体1位、フェルナンデスは2011年全体14位指名の同期でもある。
この二人にはさらにパワーピッチャーであり、今季センセーショナルな活躍をしているという共通点もある。

この試合に注目していたファンもこの両投手の投げ合いに期待していたはずだ。
そして実際に両チームが打撃はそれほど良くないことも手伝って試合展開は期待通りのもになった。
フェルナンデスは2回に先制点を許したものの、その後はほぼ完璧な内容で奪三振ショーを見せつけ、コールも好調スタントンに勝ち越し本塁打を許したもののQSで収めた。

フェルナンデス 8回 5安打 2失点 0四球 13奪三振
コール 7回 4安打 3失点 2四球 8奪三振

偶然にも両者ともにこの試合でキャリアハイの奪三振を記録したことになり、スタントンの活躍もあってこの試合はMLBの将来を予見させた。
数年後この2投手が大エースとして君臨している可能性は高く、そんなスーパースターの歴史を一から見られるのは幸せなことなのかもしれない。

ホゼ・フェルナンデス(20)
7勝5敗 防御率2.71 119.2回 124奪三振 42四球 WHIP1.04

ゲリット・コール(22)
5勝4敗 防御率3.56 55.2回 37奪三振 12四球 WHIP1.13


2013年7月28日日曜日

高齢ヤンキースに宿る微かな希望

今季のヤンキースはある意味で驚異的だ。
例年チームを引っ張ってきたジーター、テシェイラ、グランダーソン、ついでにA・ロッドを欠き、正捕手不在というボロボロの状態で未だに勝率5割をキープしているのだ。
ア・リーグ東地区のレベルが高いこともあって順位的には見栄えがよくないが、この悲惨な戦力から考えればかなり健闘していると言っていいだろう。
例年なら常にリーグ上位に来る打撃スタッツはすべて下位をさまよい、自慢の強力打線は跡形もない。
そんなヤンキースを支えているのは投手陣。
野手は高齢化のあまり夢も希望もなくソリアーノまで呼び戻してしまう状態だが、投手の方には今季だけでなく来季以降のヤンキースを考えた場合には希望と言える選手が幾人かいる。

まずは黒田博樹。
この偉大な日本人投手は、今年が38歳ということもあって成績悪化が懸念されていた。
しかし蓋を開けてみるとサバシアも不調の先発ローテーションにおいてヤンキースファン唯一のオアシスとして素晴らしい活躍を見せているのだ。
その投球術は年をとるごとに円熟味をまし、洗練されていっているようにも思える。
彼の投球スタイル自体もヤンキースタジアム向きで、ニューヨークのプレッシャーにも押しつぶされない精神力には脱帽だ。
今季終了後もヤンキースは黒田にオファーを出すことになるだろうし、ファンもそれを望んでいるはずだ。
彼の投球スタイルを考えればあと2,3年程は第一線で活躍できる可能性もあり、ヤンキースが常勝チームへと戻る上で必要不可欠な選手になりつつある。

お次はイバン・ノバ。
サバシアすらも没落傾向にあり、もはやヤンキースの先発ローテーションにおいてまともな投手は黒田しかいないと嘆く声もあるが、実は26歳のノバがブレイクしつつあるのだ。
2011年に16勝 防御率3.70という成績を残しながらも、投球内容に対する評価は高くなく、その予想通り翌2012年には防御率5.02と大きくスタッツを落とした。
しかしそれは被本塁打が大幅に増えたことによるもので、制球力が変わらず三振が増えたことでK/BBは劇的に改善されていた。
そこで彼は被本塁打を減らすことをこころがけたのか今季2シームの割合を大幅に増加させた。
4シーム、2シーム、カーブという3球種を軸に投球を組み立てることにしたのだ。
その試みは成功し、今のところ被本塁打を減らし、高い奪三振力も維持することに成功している。
いわばヤンキースタジアム向きの投球スタイルが完成したとも言ってよく、ヤンキースは思わぬ形で若い好投手を手にいれたことになる。
来季以降サバシアと黒田を左右のエース、ノバを3番手として使えるのならばかなり強力な三本柱になるはずだ。

さらにマイケル・ピネダ。
彼は名を上げた2011年以来メジャーのマウンドで投げていない。
トレードされて早々に怪我で長期離脱したからだ。
とはいえポテンシャルの高さは誰もが認めるところ。
そんな彼が今季マイナーで順調に階段を上りつつある。
以前と同じクオリティの投球を披露できるかどうかはわからないが、近いうちにまたメジャーで投げる日が来るはずだ。
怪我で1年を棒にふっても彼はまだ24歳であり、ポテンシャル的に今後のヤンキースのエースになるとすればピネダがふさわしいはずだ。
とにかく今季の第一目標はメジャーで投げること、そして来季以降はローテーションを守ること。
もしかすると今季終盤の救世主になるかもしれないが、彼の長期の活躍に期待しておこう。

最後にデビッド・ロバートソン。
彼は2011年のブレイク以降ヤンキースリリーフの重要な歯車として活躍してきた。
少なくとも今のヤンキースではリベラに次いで優秀なリリーバーだ。
しかしそのリベラも今季での引退を表明しており、ヤンキースはその後釜を探さなくてはならない。
クローザー経験者を補強するという手ももちろんあるが、総年俸を削減したいチームが一番期待しているのは28歳のロバートソンがそのままクローザーに収まることだろう。
リベラの後釜というのは並大抵の投手には務まらないし、MLB史上最高のリリーバーだった前任者と常に比較されること(しかもニューヨーク)でそのプレッシャーは計り知れないものがあるだろうが、能力的にはクローザー向きでここ数年重要な場面で投げてきたロバートソンならやれるだろう。




2013年7月25日木曜日

ドジャースとレイズが止まらない

オールスターも明けて今最もホットなチームと言えばア・リーグではレイズ、ナ・リーグではドジャースだ。
両チームとも、開幕前には優勝候補の一角とされながら下位に沈んでいた時期があったということと、投手重視のチームカラーという共通点が存在する。
7月に入ってからレイズは17勝3敗、ドジャースは15勝4敗という驚異的なペースで勝ち星を積み重ねており、特にドジャースは後半戦が始まってから6連勝している。

それではどうしてこの2チームはここまで勝てているのだろうか。
7月のチームスタッツを見れば理由は一目瞭然だ。

タンパベイ・レイズ
打率.280(リーグ1位)
22本塁打(リーグ3位)
97得点(リーグ3位)
出塁率.344(リーグ2位)
OPS.773(リーグ3位)
19盗塁(リーグ1位)
防御率2.20(リーグ1位)
WHIP0.93(リーグ1位)

ロサンゼルス・ドジャース
打率.301(リーグ1位)
24本塁打(リーグ2位)
113得点(リーグ1位)
出塁率.360(リーグ2位)
OPS.831(リーグ1位)
8盗塁(リーグ8位)
防御率2.81(リーグ1位)
WHIP1.13(リーグ1位)

両チームともに攻撃力・守備力でリーグトップクラスのパフォーマンスを披露しており、それが見事に噛み合っているのだ。
しかもこれは別にフロックでもなんでもなく、本来こうあるべきだった戦力通りの姿が出ているだけなのだ。
そしてもちろんそれぞれキーになるプレイヤーもいる。

レイズは序盤大不振に陥ってDL入りしたプライスがスタイルチェンジを経て素晴らしい復活を遂げた。
7月の復帰以降5試合のうち全てで7イニング以上、そしてそのうち3度は完投なのだ。
コントロール重視の投球に変わったことで非常に長いイニングも投げられるようになっている。
またDL入りしていたため開幕からフルで投げている投手に比べると疲労がたまっていないのもアドバンテージになる。
加えてムーアやマイヤーズといった若い選手も実力を発揮し始め(マイヤーズはなんと6試合連続マルチヒット中だ) 、チーム全体が勢いにのっている。
このままいけば足が鈍り始めたレッドソックスを抜いてしまうのも時間の問題だ。

ドジャースは元々強力だった先発投手に加えて打線がネームバリューにふさわしい力を発揮している。
ケンプが怪我がちになってしまったということを考えてもしばらくはこの勢いは鈍りそうにない。
積極的に補強もしており、既に地区首位にもなっている。
怪我人が今後戻ってくることを考えればこのまま最後まで突っ走ってもなんの不思議もないだろう。

2013年7月23日火曜日

MLB薬物問題についに大きなメス 一方今季最初のビッグトレードも

薬物問題に本腰を入れているMLB機構がついに大きな決断を下した。
今シーズン前に発覚したある薬物問題―マイアミのクリニック「バイオジェネシス」が複数のMLB選手に対して禁止薬物を販売したとされた―によって20人近い選手の名前が新たに薬物使用者として挙げられた。
この中にはすでに薬物の象徴として名高いA・ロッドや、一度は検査で陽性が出たライアン・ブラウンなどトップ選手の名前もずらりと並んでいた。
MLBでは”ミッチェル・リポート”という薬物スキャンダルを機に、薬物に対しての処遇がどんどん厳しくなっている。
今では1度薬物検査に引っかかると50試合出場停止、2度目は100試合出場停止、3度目は永久追放という処分も定められている。

そしてこれだけ制度が整備された中での今回のマイアミ・スキャンダルだ。
今回の件に関して、MLBは非常に厳しい処分を下すことを決意した。
実際に薬物検査で陽性が出ていなくても、クリニック側の証言の聞き取りによって出場停止処分を下すことにしたのだ。
そして薬物使用を公的に否定した時点で2度目の薬物使用に値するという見解を出した。
これによって断固否定したブラウンやA・ロッドの処分はさらに重くなってしまった。
そしてついに7月19日にDLから復帰したばかりのブラウンは今季残り試合を全て出場停止となった。
おそらく現在マイナーで調整中のA・ロッドにも復帰すれば同じような処分が下るだろう。

これは度重なる薬物スキャンダルによってイメージを損なわれているMLBが今度こそ薬物を根絶するという意思表示にほかならない。
今やMLBの薬物検査も進化を遂げており、罰則や検査はオリンピックに準ずるレベルにまでなっている。
それでも薬物も進化しており検査をかいくぐるケースは出てくる。
特に好成績を残して一攫千金を狙っているラテン系の選手は(今回名前が挙がった選手も残念ながらほとんどがラテン系だ)、大きなリスクを犯してでも薬物に手を出すことはやめないかもしれない。
しかし選手会や機構が足並み揃えて薬物追放を目指し始めたことで、いつしかMLBが世界一クリーンなプロスポーツ機構になることをファンとしては信じたい。


この重い話題の一方で、低調だった今季のトレード戦線にようやくビッグトレードが顔を出した。
大物、というにはやや微妙だが今季の目玉の一人とされていたマット・ガーザがレンジャーズへ移籍したのだ。
交換要員となったのはC.J・エドワーズ、ジャスティン・グリム、マイク・オルトなど。
中でも昨年AA95試合で28本塁打を放ったマイク・オルトは今後のレンジャーズを支えていく選手だとされていたほどの有望株だったのだが、AAAに昇格した今季のパフォーマンスが低調だったことでどうやらレンジャーズもプロテクトしておくほどではないと見切りをつけてしまったようだ。
また投手のエドワーズも今季A+で防御率1.83と絶賛ブレイク中だ。
まだこのトレードが両者にとって正解だったのかどうかはわからないが、これをきっかけにトレード戦線がもっと活発になっていくと面白くなるだろう。



2013年7月21日日曜日

パイレーツの強さの秘密は?

今季はピッツバーグ・パイレーツが好調だ。
パイレーツはここ数年何度も前半戦健闘しつつも、最終的には勝率5割の壁を超えることができなかった。
昨季はオールスター前まで48勝37敗で首位に立っていながら後半失速し最終的には79勝83敗で4位に甘んじてしまったのだ。
これによってアメリカンスポーツ史上初となる20シーズン連続負け越しという不名誉な記録まで樹立してしまった。
しかし少なくともここ数年のパイレーツは以前のような弱小ではなくなったことは確かだ。
終盤失速してしまうのはやはり地力がまだ他チームより下回っているからだが、言い換えれば勝ち方を知らないというも言える。
それでも安牌ではなくなり、毎年成長しつつあるパイレーツは他チームにとっても非常に脅威になっている。
今季は現時点で56勝39敗でカージナルスに次ぐ地区2位だが、勝率.589はMLB全体3位という好成績だ。
地区2位に甘んじているのはカージナルスが強すぎるせいだとも言えるだろう。
今季こそ不名誉な記録を終わらせることができそうだが、パイレーツはどうしてこれほど強くなったのだろうか。

まずはチームスタッツをみてみよう。

打率.243(リーグ12位)
94本塁打(リーグ5位)
得点364(リーグ13位)
出塁率.310(リーグ11位)
OPS.700(リーグ11位)
68盗塁(リーグ4位)

防御率3.09(リーグ1位)
スターター防御率3.33(リーグ1位)
リリーバー防御率2.73(リーグ2位)
K/BB2.38(リーグ11位)
72被本塁打(リーグ2位)
FIP3.67(リーグ5位)
xFIP3.76(リーグ4位)
WHIP1.19(リーグ2位)
34セーブ(リーグ1位)

数値を見れば一目瞭然。
攻撃面で優秀なのは長打力と機動力のみで、このチームは投手力でここまできている。
その軸になっているのがニューヨークのプレッシャーから解放されたAJ・バーネット、復活したフランシスコ・リリアーノ、大ブレイクしているジェフ・ロック、実績抜群で安定しているワンディ・ロドリゲス、そしてMLB最高の投手になることが期待されている全米1位選手ゲリット・コールという弱点の見当たらない先発ローテーションと、今やリーグ有数のクローザーとなったジェイソン・グリリ、ブレイクし絶対的セットアッパーとなったマーク・メランソンである。
つまり最重要な先発、クローザー、セットアッパーのそれぞれが安定していることがこの強さの秘密である。
もちろん他のリリーフスタッフも好投している選手ばかりで、投手に関してはリーグ有数のものになっている。

だが、実は昨季も平均以下の得点力とリーグ有数の投手陣という似たような状況から終わってみれば勝率5割を切る結果になったのだ。
基本的に投打のどちらかに依存していて好成績を残していたチームというのは終盤になって疲れが出ると一気に順位を落としやすい。
今季はより投手依存なだけにここからまた昨季のように順位を落とすのではないかという危惧もある。
だが、今季は昨季と大きく違う点が一つある。
それは先発ローテーションの質だ。
昨季も前半戦はリリーフが防御率リーグ1位の好投を見せていたのだが、終盤にスタミナ切れをおこしリリーフ防御率は終わってみればリーグ7位まで後退した。
前半戦で防御率リーグ7位だった先発投手陣も崩れて結局最後には平均以下の投手陣になってしまったのだ。
だが今季はリリーフだけでなく先発もリーグ最高クラスだ。
先発、リリーフのどちらかが終盤調子を落としたとしても、なんとか耐えきることができるはずのレベルには達している。
しかも素晴らしいことに先発ローテーションではロドリゲス以外はみんなセイバーメトリクス的にも優秀な数値を残しているのだ。

そしてもう一つ昨季と違う好材料は守備の成長だ。
パイレーツの主力野手は若い選手が多く、常に成長している。
昨季は平均以下だったパイレーツ守備陣は大きく成長し、今季はDRSリーグ2位、UZRリーグ3位という数値が出ている。
特にマッカッチェンの守備がついに向上し、元々守備はトップクラスのマーテがいることで外野の守備力が非常に高いことが大きい。
センターラインの守備がいいというどこのチームでも羨む状況なのだ。
投手力が高く守備がいいという優秀な”守り”のチームになったわけだが、これは本拠地が投手有利であることを考えるとかなり効率的だ。
実際アウェイになるとチームOPSがリーグ4位になるなど打線もそれほど悪くない。

つまり今季のパイレーツの好調の最大の秘密は”本拠地にあってチームカラーを作りあげることができているから”ということになる。
そう考えればこの強さはフロックでもなんでもない。
パイレーツは強いチームになる条件をしっかり揃えてきたわけだ。
大きな故障に見舞われなければおそらく今季こそは不名誉な記録とおさらばできる。
それだけでなくポストシーズンに進出することになるだろうし、そうなれば投手力の高いパイレーツは短期決戦では有利に試合を進めることができる。
一つ大きな不安材料を挙げるなら、チームに”勝ち方を知っている”選手が少ないという点だが、それは今後身につけていくしかない。
ピッツバーグのファンが歓喜に湧く日もそう遠くはないはずだ。





2013年7月19日金曜日

前半戦総括と今後の展望<ア・リーグ東地区>

レッドソックス 58勝39敗 .598
レイズ 55勝41敗 .573
オリオールズ 53勝43敗 .552
ヤンキース 51勝44敗 .537
ブルージェイズ 45勝49敗 .479

レッドソックスが4月のロケットスタートから地区1位を維持し続けている。
一時は全チームが勝率5割越えも経験した激戦区において1位を維持することは非常に困難だが、それができているレッドソックスは今後も地区優勝の最有力候補となってくるだろう。
その強さの秘密は強力な打線と先発投手であり、実績ある選手がほとんどなだけに怪我以外で多くずれする可能性も低い。
弱点のリリーフは上原をクローザーとして固定できたことと、フラッグディールで補強することによって解決できるはずだ。
ここが改善されれば磐石な体勢が出来上がる。

その盤石な首位を猛スピードで追い詰めつつあるのがレイズだ。
序盤下位に沈んでいたのが嘘のような猛追で、7月に入ってからオールスター前までで12勝2敗という驚異の安定感を誇っている。
開幕後しばらくはチームを打線が支えており、自慢の投手陣が崩れていた。
しかしプライス、ムーア、ロドニー、マギー、ヘリクソンが復活し、アーチャーがブレイクしていることで投手王国が再建されつつある。
今最もノリにノっているチームであり、7月中にレッドソックスと並ぶかもしれない。

昨季の躍進は得失点率を考えればやや出来すぎだった。
そのため今季開幕前は再び最下位に転落するのではないかとも危惧されていた。
実際開幕してみると自慢の強力打線にはさらに磨きがかかり、デイビス、マチャドらのブレイクもあって破壊力だけならMLB屈指のものとなった。
だが投手力が不安定で未だにレッドソックスをとらえることができていない。
他チームに比べてエースと呼べるレベルの投手がおらず、補強も難しいだろう。
フェルドマンの補強とチェンの復帰によって先発の安定感は増すはずだが、打線頼みのチームは後半に調子を落とすことも多いだけに上位2チームに比べると伸びしろは薄い。
キーになってくるのは昨季同様リリーフになるだろう。

高齢選手だらけのヤンキースがこの勝率を保っているのは驚きだ。
毎年リーグ最高クラスの得点力を誇っていた打線が一気にリーグ下位レベルにまで落ちてしまったが、投手陣の踏ん張りでなんとかもっている。
これぞ勝利のメンタリティとでも言うべきか、後半戦ジーターの復帰はかなりの好材料になるが、もう一人の復帰予定選手A・ロッドの出来は意外にもチームの命運を左右することになるかもしれない。
逆に言えばA・ロッドに頼らなければいけないところまできているということで、名門が近年ないほどの窮地に陥っているということが伺える。
その中にあって高齢日本人選手イチローと黒田の活躍は特筆ものだが、やはり後半の伸びしろがあまりないためここからの逆転優勝というシナリオは中々描きづらい。

ア・リーグ東地区において唯一勝率5割を切っているブルージェイズは、開幕前のファンの期待を大きく裏切っている。
どうしてそうなったのかは明白だ。
補強して強力になったはずの先発ローテーションがほぼ全滅。
ジョンソン、ディッキー、バーリー、モローという名前だけなら一流の投手たちが全員防御率4.50より悪いという体たらくで、未だ改善傾向にない。
補強して総入れ替えということもできないだけに、今季の優勝は非常に難しいだろう。
彼らはすべて豊富な実績を備えているという点だげが救いだ。

2013年7月15日月曜日

覚醒したパワーヒッター、クリス・デイビス

クリス・デイビスの存在は今季のMLBにおいて最も話題になっていることの一つだ。
現時点での成績は以下の通り。
95試合(リーグ6位)
打率.315(リーグ7位)
37本塁打(リーグ1位)
93打点(リーグ2位)
70得点(リーグ2位)
27二塁打 (リーグ4位)
出塁率.392(リーグ6位)
長打率.717(リーグ1位)
OPS1.109(リーグ2位)
fWAR5.1(リーグ3位)
rWAR4.5(リーグ6位)

打撃面においてあらゆる点でリーグトップクラスであり、本塁打に関してはずば抜けての1位。
このペースを維持し続ければ最終的には60本も夢ではない。
近年最も本塁打を打てる選手と言えばホゼ・バティスタであり、彼は過去5年で唯一50本越えを達成した打者だったが、その立ち位置はもはやデイビスのものへとなりつつある。

デイビスは決して弱点のない打者ではない。
ハイレベルなタイトル争いを繰り広げているミゲル・カブレラは現役最強の打者であり、弱点と言えるものはもはやないと言える完璧に限りなく近い打者だがデイビスはまだその域には達していない。
彼は三振が多く選球眼も特筆すべきレベルには達していない。
コンタクト能力に関してはMLB平均レベルですらないし、対右OPS1.239 対左OPS.857というデータは彼が左投手を苦手とする典型的な左の強打者であることを示している。
打者としてはカブレラほどの練度は有していないのだが、デイビスはそれとほぼ同様の怖さを演出することのできる現役唯一の打者になりつつあるのだ。

突然ブレイクしたかのようにみられるデイビスだが、彼はいつこうなってもおかしくないポテンシャルを秘めた選手だった。
ドラフト5巡目とそれほど高くない評価でプロ入りすると1年目に69試合で15本塁打、2年目には129試合で36本塁打と順調にパワーヒッターとして成長していった。
3年目の2008年にはさらに成長しAAAまで駆け上がり、22歳でメジャーデビューすると80試合で17本塁打 OPS.880という数字を残すなど将来を期待された。
しかしそこからは少しづつ伸び悩むようになり、メジャーにはなかなか定着できずにいた。
マイナーでは圧倒的な活躍をみせるが、メジャーでは活躍できない典型的な選手になってしまったのだ。
しかも強豪になったレンジャーズのチーム事情のため、不調のデイビスをメジャーで使ってのんびり経験をつませるということもできなかった。
そして2011年にはついにレンジャーズも見切りをつけてオリオールズへとトレード。
しかしこれが転機になって彼は変わる。
ホゼ・バティスタはブルージェイズで安定して起用されるようになったことがブレイクのきっかけだと語ったことがあったが、デイビスもそうだった。
定着した2012年には139試合で33本塁打してオリオールズ躍進の立役者の一人になったのだ。
もちろん彼のここまでのブレイクを予測した者はいなかっただろうが、彼はいつ本塁打王争いの主役になってもおかしくない選手だった。
最近は打率が落ち始め、ここまでがすべてにおいてできすぎだったことを考えればオールスター以降成績を落とすことになるだろう。
しかし本塁打に関しては相変わらず打ち続けるはずだ。
ファンは50本塁打はもちろん、60本塁打も期待していいだろう。
とりあえずはホームランダービーでのパフォーマンスに期待といったところだろう。

2013年7月14日日曜日

ティム・リンスカムがノーヒットノーランを達成!

MLBでホーマ・ベイリーに続いて今季2度目のノーヒッターが達成された。
達成したのは2年連続サイ・ヤング賞などの輝かしいキャリアを持ちながらもこの2年苦しんでいるティム・リンスカム。
パドレスとの一戦で9回を13奪三振4四球、そしてMLBではめったにない148球という熱投になった。
相変わらず制球には苦しんでいるし以前ほどの球威はないが、13奪三振というのはまさに奪三振マシーンリンスカムの投球だ。
これを復活の兆しと言ってもいいのかどうかはわからないが、最近の調子はそれほど悪くはなく、少なくとも昨季のような成績にはならないだろう。
背の小さな投手は長持ちしないと言われる。
リンスカムのここ2年の不調に対して「それみたことか」と考えている識者も少なくはないだろう。
リンスカムはそういった定説の例外になれるのかどうか。
今季29歳になった彼にとって今季は正念場だ。

2013年7月12日金曜日

ドジャースついに勝率5割に!

序盤低迷し最下位も経験したロサンゼルス・ドジャースがついに勝率5割の2位にまで浮上してきた。
1位ダイヤモンドバックスとのゲーム差はわずか1.5であり、地区優勝も本格的に見えてきた。
7月に入ってから7勝2敗と抜群の安定感を誇るこの最大の要因は打線だ。
7月のチーム打撃成績は打率・本塁打・OPSでいずれもリーグ1位になっている。
当然投手も調子がよくチーム防御率はリーグ2位だ。

この好調は以下の選手が支えている。

ハンリー・ラミレス
35試合 打率.409 8本塁打 24打点 OPS1.192 4盗塁
DLから復帰してからひたすら好調が続いている。
守備は相変わらずだが打撃貢献度が非常に高く、いい場面でよく打ってくれる。
昨日も延長だ決勝本塁打を放ち、スーパースターが2年ぶりに復活といったところか。

ヤシエル・プイグ
35試合 打率.394 8本塁打 19打点 OPS1.061 5盗塁
今最も話題のルーキーは最近調子が落ちてきたが、オールスターの最後の一人候補にも選ばれどんどん知名度をあげている。
攻撃的なプレースタイルで強肩を活かして守備でも魅せる。
まだまだあらっぽいところもあるが、今季の活躍はここからスーパースターになっていくための第一歩なのだろう。

エイドリアン・ゴンザレス
87試合 打率.300 14本塁打 58打点 OPS.842 
昨季は本塁打が一気に少なくなり、今季も彼の実績を考えると長打力不足ではあるのだがチームが乱交下する中で開幕から安定して活躍している。
今後も彼に関してはあまり心配する必要はないのではないだろうか。

クレイトン・カーショウ
19試合 8勝5敗 防御率1.89 138.1回 129奪三振 34四球 WHIP0.90
投手三冠だった2011年に次ぐ素晴らしいシーズンを送っており、防御率は規定投球回の投手の中では唯一の1点台だ。
サイ・ヤング賞の最有力候補であり、絶対的エースとして君臨している。
もしこのまま調子を落とさずいけば2005年のクレメンス以来の防御率1点台になる。

2013年7月9日火曜日

長期大型契約の経過

長期大型契約というと現在ではだいたい5年以上総額1億ドル以上の契約をさす。
言うまでもなくそのメリットは主力を長期間軸として据えると同時に、うまくいけばお買い得になる可能性もあるという点だ。
しかし当然そこには大きなリスクも孕んでいる。
長期における怪我をしてしまえばその契約に対する評価は地に落ちるし、球団にとっての損失も大きい。
さらに長期大型契約を何人も抱えてしまうとぜいたく税から逃れられなくなったり、他のポジションの補強への大きな弊害へとなってしまうことも少なくない。
今回はそんな大型契約選手の途中経過をいくつか見ていこう。

アルバート・プホルス(エンジェルス) 10年2.5億ドル ~2021
プホルスは、この現役最高クラスの超大型契約を既に全盛期がすぎた状態で結んだ。
おそらくエンジェルスの考えとしては、最初の5年程今まで通りの活躍を見せてくれればその後は多少衰えても問題ないと見込んでいたのだろう。
しかし移籍一年目で早くも不振に陥り、後半息を吹き返したもののの最終的なスタッツはキャリアワースト。
さらに二年目の今季も考えられないくらい成績を落としており、未だ復調の気配は見えない。
このまま続くのであればA・ロッド以上の史上最悪の大型契約になる可能性すらある。

ジョーイ・ボットー(レッズ) 10年2.25億ドル ~2023
決して金満とは言えないレッズがボットーをフランチャイズプレイヤーとして引退させると決意したのは昨年のこと。
既にあった契約と合わせて2023年までの超長期契約となっている。
昨年は怪我をしてしまったが成績自体はMVP級のもので、今季もオールスター投票で選出されるなどMVP級のシーズンを送っている。
今のところ危険な兆候は見えないが、ここまで長期になってくるとどうなるのか全く予想がつかない。

アルフォンゾ・ソリアーノ(カブス) 8年1.36億ドル ~2014
A・ロッド、ウェルズと並ぶ不良債権の代表格。
もう契約も終盤まできており、本塁打だけみればそこまで悪くないようにも思えるのだがこの期間中一度もOPS.900を超えたことがなく、30本以上を記録したのも2度だけとなればやはり契約に見合った活躍をしているとは言い難い。
特に出塁率MLB平均か平均にも達していない年があるのは現代のMLBでは痛い。
これからもしばらくは不良債権の代名詞的存在として語り継がれるだろう。

 トロイ・トゥロウィツキー(ロッキーズ) 10年1.57億ドル ~2020
間違いなく現役最高の遊撃手であり、その攻守における能力の高さはMLB史上でも有数だ。
しかし怪我が多いというこの一点が彼の評価を難しくしている。
この契約も彼が試合にでさえすればお買い得になった可能性が高いが、2012年は47試合にしか出場しておらず今季もDL入りで離脱している。
しかし平均120試合程度に出られればこの契約は成功にカテゴリされるだろう。
それくらい彼は試合に出た時のパフォーマンスが高い。

 プリンス・フィルダー(タイガース) 9年2.14億ドル ~2020
ア・リーグ一年目の昨季は非常に安定した活躍でミギーの三冠王をアシストした。
しかし本塁打数自体は減ってきており、今季のパフォーマンスもブルワーズ時代のものと比べると見劣りする。
守備貢献度が非常に低いだけに、彼に求められる出塁能力と長打力の二つでもっと力を発揮しないと晩年が不安になる。
OPS.850をきる年がでてくるようだと黄色信号だろう。

ミゲル・カブレラ(タイガース) 8年1.9億ドル ~2015
彼に関しては文句のあるファンはいないだろう。
守備・走塁の貢献度は低いがもはやそんなことはどうでもいい。
この長期契約も大成功で終わるはずだ。

エイドリアン・ゴンザレス(ドジャース) 7年1.54億ドル ~2018
昨季は契約二年目にしてトレードの憂き目にあったが、彼のパフォーマンスは安定しているようにみえてやや低調だ。
特に彼はペトコ・パークで40本塁打も記録したという経歴から長打力が非常に期待されていたのだが、近年は年々本塁打数が減ってきている。
せめてOPS.900くらいの活躍は数年やってほしいところだが、今のところはやや微妙になりつつある。







2013年7月8日月曜日

トリプルスリーは今年も現れるのか

近年MLBではノーヒッターが頻発しているのだが、増加傾向にあるのはノーヒッターだけではない。
トリプルスリー、いわゆる3割30本30盗塁は万能な打者の証左であり、MLBの歴史でも達成者は少ない希少価値の高い記録である。
本来ならば2,3年に1度出るか出ないかというくらいの記録なのだが、ノーヒッター同様達成者が増えておりここ2年でのべ5人が達成している。
達成者はジャコビー・エルズベリー、マット・ケンプ、ライアン・ブラウン(2年連続)、マイク・トラウトだ。
全員まだ現役だが、残念ながらこのうちの三人は今季の達成の可能性が非常に低い。
エルズベリーは2011年に長打力が開化したが12年には元に戻ってしまい、今季は理想的なリードオフマンとして好調のチームを牽引しているものの本塁打は10本以内に収まるだろう。
その代わりスピードスターとしては素晴らしくキャリアハイの70盗塁を超えるかもしれない。
ケンプは好調のスタートをきった2012年序盤は良かったものの怪我から復帰後はパっとせず、今季も怪我に見舞われここからクリス・デイビス並みに打たない限りは30‐30も夢のまた夢だろう。
2年連続達成のブラウンは既にひと月近くDL入りしており、30盗塁を達成する可能性はほぼないに等しい。
つまりここ2年の達成者の中ではトラウトのみに可能性があると言っていいだろう。
既に3割10本20盗塁を達成しており、盗塁と打率は実力的にはほとんど問題ないはずだ。
本塁打数は今のペースではギリギリ届かず今季はその分二塁打と三塁打が激増している。
現実的な範囲だと3割20本40盗塁というところだが、どこかで量産する時期があれば十分トリプルスリーも可能だ。

また過去に達成したことのある現役選手の中ではデビッド・ライトには可能性がある。
今のペースだとギリギリ届かないのだが可能性としては低くはない。

続いて未だ達成したことのない選手にも目を向けてみよう。
ナ・リーグで本塁打王争いをしているカルロス・ゴンザレスは元々5ツールタイプの選手で2010年には惜しい活躍をしたが、今季はアウェイでも打てる打者へと変貌したことで本塁打と盗塁でキャリアハイのペースだ。
最近調子が落ち気味で打率が降下しているのが気になるが今季最も達成確立の高い選手である。

新顔も登場しており、ア・リーグではジェイソン・キプニスに、ナ・リーグではカルロス・ゴメスに可能性がある。
両者ともに好調を維持しており、特にキプニスは今最もホットな打者でこの夏場に貯金しておけば終盤に多少調子を落としたとしてもものともしないだろう。




2013年7月7日日曜日

2013年MLBオールスター選出メンバー

オールスターのメンバーが発表された。
選手者は以下の通りだ。

”ア・リーグ”

捕手 ジョー・マウアー(ツインズ)
一塁手 クリス・デイビス(オリオールズ)
二塁手 ロビンソン・カノー(ヤンキース)
三塁手 ミゲル・カブレラ(タイガース)
遊撃手 JJ・ハーディ(オリオールズ)
外野手 マイク・トラウト(エンジェルス)
外野手 アダム・ジョーンズ(オリオールズ)
外野手 ホゼ・バティスタ(ブルージェイズ)
指名打者 デビッド・オルティズ(レッドソックス)

控え
捕手 ジェイソン・カストロ(アストロズ)
捕手 サルバドール・ペレス(ロイヤルズ)
一塁手 プリンス・フィルダー(タイガース)
二塁手 ジェイソン・キプニス(インディアンス)
二塁手 ダスティン・ペドロイア(レッドソックス)
二塁手 ベン・ゾブリスト(レイズ)
三塁手 マニー・マチャド(オリオールズ)
遊撃手 ジョニー・ペラルタ(タイガース)
外野手 ネルソン・クルーズ(レンジャーズ)
外野手 アレックス・ゴードン(ロイヤルズ)
外野手 トリー・ハンター(タイガース)
指名打者 エドウィン・エンカーナシオン(ブルージェイズ)


投手
クレイ・バックホルツ(レッドソックス)
フェリックス・ヘルナンデス(マリナーズ)
岩隈久志(マリナーズ)
ダルビッシュ有(レンジャーズ)
ジョー・ネイサン(レンジャーズ)
ジャスティン・バーランダー(タイガース)
マックス・シャーザー(タイガース)
クリス・セール(ホワイトソックス)
ジェシー・クレイン(ホワイトソックス)
バートロ・コロン(アスレチックス)
ジャスティン・マスターソン(インディアンス)
マリアノ・リベラ(ヤンキース)
グレン・パーキンス(ツインズ)
ブレット・シーシル(ブルージェイズ)


”ナ・リーグ”

捕手 ヤディアー・モリーナ(カージナルス)
一塁手 ジョーイ・ボットー(レッズ)
二塁手 ブランドン・フィリップス(レッズ)
三塁手 デビッド・ライト(メッツ)
遊撃手 トロイ・トゥロウィツキー(ロッキーズ)
外野手 カルロス・ベルトラン(カージナルス)
外野手 カルロス・ゴンザレス(ロッキーズ)
外野手 ブライス・ハーパー(ナショナルズ)

控え
捕手 バスター・ポージー(ジャイアンツ)
一塁手 ポール・ゴールドシュミット(ダイヤモンドバックス)
一塁手 アレン・クレイグ(カージナルス)
二塁手 マット・カーペンター(カージナルス)
二塁手 マルコ・スクータロ(ジャイアンツ)
三塁手 ペドロ・アルバレス(パイレーツ)
遊撃手 エバース・カブレラ(パドレス)
遊撃手 ジーン・セグラ(ブルワーズ)
外野手 ドモニク・ブラウン(フィリーズ)
外野手 マイケル・カダイヤー(ロッキーズ)
外野手 カルロス・ゴメス(ブルワーズ)
外野手 アンドリュー・マッカッチェン(パイレーツ)


投手
クレイトン・カーショウ(ドジャース)
マット・ハービー(メッツ)
マディソン・バンガーナー(ジャイアンツ)
パトリック・コルビン(ダイヤモンドバックス)
アダム・ウェインライト(カージナルス)
クリフ・リー(フィリーズ)
ホゼ・フェルナンデス(マーリンズ)
ジョーダン・ジマーマン(ナショナルズ)
トラビス・ウッド(カブス)
ジェフ・ロック(パイレーツ)
ジェイソン・グリリ(パイレーツ)
クレイグ・キンブレル(ブレーブス)
アロルディス・チャプマン(レッズ)

日本人ファンにとっては嬉しいことに今回はダルビッシュと岩隈の日本人投手二人が選出されている。
ダルビッシュは昨年に続き2回目、岩隈は初のオールスターだ。
直近の試合に登板しなければおそらく両投手ともオールスターで登板することになるだろう。
ア・リーグ最多は6人が選ばれたタイガース、ナ・リーグ最多は5人が選ばれたカージナルスとなった。
オールスターの開催地であるメッツからはハービーとライトの二人が選出され、ライトは先発出場が確定的でハービーが地元での先発なるかが注目である。

ここからは最後の一人をそれぞれ決める投票が行われる。
その候補者は以下の選手たちだ。

”ア・リーグ”
スティーブ・デラバー(ブルージェイズ)
デビッド・ロバートソン(ヤンキース)
上原浩二(レッドソックス)
タナー・シェパーズ(レンジャーズ)
ホアキン・ベノワ(タイガース)

”ナ・リーグ”
イアン・デズモンド(ナショナルズ)
フレディ・フリーマン(ブレーブス)
エイドリアン・ゴンザレス(ドジャース)
ヤシエル・プイグ(ドジャース)
ハンター・ペンス(ジャイアンツ)

ア・リーグは全員がリリーフ投手、ナ・リーグは全員が野手となった。
昨年はダルビッシュがこの候補に入り最後の一人として選出されたが、今回は上原が入っている。




2013年7月6日土曜日

ロサンゼルスの復権

序盤不調だったロサンゼルスの2チームが最近本来の力を取り戻しつつある。
果たしてこのままオールスター明けには地区優勝争いに顔を出すようになるのか、序盤の不調の要因と今の好調の要因を探る。

ロサンゼルス・ドジャース
41勝44敗 [4月13勝13敗 5月10勝17敗 6月15勝13敗 7月3勝1敗]
開幕からしばらくのチーム状態はひどいものだった。
豊富と思われた先発ローテーションは怪我人が相次ぎ、 リリーフは安定感が欠けていた。
なにより本来最も打たなくてはならないケンプを筆頭に全体的に長打が出なかった。
不安材料が全て的中してしまった形で良かったのはポスティングで獲得した新人のリュやカーショウが素晴らしい活躍をしていたことくらい。
もちろん野球は好投手が二人いるくらいでは勝てない。
そのため最下位にも甘んじた時期があった。
しかし6月に入り驚異の新人プイグが昇格してくると同時にチーム状況も変わり始める。
それまでチームに欠けていた打力を底上げし、また怪我から復帰してきたラミレスも打ちまくったことで得点力と投手力がかみ合い始める。
今のドジャースには非常に多くの高材料が並んでいる。
ケンプ少しづつではあるが調子を取り戻してきたこと、プイグとラミレスの好調、クロフォードの復帰、カーショウのサイ・ヤング賞級のパフォーマンス、新人ファイフの台頭などだ。
開幕前は地区優勝候補で、しかもMLBで最も総年俸が高いということを考えればこの程度で喜んではいけないはずだが、それでもここから後半にかけて逆襲が始まるのではないかと思うとファンとしてはワクワクせざるをえない。
ドジャースは現在首位ダイヤモンドバックスに3.5ゲーム差の3位。
まだまだ優勝は狙える位置にいる。


ロサンゼルス・エンジェルス
41勝44敗 [4月9勝17敗 5月16勝13敗 6月14勝13敗 7月2勝2敗]
4月は酷い内容だったが、原因ははっきりしている。
プホルス、ハミルトンの主力野手二人の不調とリーグ最弱レベルだった投手陣だ。
先発投手だけ見ても4月の防御率はウィルソン4.30、バルガス4.85、ハンソン3.52、ブラントン7.09、怪我で離脱したウィーバーも4.91だった。
しかし5月以降には投手力も改善され、なにより打線の調子が上がってきた。
その筆頭となったのがトラウトやケンドリックなどだ。
しかし残念ながらプホルスとハミルトンの調子は上がらず、と思われたのだがここにきてハミルトンの調子が目に見えて上がってきた。
ここ10試合すべてでヒットを打ち打率は.382。
ボール球に手を出すケースも少なくなってきた。
怪我人が多いというチーム状況は芳しくないが、首位アスレチックスまでのゲーム差は10をきり、勝率5割も目の前に見えてきている。
アスレチックスとレンジャーズの二強体制のこの地区では両チームが落ちてこない限りはワイルドカードをとることも非常に難しいだろうが、上向き要素はあるだけにここからの踏ん張りに期待したい。
トラウト、プホルス、ハミルトン、トランボ、ケンドリックといった面々が本来の力を発揮すればそれはそれは驚異的な打線になるだけに楽しみだ。




2013年7月4日木曜日

サイ・ヤング賞レースの行方 ”ナ・リーグ”

ナ・リーグはDHがないこともあってか、ア・リーグよりも好成績を残している投手が多い。
またア・リーグは20代中盤から後半という今まさに全盛期を迎えている投手で争われているが、ナ・リーグの方の有力選手は非常に若い。
将来が非常に楽しみな面々ばかりで、ひょっとするとこのうちの何人かは殿堂入り級投手になるかもしれない。

 最有力投手
クレイトン・カーショウ
18試合 7勝5敗 防御率1.93 130.1回 126奪三振 33四球 被本塁打7 WHIP0.93
QS率0.78 FIP2.59 xFIP3.12
現役最高の左投手、いやもはや現役最高の投手といってもいいかもしれない。
25歳にしてこれなのだから、今後が恐ろしい。
彼の場合は投球技術や守備力も優れているだけに長く活躍できるだろうし、そうなれば殿堂入りも見えてくる。
勝ち星があまり伸びていないがここ最近はチーム状態も上向いてきており、打線にも火がつきはじめただけに後半に10勝くらいしても全くおかしくはない。
内容重視の近年のサイ・ヤング賞だけに、カーショウの内容なら15勝以上できれば受賞の可能性がかなり高くなるだろう。
デビュー当時の制球難に苦しんでいた頃から見てきただけに彼の活躍が個人的には非常に嬉しい。


次点
マット・ハーベイ
18試合 7勝2敗 防御率2.27 123.0回 141奪三振 27四球 被本塁打6 WHIP0.91
QS率0.78 FIP2.08 xFIP2.65
非常に順調に階段を駆け上がっているパワーピッチャー。
三振をとるという一点においてはカーショウよりも上で、今季奪三振王の最有力候補になっている。
彼はデビュー2年目の24歳なのだが若いパワーピッチャーにありがちな制球難というものが今の彼にはない。
昨季はまだ制球が安定していなかったのだが今季の安定度は凄まじい。
強気な性格で、ニューヨークをわかせられる豪腕が久々に登場したことにメッツファンたちも喜んでいるだろう。
今季サイ・ヤング賞を獲得する可能性はもちろんあるが、終盤のスタミナ切れが心配だ。


アダム・ウェインライト
17試合 11勝5敗 防御率2.22 125.2回 114奪三振 12四球 被本塁打4 WHIP0.99
QS率0.88 FIP2.02 xFIP2.67
安定感がもはや一人だけ異次元の域に達している。
正に現代版マダックスとでも言うべき活躍で、K/BBが飛び抜けている。
最多勝も狙える位置につけており、怖いのは怪我だけという状態だ。
過去には2年連続サイ・ヤング賞投票2位だったこともあるが三度目の正直となるか。



ジョーダン・ジマーマン
17試合 12勝3敗 防御率2.46 120.2回 85奪三振 17四球 被本塁打10 WHIP0.94
QS率0.76 FIP3.23 xFIP3.39
ウェインライトに次ぐ安定感を持ち、援護にも恵まれているのだが三振が少ないこととたまにド派手に炎上することがあるのがたまにきず。
特に奪三振という点で他の候補には大きく劣っているため何かで差をつけなくてはいけないが、他の候補のレベルが高すぎるため現実的には受賞は難しいだろう。


クリフ・リー
17試合 9勝2敗 防御率2.59 125.1回 115奪三振 21四球 被本塁打8 WHIP1.15
QS率0.88 FIP2.58 xFIP3.09
フィリーズの強力ローテーションの中でいまや唯一好成績を残しているが、その安定感と信頼感は34歳の今も全く変わらない。
派手さはないが確実に長いイニングを投げ少ない失点でおさえており、ここ10試合では全てで7回以上、うち4試合で8回以上を投げた。
後半戦にかけては経験がものを言うことになるだろう。


大穴
スティーブン・ストラスバーグ
16試合 4勝6敗 防御率2.24 100.1回 98奪三振 31四球 被本塁打7 WHIP1.04
QS率0.69 FIP3.12 xFIP3.39
勝敗だけ見れば明らかに物足りないが驚くことなかれ、ここ10試合のうち彼が2失点以上したのはわずか2試合だけ。
あとはすべて1失点以内におさえているのだ。
6回を投げられないことがあるのはいただけないがさすがの投球だ。
気になるのは奪三振があまり伸びていないことと怪我だ。
とりあえずは今季は200回に到達できるかどうかに注目したい。
 

2013年7月3日水曜日

MLB今季最初のノーヒッターはホーマー・ベイリー!

MLBでは近年ノーヒットノーランや完全試合がかなりの数出ている。
2010年には述べ6度(ハラデイがポストシーズンをあわせてノーヒッターと完全試合を1回ずつやってのけた)、2011年は3度、 2012年は6度(マリナーズの継投ノーヒッターもあわせれば7度)の達成されているのだ。
しかし今季は惜しい試合をあれど、まだ1度も出ていなかった。
それを今日レッズのホーマー・ベイリーが達成したのだ。
それも昨年の9月28日以来の2年連続での達成となる。

ベイリーのことはあまり知らないファンも多いだろう。
レッズの強力なローテーションの一角をになっているがそれほど知名度のある選手ではないはずだ。
しかし彼はMLBでも過小評価されている投手であり、これを機に一気に知名度もあがって駆け上がっていくかもしれない。

彼は2004年のドラフトでレッズから1順目全体7位指名という高評価で入団した。
高卒投手としてはこれは極めて高い評価だと言える。
その年のドラフトでは全体2位でジャスティン・バーランダー、全体3位でフィリップ・ハンバー、全体12位ジェレッド・ウィーバーが指名されており、ベイリーも合わせてこの年のドラフト1巡目投手だけで6度のノーヒッターが達成されるというノーヒッターの当たりドラフトになっている。
ベイリーは入団後チームに大切にされながら徐々に成長していき、2007年に6月8日に21歳の若さでメジャーデビューを果たす。
しかしデビューまでは順調だったもののそこから数年は故障や制球難によって中々メジャーにも定着できずにいた。
いわゆる伸び悩みを経験したのだ。
多くの元有望株と同じく彼もそうして平凡な投手で終わるのかと思われたのだが、2010年にはブレイクの兆しを見せた。
それまでメジャーでは彼は速球が速いだけで三振があまり取れず制球が悪いというほとんどいいとこなしの投手だった。
しかし2010年には2シームを使うようになり、その投球スタイルの変化によるものか奪三振率と四球率が飛躍的に向上した。
前年1.65だったK/BBがそれにより2.50にまで改善されたのだ。
そして翌年から彼は完全に自分の投球スタイルというものを確立する。
それまで半分以上を占めていた4シームの割合を減らし2シームを多く投げるようになり、よりゾーンで勝負することで制球はさらに向上した。
そして2012年には初の200イニングと2桁勝利を達成し、なおかつノーヒッターも達成したことで元有望株の開化を予感させた。
強力のレッズローテーションの一角として迎えた今季はさらに進化し、内容的にはリーグトップクラスのものになっている。
それまで制球重視のスタイルへチェンジしたことで奪三振は減っていたが今季は制球はそのままに奪三振率をリーグトップクラスのレベルにまで引き上げることに成功している。
また打者有利の球場を本拠地にしていながら被本塁打も大幅に減り、彼は既にエース級の投手へと成長している。
現在27歳と、高卒の有望株としては開化に少し時間はかかったが、やっとそのポテンシャルを発揮しはじめた。
彼がリーグ有数の先発投手として認識されるようになるまで、そう時間はかからないのかもしれない。

2013年7月2日火曜日

ア・リーグ新人王は本命不在の混戦模様

今年のナ・リーグは新人王争いが非常に熱い。
ミラー、テヘラン、リュ、フェルナンデスなどの先発投手たちに最近はプイグの活躍も目覚しい。
本当に誰がとるのかわからない状況だ。
しかしア・リーグの方はナ・リーグに比べると地味なものになっている。
好成績を残している選手はもちろんいるのだが、ずば抜けた選手がほとんどいないためナ・リーグとは違う意味で予想しづらいレースだ。


ウィル・マイヤーズ(レイズ)
14試合 打率.293 3本塁打 10打点 出塁率.328 OPS.793
開幕前から有力候補だと言われていたマイヤーズはメジャーデビューが6月18日と遅めのスタートとなった。
今季に関しては昨季ほどマイナーで突出した成績を残していなかったせいもあるかもしれない。
メジャーデビュー後数試合は少し苦しんだが、一度3安打(1本塁打)といい試合を経験するとそこからはよく打ち本塁打のペースも上々だ。
ここからでは出場試合数もたかが知れているが、パワーに関しては今季のア・リーグルーキーの中で一番であり、ここから20本塁打程度を量産する活躍をみせれば本命不在のレースの主役に躍り出ることもできるかもしれない。


ニック・フランクリン(マリナーズ)
31試合 打率.295 4本塁打 15打点 出塁率.363 OPS.845 5盗塁 
低迷するマリナーズの数少ない希望の光で、元々有望株ではあったが今季はマイナーで打撃が開眼しメジャー昇格後も安定した好成績を残している。
その活躍で不振のアックリーを外野においやり今では不動の地位を築きかけている。
最終的に突出した数字にはならないだろうがバランスの良さで高評価を受ける可能性は高い。


オズワルド・ガルシア(ツインズ)
49試合 打率.283 6本塁打 25打点 出塁率.346 OPS.810 
マイナーでの活躍とツインズの予想通りの低迷を受けて4月にメジャーデビューし、序盤は苦しんだものの時間が経つごとに適応していっている。
フランクリン同様突出した数字にはならないだろうが、この調子でいけば安定した打撃成績を残せそうだ。


ホゼ・イグレシアス(レッドソックス)
39試合 打率.409 1本塁打 9打点 出塁率.455 OPS.985
おそらく多くのファンが驚いていることだろう。
イグレシアスと言えば守備は既にMLB最高レベルも打撃はマイナーレベルという印象が強い。
長打力もなく、ファンは彼の守備だけに期待していたはずだ。
しかしいつか調子が落ちるだろうと思われていた打撃も未だに打率4割をキープしている。
当然この調子がいつまでも続くわけがない。
実際今季AAAで残した成績は悲惨なもので打率2割ちょっとだ。
しかし今の彼は間違いなく攻守両面でレッドソックスの首位に貢献しているし、もしこの打撃開眼がいっときのものではないのなら彼はアンタッチャブルな存在になれるかもしれない。


ジュリクソン・プロファー(レンジャーズ)
31試合 打率.257 3本塁打 9打点 出塁率.319 OPS.700
レンジャーズどころかMLB全体でも3本指に入るレベルの有望株だ。
身体能力に優れた5ツールプレイヤーで、まだ20歳ながら精神面でも非常に高い評価を受けている。
彼のポテンシャルはこんなものではなく、新人王級の成績をのこしてもおかしくないはずだ。
しかしそれを妨げてしまう障害もある。
それはチームにアンドラスとキンスラーという主力選手が同ポジションにいるということだ。
これが今レンジャーズが頭を悩ませている問題で、いかなスーパースターの卵といえど出場機会を与えられなければ意味がない。
キンスラーのコンバート案などの解決策が候補としてでていたが未だ実現には至らず出場機会はいまいち増えない。
アンドラスの打撃成績はかなり悪いのだが、チームは彼と長期大型契約を交わしたばかりなのでそう簡単に外すわけには行かない。
そういったジレンマが解決されなければプロファーの新人王は少々難しいのかもしれない。


投手ではリリーフでコディ・アレン(インディアンス)、プレストン・クレイボーン(ヤンキース)などが活躍しているが、彼らはクローザーではないため余程圧倒的でないと上位に躍り出ることは難しいだろう。
先発でもクリス・アーチャー(レイズ)などがいるがスタートが遅れたせいでイニング数を稼げそうにはない。
そう考えるとやはりア・リーグの方は打者が有力となってくる。
しかし上記の通り圧倒的と言える選手はおらず、今は団子状態。
ここから抜け出す選手が出てくるかもしれないが今のところは本命不在のレースになっている。
個人的にはフランクリンが有力になるのではないかと睨んでいるが果たしてどうなるだろうか。

2013年7月1日月曜日

優勝争い最前線、それぞれの補強ポイント ”ア・リーグ”

6月の全日程が終了し、これで多くのチームがシーズンの約半分の試合数を終えたことになる。
ア・リーグ東地区のブレーブス以外は独走状態と言えるようなチームがなく、ここから強豪チーム同士の優勝争いもさらに激化してくるだろう。
そしてMLBはここから各チームが弱点を埋める補強に奔走することでさらに面白くなってくる。
今回は優勝争いをしているチームの補強ポイントをそれぞれ見ていこう。

東地区
ブルージェイズが6月に驚異的な追い上げを見せたため、全チームが優勝争いをしていると言っても過言ではない状況だ。
この状況では全チームが買い手にまわる可能性もあるが、現時点ではレッドソックスとオリオールズが優勝争いの最前線だ。

”レッドソックス”
ここまでの好調を支えてきたのはチーム打率リーグ2位、チームOPSリーグ1位を誇る強力打線だ。
本塁打を量産する、というわけではなく二塁打を量産しチーム盗塁数1位の機動力も加えての結果で得点数は堂々のリーグ1位となっている。
反面序盤チームを支えていた投手陣には若干の陰りが見えてきている。
先発の方はレスターが調子を落としバックホルツがDL入りたもののラッキーの復活がありまだ十分リーグ上位レベルだ。
問題はのはリリーフの方で、リリーフ防御率がリーグ12位と終盤の安定感を失っている。
誤算だったのはクローザーを固定できなかったことで、ハンラハン、ベイリー、上原という3人のクローザー経験者を揃えておきながら怪我や不調で上原にまでお鉢が回ってきてしまった。
しかもその上原も一発ぐせが少々怖い。
層が薄くなったリリーフ陣の中ではミラーとブレスロウがそれなりによくやっているものの、左のためワンポイントになることもしばしばだ。
となると右で信頼できるのが田澤くらいしかいないものの、こちらも一発を浴びることが多く最近はよく失点している。
つまりは問題点は非常にシンプルであり、リリーフの強化、特にセットアッパーを任せられる、あるいは上原をセットアッパーにしてクローザーに据えられる右投手が欲しいところだ。


”オリオールズ”
打線については文句なしだろう。
荒さはあるがどこからでも一発が出る強力打線は、目下本塁打王を独走中のクリス・デイビスが調子を落としても踏ん張ってくれるはずだ。
レッドソックスに次ぐ攻撃力は特に強化している必要はない。
しかし打線が強力なチームにはつきものの投手力の問題が存在するのはオリオールズも例外ではない。
チーム防御率はリーグ14位で、打線に頼りきってここまで来ていることがよくわかる。
昨年の大躍進を支えたリリーフ陣が弱体化してしまったのも問題なのだが、最大の問題は防御率13位の先発陣だ。
先発で安定していると言っていいのはティルマンとゴンザレスの二人だけだ。
ブリットンやゴースマンなど若い投手が活躍すれば面白くなるのだが、流石に後半戦を若手頼みの賭けに出るわけにはいかない。
チェンが復帰しても万全とは言い難いため、ローテーションを安定して任せられる投手を少なくとも一人は獲得しなくてはならない。
先発を補強すればそれまで先発で投げていた投手をリリーフにまわせるため一石二鳥の補強になるはずだ。


中地区
タイガースが独走するのかと思いきや、オフの補強に力を入れていたインディアンスが台頭に戦っている。
他3チームは勝率5割を切っており、この地区は二強になりつつある。

”タイガース”
チーム打率がリーグ1位、チームOPSがリーグ2位で得点力に関しては問題がない。
カブレラやフィルダーといった得点源になっている選手は実績があるため後半戦の急激な失速の可能性も低いだろう。
投手力も高いのだが、特にハイレベルなのが先発陣。
エースが不調でもシャーザー、サンチェス、フィスター、ポーセロと盤石の布陣でDL入りしたサンチェスに変わりローテ入りしたアルバレスも悪くない。
バーランダーが復調したときのことを考えると上がり目すらある。
しかしリリーフは盤石とは言い難い。
シーズンが始まってから獲得したバルベルデが不調でマイナー落ちし、ベノワが代役になるが層は確実に薄くなっている。
アルバカーキやロンドンに期待する手もあるが、彼らは制球面からイマイチ信用はできない。
インディアンスとはかなりの接戦だけに補強は急務だ。


”インディアンス”
打線自体はタイガースの方が上だが、機動力を使えるため得点力は同等のものを持っている。
となるとやはりポイントは投手。
先発もリリーフも安定しないため全体的に強化の必要がある。


西地区
開幕前有力を見られたエンジェルスが沈み(最近は持ち直しつつあるが)、レンジャーズとアスレチックスの首位争いが繰り広げられている。

”レンジャーズ”
今年のレンジャーズは投手のチームで、得点力はリーグの平均程度しかない。
本拠地が打者有利であることを考えるとこれは問題だ。
現有戦力でもやっていけないことはないが長打力のある外野手が欲しいところ。


”アスレチックス”
投手力は相変わらず高く、得点力もいい。
攻守のバランスがよく明確な弱点もやや機動力が低いくらい。
バランスはいいのだが、優勝争いで優位に立つのであれば何か一つ飛びぬけたツールは持っておきたいところ。
安定感のある先発投手を一人加えることが理想の補強になるだろう。