2013年5月31日金曜日

データで読み解くダルビッシュの課題

開幕から好スタートをきった2013年のダルビッシュだったが、ここのところはその活躍ぶりにやや不満を持っているファンも多いのではないだろうか。
奪三振王は怪我がなければほぼ間違いなく、四球で多くずれすることもなくなったという点で今季の活躍は素晴らしいが、5月に入ってからの防御率は3.79で、最近はかなりの球数を投げていることもあってこれから熱くなるにつれてパフォーマンスが落ちていくのではないかという一抹の不安も感じられる。

それではなぜ成績が悪化しつつあるのか理由を探ってみよう。

①パークファクター
ダルビッシュは今季初の被本塁打を喫した4月30日の試合から6試合連続で本塁打を浴びているが、この期間中に登板した球場は以下のようになっている。
4/30 レンジャーズボールパーク・イン・アーリントン
5/5 アーリントン
5/11 ミニッツ・メイド・パーク
5/16 アーリントン
5/21 アーリントン
5/27 チェイス・フィールド
レンジャーズの本拠地は言わずとしれたリーグ屈指のヒッターズパークであり、ダイヤモンドバックスの本拠地チェイス・フィールドも乾いた気候で打者有利となっている。
つまりこの6登板のうち5登板において打者有利の球場で投げていたことになる。
ダルビッシュはボールをムーブさせることでゴロを打たせるというよりはボールのキレで空振りを奪っていくタイプのため、パークファクターの影響は比較的受けやすい。
この期間中疲れがあったのはもちろんだろうが、パークファクターの影響により打たれることが多かったという可能性は低くない。

②立ち上がりの不安定さ
これは多くのファンが気づいていることだと思うが、以下のデータを見れば一目瞭然だ。
1~3回 防御率4.64
4~6回 防御率1.69
7~9回 防御率1.93
初回 防御率9.00
とにかく初回に点をとられることが多く、他のサイ・ヤング候補投手と比較してみてもその差は小さくはない。
フェリックス・ヘルナンデス 初回防御率1.64
ジャスティン・バーランダー 初回防御率4.09
クレイ・バックホルツ 初回防御率1.80
岩隈久志 初回防御率3.27
その失点の仕方も昨年のように四球を乱発してのものではなく、ヒットを打たれて点をとられるケースが多く、初回被打率は3割を超えてしまっている。
この初回の不安定さを改善することができれば、堂々とサイ・ヤング賞レースの上位にたてるだけ
に少々もったいない。
エンジンがかかるのが遅いのだろうか。



2013年5月29日水曜日

データで見る安定感のある先発投手ランキング

先発投手の安定感を表す指標にQS(クオリティ・スタート)というものがある。
近年日本でもその存在を知られており、徐々に浸透しつつあるものだ。
先発投手が6回を自責点3以内に収めることができればQSがつき、アメリカではQSを達成しながらも敗北した場合は”タフ・ロス”、QSを達成できなかったにもかかわらず勝利投手になると”チープ・ウィン”と呼ばれる。
例えば批判されがちな松坂の2008年のQS率はわずか48%にすぎず、どれだけチープ・ウィンが多かったのかということがよくわかる。
もちろんQSは他の指標と同じく完璧とは言い難いが、今回は安定感のみをピックアップするためそこには触れないでおく。
その代わり安定感という言葉には不可欠な制球力も含めて投手たちのデータを見ていこう。

1.パトリック・コルビン
QS率 100%  与四球率 2.63
まだ二年目の若い投手なので聞き慣れないファンも多いだろうが、彼は現在MLBで最もホットな左腕の一人だ。
特別なボールを持っているわけではないが、独特のフォームと安定した制球力でここまでQS100%を保っている。
しかも3失点したのすら1度だけで、今季最も崩れない投手だと言っていいだろう。

2. アダム・ウィンライト
QS率 91% 与四球率 0.68
QS率100%という完璧な数字が出ていたためコルビンを上にしたが、ウェインライトの安定感は飛び抜けている。
今季はトミー・ジョン手術からの復帰二年目となったウェインライトだが、彼はさらに洗練されて帰ってきた。
とにかく制球力がずば抜けており、開幕から4試合連続で無四球試合を達成していた。
なおかつはまった日には全く手がつけられず既に2完封している。
この活躍ぶりは数年前のクリフ・リーを彷彿とさせるものだ。
ライバルたちも手ごわいがサイ・ヤング賞の有力候補だと考えていいだろう。

3.ジョーダン・ジマーマン
QS率 90% 与四球率 1.10
活躍し始めた2011年からすでに制球力はリーグでも屈指のものだったが、年々洗練されてきている。
積極的にゾーンで勝負するため奪三振も少なく、打たせてとることに長けており、今季は10先発中8試合で7回以上投げている。
とにかく球数が少ないことが特徴で、それだけのイニング数を投げながらも100球越えは4回のみで、なおかつ最も投げた試合でも107球だった。
4月26日の試合では91球で完封するなど、その投球スタイルはマダックスやハラデイが理想とするものに近い。
長いイニングをなげられるため勝ち星もつきやすく、8勝はリーグ最多タイだ。
スタミナ面に問題がでなければ最多勝の有力候補になるだろう。

4.クリフ・リー
QS率 82% 与四球率 1.45
MLBで最も制球のいい投手と言えば多くのファンがクリフ・リーの名を挙げるだろうが、今もその実力に陰りはない。
昨季はあまりにも勝ち運に恵まれなかったが相変わらずの優れた投球内容で、今季は球速が低下し奪三振率が大幅に落ちたもののパフォーマンスには大きな影響が出ていない。
MLB最高の技巧派投手はまだまだやれるだろう。

5.クリス・セール
QS率 89% 与四球率 2.11
昨年先発転向に成功し、既にチームのエースになっているセールは今季も順調だ。
安定感が向上し、8失点と大炎上してしまった1試合を除くと残りの試合すべてで7回以上を投げており、イニング数を稼ぐことに成功している。
7回を安定して100球前後で投げきることができるし、無駄な四球を出すことも少なくなった。
さらに対左打者ではほぼ無敵状態で、被OPS.197とそのフォームを完璧に活かしている。



2013年5月27日月曜日

エンジェルスの逆襲

開幕から不調だったエンジェルスにもようやく春が訪れたようだ。
自慢の打線がうまく機能せず、投手陣も崩壊気味という状況がひと月近く続いたが、5月18日に今季最多となる12得点で勝利すると、そこから現在まで破竹の8連勝。
この期間中の平均得点は7.4点、平均失点は2.5点と完全に投打がかみ合っている。
この好調の要因は色々あるが、まず打線においてキープレイヤーとなっているのはサイクルも達成したマイク・トラウトだ。
5月に入って調子を上げてきていたが、4試合連続のマルチヒットで打率を3割にまで引き上げるなど素晴らしい活躍ぶりだ。
そしてもう一人調子を上げて生きているのが序盤ボロボロだったジョシュ・ハミルトンだ。
この8試合では3本の本塁打に加えて四球も増えるなど、地味に打ち始めている。
調子の波がある選手なのでここから夏場にかけてまた爆発的な活躍をみせる可能性もある。

エース不在の投手陣もなかなか頑張っている。
特にここ数試合のウィルソン、バルガス、ウィリアムズの活躍はかなり安定しており、ローテの5人のうち3人が安定しているというのがかなりの強みになっている。
しかし残りの2本がまだうまくいっていないが、そろそろウィーバーが復帰するのでその問題も解決するのは難しくない。
リリーフも軸となる投手が安定しており、目立った弱点はまだ浮き彫りになっていない。

未だ進化を発揮していないプホルスやハミルトンがある程度波に乗ってくれば、さらに強力な打線になることは間違いないだろう。
序盤が悪すぎたために今は3位だが、この調子でいけば勝率5割はすぐに超えるだろうし、レンジャーズとの地区優勝レースに名乗りをあげる可能性も低くはない。

2013年5月23日木曜日

カルロス・ゴンザレスはついに”本物”になるのか

野球にはパークファクターというものがある。
球場ごとに投手有利、打者有利などの特徴が大きく出るため、選手の成績もそれに影響されやすい。
例えばダルビッシュが本拠地とするレンジャーズ・ボールパーク・イン・アーリントンはリーグでも屈指のヒッターズパークであり、ダルビッシュ自身もその影響を受けているのはホーム防御率3.46、アウェイ防御率1.95という数字からよくわかる。

さてロッキーズが本拠地とするクアーズ・フィールドもそういった極端なパークファクターを持つ球場だ。
グラウンドの広さはMLBでも1,2を争うくらいだが、標高1マイルの高さに球場があるため空気が薄く、通常の球場に比べてボールが非常によく飛ぶ。
さらに球場自体が広いためヒットゾーンも広く、本塁打だけでなくあらゆるヒットが出やすい。
加えて投手の変化球のキレも鈍るというおまけつきだ。
そのためクワーズ・フィールドはMLBで最も打者有利な球場であり、ロッキーズの打者の多くはホームとアウェイの成績に大きな差がでることになり、ホームでのみ好成績を残す打者はクアーズ・ヒッターと揶揄されることもしばしばだ。
ロッキーズの主力野手カルロス・ゴンザレスもこれまで一流と言える成績を数年に渡って残してきたのにも関わらず、クアーズ・ヒッターとしての側面が評価に陰りを落としてきた。

以下は彼がブレイクした2010年からのホーム・アウェイの成績だ。

2010
ホーム 打率.380 26本塁打 OPS1.161
アウェイ 打率.289 8本塁打 OPS.775

2011
ホーム 打率.331 16本塁打 OPS.999
アウェイ 打率.252 10本塁打 OPS.757

2012
ホーム 打率.368 13本塁打 OPS1.046
アウェイ 打率.234 9本塁打 OPS.706

ホームではミゲル・カブレラ級の打者になるが、アウェイでは ごく平凡な打者になってしまう。
しかし今季は以下のようにアウェイでの活躍も目覚しい。

2013
ホーム 打率.283 5本塁打 OPS.930
アウェイ 打率.325 6本塁打 OPS1.032

もちろんまだ2ヶ月程しかたっておらず、ここからどう推移していくかもわからないが、もしこのまま大きく数字を落とすことがなくシーズンを終えることができれば、ついに彼はトップクラスの外野手の一人に名を連ねることができるようになるだろう。
27歳の彼は今からが全盛期であり、”カーゴ”は未だ進化しつつあるのだ。

2013年5月22日水曜日

マイク・トラウト First Career Cycle

今後のMLBを担うスター、マイク・トラウトはチームが低迷する中今季も活躍している。
4月は低調ながら5月に入ってからの活躍はスラッガーのそれだ。
そして今日、彼はキャリア初となるサイクルヒットを達成した。
初回の第1打席はノーアウト2塁で見逃し三振に終わるものの、その後はエンジン全開。
3回の第2打席で快速を飛ばして内野安打を放つと4回の第3打席では圧倒的なスピードで今季4つめの三塁打、 6回の第4打席では二塁打、そして最終打席となった8回には低めのボールをやや強引に打ってセンター方向へスタンドイン。
おそらく最後は狙っていたのだろうが、それで実現してしまうあたりはやはりスターだと感じさせられる。
チームも12対0で大勝し、これで波にのっていければなによりだ。

2013年5月20日月曜日

ダルビッシュの球数論争

先日の登板でダルビッシュが130球を投げたことが一つの論争に発展している。
このことに関して、球数制限というものに関して色々考えていきたい。
MLBと言えば、日本のファンにとっては過保護なまでに球数を制限するというイメージが強いだろう。
MLBでは投手の肩は消耗品と考えられ先発投手は100球を目処に交代し、日本では投げ込みが率先して行われているという文化の違いは有名だ。

今回のダルビッシュの件が話題になっているようにMLBはことさらに球数というものに敏感だが、そもそもこの100球制限というものはどこまで厳密に守られているものなのか。
おそらく普段MLBを見ていないであろう日本の野球ファンたちの意見だけを聞いていると、記録でもかかっていない限り100球をこえれば容赦なく交代させられるように思えるが、実際はそうではない。
例えば今季のMLBにおいて完投は述べ26回達成されており、中には既に3完投を記録している投手もいる。
もちろんその中には100球以内に収めての完投もあれば、120球を超える完投もあった。
MLBでは完投は価値を持っていないかのように語る日本のファンは多いが、完投できるというツールは確かに高く評価されるし、それを望む投手も大勢いる。
結局のところは個人差だったり、チームの方針だったりによって左右されるため、毎回100球以内で降板する投手もいれば何回かに一回は120球近く投げてしまう投手もいる。
頑なに100球というわけではなく、そこらへんは投手の特徴に合わせて柔軟に対応しているものだ。
では100球制限は必要なのかというと、こういう目安は間違いなく必要だろうと私は思う。
日本時代は130球なんて珍しくなかったんだから問題ない、と言うファンの意見はよく聞かれるものだが、そこには中4日と中6日というシステムの違いは考慮されていない。
先発投手が順調にローテーションを守ればMLBの場合は年間34試合前後、NPBでは個人差はあるものの28試合前後に登板可能だ。
MLBで毎試合100球で終えるとすると年間投球数は3400球になり、これはNPBにおける1試合120球に相当する計算になる。
もちろん人間の身体はそう単純ではないが、年間の球数という長期的な観点でみると100球という数字はそれなりに妥当なものだと考えられるだろう。
そのため、今のダルビッシュの問題は先日130球を投げたということよりもむしろ、ここ3試合の球数が127→105→130と推移していることにある。
本来であれば120球を超えるような投球をした次の登板は球数を水準よりも減らして調整すべきであり、それをせずにさらにその次の登板で130球というのは批判されても仕方ない面がある。
結果論にはなるが、5月に入って急激に被本塁打のペースが上がっているのもこのこととは無関係とは言い難いだろう。
ここから夏場に入るとさらに疲れがたまってくるのは間違いなく、このあたりで一度ダルビッシュにはオーバーホールが必要になるかもしれない。

2013年5月17日金曜日

若き2年目選手たちの活躍

”2年目のジンクス”という言葉があるように、1年目である程度活躍した選手にとって2年目は鬼門だと言われる。
しかし今年はメジャー2年目を迎えた選手たちの活躍が目覚しい。
今回は猛威を振るっている若き2年目選手たちを紹介しよう。

”ブライス・ハーパー”
打率.298 11本塁打 22打点 出塁率.393 OPS1.022 1盗塁
言わずとしれた怪童にとっては2年目のジンクスなど存在しない。
昨年は19歳にして新人王を獲得する活躍を見せ、さらなる躍進を期待された今季はここまで期待以上の出来を見せている。
本塁打はリーグ2位、OPSは3位と昨年のトラウト同様年齢にそぐわない圧倒的なパフォーマンスだ。
BB/Kも大きく向上させ、あらゆる面で成長が見える。
あまりにもスケールが大きいこの男は一体どこまで高みにのぼっていくのだろうか。

”マット・ハーベイ”
4勝0敗 防御率1.44 56.1回 62奪三振 14四球 27被安打 3被本塁打 WHIP0.73
ドラフト時から将来のエースへと期待され、順調に階段をのぼり昨年メジャーデビュー。
制球に課題は残したものの素晴らしいパフォーマンスで今季のブレイクが期待された。
私も含めて彼に期待していたファンは多いだろう。
しかし彼はそれらの期待を大きく上回るパフォーマンスを見せている。
防御率はリーグ3位、奪三振は5位、WHIPは圧倒的な1位だ。
8登板のうちQSを達成できなかったのは1度だけで、そのときも5.1回を1失点に抑えている。
4失点以上した試合も4四球以上出した試合もなく、5月7日には無四球12奪三振の1安打完封を達成するなどここまではできすぎなくらいの安定感だ。
どこまでこの好調が続くのかはわからないが、低迷するメッツにとっては願ってもない救世主だろう。

”マニー・マチャド”
打率.343 5本塁打 24打点 出塁率.379 OPS.920 4盗塁
ドラフト時にA・ロッド2世になると期待された大器は、20歳にして大きく開化した。
パワーがどこまで成長するかというところが課題だったが、リーグ2位の17二塁打を放つなど中距離打者として活躍している。
打率もリーグ4位と打撃が非常に頼もしい。
四球の少なさをこれからどう改善していくかというところだが、彼の年齢を考えれば十分すぎるパフォーマンスだろう。
さらに守備でのパフォーマンスも非常に優れており、チーム最高レベルの貢献度を誇っている。
昨年マチャドを昇格させたオリオールズの判断は間違っていなかったようだ。

”ジーン・セグラ”
打率.353 7本塁打 18打点 出塁率.395 OPS.968 14盗塁
セグラはこの4人の中では最もサプライズなプレイヤーだ。
トッププロスペクトではあったもののあくまでパワーレスな選手だと評価されていた。
しかし今季突如としてパワーが開化し、本塁打を量産している。
打率もリーグ2位で、打撃貢献度は非常に高い。
さらに自慢の足でリーグ1位の盗塁数を稼ぎ、今のところ走攻守で大活躍だ。
近年やや人材不足の感があるショートに非常に面白い選手が登場してきた。




2013年5月16日木曜日

グレインキーの復帰と今後のドジャース

今季2度目の登板で乱闘によって骨折していたグレインキーが復帰した。
当初は全治8週間と伝えられていたものの早めに復帰できたのは僥倖だ。
対戦相手となったナショナルズは上位争いはしているものの打線が停滞気味で、なおかつ最も打っていたハーパーが欠場したことで復帰初戦としては丁度いい相手だった。
そして彼は相変わらずの安定した投球を見せてくれた。
もちろんまだ絶好調とはいかなかったものの、5.1回を無四球で1失点と好投を見せたことでファンもほっと胸をなでおろしたことだろう。
球数は83球と少なめで、この慎重な起用がどこまで続くかはわからないが、ドジャースはリリーフが不安定になっているので早いところ長い回を投げられるようになって欲しいものだ。

さて、これで低迷する悪の帝国ドジャースには一筋の光が差し込んだことになる。
当初は余乗気味だった先発ローテーションは相次いで怪我人がでたことによってルーキーを使わざるをえない状況まで追い込まれていたのが、カーショウ、グレインキーの2本柱はリーグ最高のデュオになる可能性が高いし、そこに好調のリュも加われば3枚までは安心してみることができる。
ベケット、ビリングズリー、リリーがDL入りしているが、しばらくはルーキーのマギルや前回好投したカプアーノに踏ん張ってもらうしかない。
リリーフに関してはリーグをどこまで引っ張るのかが気になるところだ。
非常に安定感に欠けるため、ジャンセンをクローザーにすることも考えなくてはなるまい。

あとは得点力をどう改善していくか。
投手に絶対的安定感がない以上、上位争いに食い込んでいくには間違いなく打力の向上が必要だ。
ゴンザレス、クロフォード、イーシア、二人のエリスあたりはそれなりによくやってくれているが、 鍵になるのがケンプだということは言うまでもあるまい。
ドジャース打線としては長打を期待できるラミレスが復帰したと思ったらまたDLへ逆戻りしたことも痛いが、それ以上に痛いのが主砲のケンプが打ってくれないことだ。
序盤の不調を考えると復調しかけてはいるが、彼に求められているのは本塁打である以上、今のケンプでは全く問題外だ。
5月に入って打率は上昇しているものの、まだ本塁打は一本も出ていない。
ドジャースの得点力はケンプにかかっているのだと言っても過言ではなく、彼が今のままでは復権への明確なビジョンは見えてこない。

それでもグレインキーの復帰というのは素晴らしい朗報だ。
ここから悪の帝国が重い腰を上げることに期待したい。

2013年5月15日水曜日

ジョー・マウアーの変化

天才打者マウアーは今季も好調だ。
打率.343(リーグ3位) 出塁率.430(リーグ2位) OPS.927(リーグ8位)などのスタッツが彼がMLB屈指の好打者であることを示している。
マウアーと言えばなによりもコンタクト能力の高さが最大の売りであり、そのバットコントロールのうまさは彼に3度の首位打者をもたらした。
彼がハイスクール時代に喫した三振はわずか一つだけだったというのは有名な話である。
MLB入りしてからもバットコントロールのうまさは特筆もので、多くの四球を選ぶと同時に三振をしないという技術にも優れていた。
これまでのキャリアでみても、三振率は平均で10%前後ときわめて低く、キャリアワーストだった昨季でさえも13.7%という高水準だった。


しかしそんな希代の好打者マウアーに今一つの大きな変化が表れている。
それは急激な三振率の増加だ。
今季の三振率は20.9%で、さらに驚くことに4月30日から12試合連続三振中である。
これはどうしてなのか。
その理由はデータをみれば明快だ。
これまで常に80%後半から90%前半を記録してきたコンタクト率が80.8%にまで落ちている。
つまり単純にバットに当たる確率が低くなったということだ。
ではこれはコンタクト能力が落ちたということなのか?
もちろんその可能性はあるが私はこれをスタイル変化に伴うものだと推測している。
今季のマウアーはコンタクト率が著しく低下し三振が急増したのと同時に、ラインドライブ率やフライボール率、さらに二塁打数(リーグ2位の15本)が上昇している。
つまりより強い打球をより遠くへ飛ばすスタイルへと変更することによってマウアーは二塁打量産型の中距離打者化しているのである。
コンタクト率低下はより強いスイングを心がけたことの副産物だろう。
もし年間を通してこのスタイルを維持することになれば、マウアーへの批判の一つであったパワーレスという問題は本塁打増加こそないもののある程度解消されるだろう。
しかしそれによって三振が大幅に増えるということになれば、彼の最大の魅力の一つを失ってしまうことにもなる。
どう転ぼうとも、今季はマウアーのスタイル変化に注目だ。


2013年5月13日月曜日

日本人3投手の投球を分析

今季好投を続けているダルビッシュ、黒田、岩隈のここまでの投球内容についてFanGraphsの詳細なデータをもとにして考察していく。

”ダルビッシュ有”
スライダー(平均81.7mph) 38.2%
4シーム(93.0mph) 23.3%
カッター(89.3mph) 18.4%
2シーム(92.6mph) 11.2%
カーブ(66.9mph) 4.8%
スプリッター(86.2mph) 3.9%
チェンジアップ(86.9mph) 0.1%

今季のダルビッシュが最も高い割合で投げているのはMLB有数のウィニングショットでもあるスライダーだ。
非常にハイレベルで、右打者にとってはかなりの脅威になる。
ダルビッシュはMLBでは珍しい多彩な投手で3種類の速球(4シーム、2シーム、カッター)を投げ分けるが、この中で最も効果的なのはカッターであり、彼が投げる球種の中ではこのカッターとスライダーはMLBでも上位に入るレベルだ。
反面軸となる4シームは球威は抜群もコマンドに問題を抱えているため、四球を出すきっかけになってしまうことも多く、これからの課題になっている。

”黒田博樹”
シンカー(平均90.7mph) 36.2%
スライダー(83.5mph) 26.5%
スプリッター(86.5mph) 20.0%
4シーム(89.7mph) 10.7%
カーブ(77.8mph) 6.5%

投球の軸になっているのは主にシンカー(2シーム)、スライダー、スプリッターの3球種。
昨年に比べて速球の球速は1mph以上低下しているが、元々ムーブメントで抑える投手であるため成績自体にはさほど影響が出ていない。
今季は特にスライダーが冴え渡っている。
基本的にどの球種も安定しているが、今季はシンカーの被打率がやや高くなっており、球速低下の影響を受けている可能性もある。

”岩隈久志”
4シーム(平均89.6mph) 38.3%
スプリッター(85.6mph) 20.1%
スライダー(81.5mph) 19.9%
シンカー(89.2mph) 15.4%
カーブ(71.6mph) 6.0%

全ての球種で平均以上のパフォーマンスを披露しているが、意外にも最も効果的なのは速球だ。
岩隈の速球はMLB平均に満たない程度の球速しかないが、被打率なども非常に優秀で現時点ではリーグ有数の効果を発揮している。
昨年の岩隈は速球を打たれることが多かったが、今季の好成績を助けているのは間違いなく速球の成長だろう。
また三振を奪う際に最も効果的になっているのはスプリッターで、速球との球速差が小さい上に大きく変化することで低めのスプリッターにたいして空振りする打者が非常に多い。

2013年5月11日土曜日

日本人3投手の快進撃

日本人にとって、今季は躍進の年になるかもしれない。
以前から日本人投手の活躍には素晴らしいものがあったが、今季ここまでの活躍は目を見張るものがある。
特に先発投手、ダルビッシュ、黒田、岩隈の3人だ。 この3投手の活躍ぶりをピックアップして検証したいと思う。

”ダルビッシュ有”
7試合 5勝1敗 防御率2.56 45.2回 72奪三振 15四球 3被本塁打 WHIP0.92 FIP1.86
現在のMLBで最も三振をとれる投手は誰か、おそらくMLBファン10人のうち9人はダルビッシュだと答えるだろう。
移籍一年目だった昨季から奪三振に関しては際立っていた。
わずか191.1回で221三振を稼ぎ、今季も開幕前から奪三振王に推す声が非常に多くを占めていた。
そうして始まった初戦であわや完全試合、14奪三振という圧倒的な投球をみせたことはファンの記憶に新しい。
既に二桁奪三振を4度も記録し、奪三振王レースでは完全に一人旅という状態だ。
しかしその一方で、彼がサイ・ヤング賞を獲得し最高の投手の一人になるための課題も見え隠れしている。
奪三振が多いということはすなわち球数が多いということだ。
ダルビッシュもその例に漏れず球数が多くなりがちで、ほとんどの試合で6回あたりで100級前後に達してしまう。
サイ・ヤング賞のライバルであるフェリックス・ヘルナンデスがここ最近の3試合すべてで8回を100球に満たず投げきっていることを考えると、その部分にまだまだ差があるのは否めない。
奪三振と少ない球数を両立するのは難しいが、ダルビッシュはそれをやってのけてくれるのか、それともこのスタイルを突き通すのか。
まだ成長の余地があるだけに彼がどこまで進化するのか楽しみだ。

”黒田博樹”
7試合 4勝2敗 防御率2.30 43.0回 33奪三振 12四球 3被本塁打 WHIP1.07 FIP3.32
何かずば抜けたツールがあるわけでもないし、おそらく今季もサイ・ヤング賞争いに名が挙がることはないだろう。
しかし安定感という一点において彼はMLBでも屈指の実力者だ。 とにかく安心してマウンドを任せることができる。
なによりニューヨークでそれができる投手というのは稀有であり、サバシア同様彼が強靭なメンタルの持ち主であることは間違いない。
今季は球速が1mph程落ちており、身体的な衰えは間違いなく表れているのだがそれを成績に影響させることはない。
玄人好みで、プロの尊敬するプロだと言えるだろう。
引退する前に彼がチャンピオンリングを手にする瞬間を見てみたいものだ。

”岩隈久志”
8試合 4勝1敗 防御率1.74 51.2回 51奪三振 8四球 5被本塁打 WHIP0.74 FIP2.80
私は岩隈に対する開幕前の評価を改めなくてはいけない。
私は彼をローテーションの3番手レベルで、なおかつ投手有利な球場に助けられた内弁慶な投手だと考えていた。
昨季の彼は球威のなさをカバーできる特筆すべきツールがなく、ホーム・アウェイでのパフォーマンスに大きな差があったからだ。
しかし今ではそんな評価はナンセンスだ。
制球力はMLBでも屈指のもとなり、相変わらずホームに助けられているもののそれで彼の評価が落ちることはない。
なぜならアウェイでは圧倒的な投手、ホームではより圧倒的な投手になるだけだからだ。
この大ブレイクは岩隈自身の実力とマリナーズの強化プログラムによるもののようだが、注意しなくてはいけないのが彼はまだMLBのローテーションでフルシーズンを投げ抜いた経験がないという点だ。
日本時代は怪我がちだったことは言うまでもないし、疲れで制球が甘くなれば一発病は深刻な域に達するだろう。
そのためマリナーズは序盤90球前後で交代させるなど慎重な起用に徹している。
果たして岩隈は32先発(あるいは33先発)に耐えられるのかどうか。
特に疲れや暑さが出てくる夏場の投球には注目したい。

2013年5月10日金曜日

大型補強チームの苦難

大型補強と言えば、チームを強くする上で最も代表的で、なおかつ最もてっとり早い手段である。
昨年はエンジェルスとマーリンズがオフの主役となり、大型補強チームとなった。
しかしエンジェルスはプレーオフ進出を逃し、マーリンズは最下位に沈んで一年での大解体が行われた。
近年最も大補強が成功した例と言えば2009年のヤンキースだろうが、上記2チームのように失敗するケースも少なくない。
それでは今年の大型補強チームはどうなっているだろうか。

今年のオフに話題をかっさらったのは言うまでもなくブルージェイズだ。
解体されたマーリンズから主力を複数獲得し、なおかつサイ・ヤング賞投手のRA・ディッキーも獲得してみせた。
これによって攻守ともにリーグ最高クラスの陣容を作りあげることに成功した。
実際開幕前の予想ではジェイズの地区優勝を予想する声は多かったし、今までとは違う戦いぶりを見せてくれるだろうと期待していたファンは多かっただろう。
他の大型補強チームも見てみよう。
ロサンゼルスの2チームはFA市場の主役を大枚をはたいて獲得した。
エンジェルスはライバルチームからのハミルトン引き抜きに成功し、ドジャースはサイ・ヤング賞投手グレインキーを獲得して屈指の先発ローテーションを作りあげた。
エンジェルスはプホルスがア・リーグの水に馴染みはじめ、トラウトが初のフルシーズンを迎えること、また弱点だったリリーフを補強したことでファンである私も非常に期待し、ドジャースはヤンキース以上の悪の帝国へと変貌をとげた。

この3チームはオフの主役であり、なおかつ今季のワールドチャンピオン候補だともくされていた。
しかし面白いことに現在この3チームは揃って地区最下位に沈んでいる。
事情はそれぞれのチームによって異なる。
ジェイズは獲得した選手が怪我をした挙句、好調と言える選手がほとんどいない状態で特に投手は昨年同様壊滅状態だ。
エンジェルスはハミルトンが全く機能せず、ジェイズと同じく投手は壊滅状態。
ドジャースはグレインキーが乱闘で怪我をした上に打線が機能していない。
ある意味不安材料がそのまま的中してしまっている状態だが、それにしても揃って最下位とは驚かされる。
さらに皮肉なことに穴埋め程度の補強しかしなかった球団が上位にいる地区も多い。
もちろん実績ある選手が揃っているだけにここから盛り返してくる可能性も低くないが、彼らの2013年シーズンはここから始まるのか、それとももう終わってしまったのか 行く末が非常に興味深い。

2013年5月9日木曜日

大物たちの4月[投手編]

今回は大物投手たちで、4月好調だった選手、そして不調だった選手を紹介していく。

『スタートダッシュに成功した大物』

”フェリックス・ヘルナンデス”
3勝2敗 防御率1.90 42.2回 44奪三振 7四球 3被本塁打 WHIP0.96
この投球内容で2敗がついてしまったのが不運としか言いようがないほど、キング・フェリックスは冴え渡っていた。
6試合中5度でQSを記録し、そのうち4度は1失点以下だった。
相変わらずの打線ながら、もはや風格すら漂わせている。
彼は近年徐々に球速を落としているが、その代わりに制球力が向上しより洗練されていっている。
間違いなく今季のサイ・ヤング賞候補の一人だろう。

”ダルビッシュ有”
5勝1敗 防御率2.33 38.2回 58奪三振 13四球 1本塁打 WHIP0.93
まだ2年目だが彼を大物認定することに異論を唱えるものはほとんどいないだろう。
今季初登板での完全試合未遂をかわぎりに、ひたすら奪三振の山を築いている。
そのペースはランディ・ジョンソンにも匹敵するレベルだ。
しかし球数の多さがたたってイニング数は少しばかり物足りないものになっている。
もう少しゾーンで勝負して球数を減らすことができればイニングも多くなるだろうが、それでは奪三振が減ってしまうというジレンマもある。
少なくとも怪我がなければ奪三振王は安泰だろうがサイ・ヤング賞もとれるか。

”ジャスティン・バーランダー”
3勝2敗 防御率1.83 39.1回 41奪三振 11四球 1被本塁打 WHIP1.19
ダルビッシュとヘルナンデスの派手な活躍にやや霞んでしまった感があるが、大本命は今季も抜群の投球を続けている。
彼がMLB現役最高の投手であることに疑いはないだろう。

”クレイトン・カーショウ”
3勝2敗 防御率1.73 41.2回 47奪三振 12四球 3被本塁打 WHIP0.91
開幕戦での完封勝利から、順調な投球を続けている。
日によって制球にムラがあるのが難点だが、25歳にしてMLB最高の左腕の座は不動のものになりそうだ。

”アダム・ウェインライト”
4勝2敗 防御率2.03 44.1回 43奪三振 3四球 0被本塁打 WHIP0.99
あの男が進化してマウンドに帰ってきた。
そうキャッチフレーズをつけたくなるほど今季のウェインライトは洗練されている。
最初の4登板を四球0でかざり、最終的なK/BBも当然ダントツ。
2010年のクリフ・リーを彷彿とさせるような活躍だ。

『不調に陥った大物たち』

”デビッド・プライス”
1勝2敗 防御率5.21 38.0回 35奪三振 9四球 6被本塁打 WHIP1.37
昨年のサイ・ヤング賞投手が予想外の滑り出し。
しかし四球などで乱調だった訳ではなく、xFIPは相変わらずの高水準。
なんだかんだで最後にはまとめてくるだろう。

”RA・ディッキー”
2勝4敗 防御率4.50 36.0回 28奪三振 15四球 5被本塁打 WHIP1.31
昨年のサイ・ヤンガーが二人して不調に陥ったわけだが、こちらはプライスとは違い深刻。
奪三振率と四球率が共に悪化し、ナックルの球速も落ちている。
3月時点からその兆しはあったものの、嫌な予感が的中してしまった形だ。
5月最初の登板でも7失点と立ち直りの気配がなかなか見えてこない。

”マット・ケイン”
0勝2敗 防御率6.49 34.2回 32奪三振 10四球 9被本塁打 WHIP1.30
安定感がウリの投手が7失点以上が2度と大乱調。
特に被本塁打の多さには驚くばかりだ。
むしろこの投球で2敗ですんだのがラッキーか。


2013年5月5日日曜日

大物たちの4月[打者編]

MLBが開幕して一ヶ月あまりが経ち、スタートダッシュを決めた大物もいれば実績がありながら大きくつまづいた大物もいる。
果たして今季はどうなったのか、注目選手の4月の成績を見ていく。

『スタートダッシュを決めた大物たち』

"ジャスティン・アップトン"
打率.298 12本 19打点 出塁率.402 OPS1.136 3盗塁
開幕からしばらくMLBの話題をかっさらったのは、移籍初年度のJ・アップトンだ。
序盤から本塁打を量産しつづけ、後半にペースは落ちたものの12本塁打は堂々の両リーグトップ。
その割に打点が伸びていないのはブレーブスの1,2番が機能していなかったことと、得点圏であまりにも打てなかったことが理由だ。
今は調子を落としているものの本塁打王の有力候補と考えていいだろう。

”ミゲル・カブレラ”
打率.363 4本 28打点 出塁率.436 OPS.995 1盗塁
アップトンのようなド派手な活躍をしたわけではないが、相変わらずの三冠王の打撃ですべてにおいてハイレベルな数字を残した。
特に得点圏に強く、今季も打点王と首位打者は上位争いに間違いなく食い込んでくるだろう。
5月に入ってからさらに調子を上げてきており、もはや手がつけられない状態に。

”プリンス・フィルダー”
打率.301 7本 27打点 出塁率.417 OPS1.009 0盗塁
こちらも常に安定してハイレベルな打撃を見せ、恐怖の3,4番を演出した。
相変わらずの出塁率の高さで、なおかつ本塁打も出ているので今季は久々の40本越えを期待したいところ。
カブレラとの勝負を避けてもフィルダーが待ち構えているのは投手にとってはきもが冷える思いだろう。

”トロイ・トゥロウィツキー”
打率.308 6本 22打点 出塁率.394 OPS.996 0盗塁
最高のショートストップがやっと帰ってきた、そう言いたくなるような活躍ぶりを見せてくれた。
打者天国のホームだけではなくアウェイでも好成績を残している点は流石。
守備も文句なしの彼は今季こそ離脱せず戦い抜いてくれるのか。
とにかくトゥロの健康を祈るばかり。

”ブライス・ハーパー”
打率.344 9本 18打点 出塁率.430 OPS1.150 1盗塁
昨年の新人王は彼にとっては序章に過ぎなかったのだとわからせてくれるような活躍。
左投手相手に打てていないのは気になるのが、彼はまだ20歳の青年だということを忘れてはいけない。
昨年のトラウトに続いて伝説の20歳を今季も見れるかもしれない。

『不調に陥った大物たち』

”ジョシュ・ハミルトン”
打率.204 2本 9打点 出塁率.252 OPS.548 1盗塁
現時点で最も期待はずれの選手を選べと言われたら、ほとんどの人がハミルトンを選ぶだろう。
エンジェルスは昨年も4月にプホルスの不調に悩まされたが、今季はハミルトンの番だ。
昨年から傾向は出ていたがとにかく選球眼に問題があり、ボール球を空振りして簡単に凡退してしまう。
プホルス同様シーズンが進むにつれて復調してくれるのか、エンジェルスファンとして史上最悪の5年契約にならないことを祈る。

”アダム・ダン”
打率.148 6本 12打点 出塁率.242 OPS.617 1盗塁
いくらダンだとはいえ、打率1割台ではお話にならないだろう。
それでも本塁打はそこそこ打っている辺り流石だが、守備・走塁では貢献できないのにこれではDHがもったいない。

”マット・ケンプ”
打率.260 1本塁打 11打点 出塁率.318 OPS.662 4盗塁
打率は悪くないが、期待された本塁打が1本というのはあまりにも寂しい。
ケンプの現状が、得点力不足にあえぐドジャース打線を象徴しているのかもしれない。


 

2013年5月4日土曜日

新人王レースに躍り出たナ・リーグの奪三振マシーン

開幕からローテーション入りし、6試合で4勝2敗 防御率1.96と非常に優れた成績を残しているシェルビー・ミラーがリードするナ・リーグ新人王レースに新たな好投手が名乗りをあげた。
レッズの新人左腕トニー・シングラニ。
その凄さは今季成績に現れている。
3試合 2勝0敗 防御率1.50 18.0回 28奪三振 4四球 被本塁打2 被安打12
特に目をひくのが18回で28をたたき出している奪三振だが、奪三振率にして14.00はまだ3試合とはいえ今季のダルビッシュ以上の数字で、1イニング4奪三振も記録している。
しかしダルビッシュと違うのはその投球スタイル。
球種は4シーム、スライダー、チェンジアップ、2シームというオーソドックスなものながら、なんと先発なのに4シームの割合が80%を超えるというゴリ押しスタイルだ。
そしてそれだけ速球が投げ込まれているのにも関わらず打者は打てない。
彼はストラスバーグやバーランダーのような100mphを超える速球を持っているわけではないし、リーやハラデイのような精密機械のごときコマンドを持っているわけでもない。
では何故打てないのか、その秘密は彼の投球フォームにあるのだろう。
http://mlb.mlb.com/video/play.jsp?content_id=26683993&c_id=mlb

この特徴的でしなやかな腕の振りから放たれる矢のような速球はおそらく打者に球速以上の脅威を感じさせているはずだ。
平均92mphの速球によるゴリ押しスタイルとは中々面白いものがあるが、ここからどれだけ”K”を積み重ねられるのか。
今季の新人王レースも面白いものになりそうだ。