2015年12月12日土曜日

2015年ポジション別 守備力ランキング vol.1

メジャーリーガーの凄さが一番わかりやすいプレーというのは何だろうか?
バックスクリーンに飛び込む豪快な本塁打、ベースをトップスピードで駆け抜けるランナー、100mphに届く圧倒的な球速、大きく曲がる変化球など色々な意見が出ると思うが、私はメジャーリーガーの守備こそが、なによりも彼らの凄さが一発で知らしめることのできるものだと考えている。
そこで今回は、MLBに興味を持ち出している野球ファンのみなさんに是非知ってもらいたいMLBの守備の名手たちをランキング形式で紹介していく。

その前に、まずは何をもって守備の名手と呼ぶのかについてお話ししなければならないだろう。

守備というものは野球の中でも最も評価の難しいカテゴリーであり、明確な数字として表される打撃と比べても数字で表れる情報が極めて少ない。その中でも最近まで守備を評価する上で多く使われてきたのは守備率だった。算出の仕方はシンプルなもので、守備機会のうちエラー率を引いた割合が守備率となる。例えば守備機会100回の選手がその中で1度だけエラーした場合は、守備率0.99となるわけだ。このデータから読み取れるものは言うまでもなくミスの少なさであり、守備率が高い選手は堅実、低い選手はミスの多い粗い守備という評価になる。
ところがこの守備率には大きな弱点がある。それは守備範囲の広さなどは全く考慮されていないという点だ。守備率0.99のA選手と守備率0.97のB選手を比較した場合Aの方がミスが少ないということは明らかだが、Aの守備範囲が狭く、Bの守備範囲は極めて広いとすると総合的にはBの方が守備貢献度が高いということになる。守備の目的というのはミスをしないことではなくアウトをとることにある、という基本にたちかえるならば、守備率だけを見ていては守備貢献度を図ることは全くできないということがわかるだろう。

そうした中でもなんとか守備を数値で評価することはできないだろうかと考えたセイバーメトリシャンたちは、苦労の末いくつかの守備指標を生み出すことに成功した。そのいくつかある中から今回スポットライトを当てたいのはDRS(守備防御点)だ。DRSはUZR(アルティメット・ゾーン・レイティング)とともに名前が挙がることが多いのだが、投手や捕手も含めてデータが出ているDRSの方を今回は見ていきたいと思う。
DRSのコンセプト自体は単純明快。その年の平均的な選手と比べて何点分の失点を防いだか、あるいは許したのかを数値化していこうというものだ。+5ならば並の選手と比べて5点分を防いだことになるし、ー5ならば5点分多く失点を許したことになる。
このデータは計算式で算出できるものではなく、フィールドをいくつものゾーンに分け、打球の方向、タイプやプレーを記録し、各打球の難易度を設定した上で選手の実際の守備と照らし合わせることで数値化している。非常に高度な分析であり、今なお改良が繰り返されている指標だ。大まかな基準としてはポジションにもよるが+10以上なら優秀、+20以上ならその年トップクラスだと考えていいのではないだろうか。
さて、そこで気になってくるのはこの指標の精度である。上記でも言及したように、今なお改良されている発展途上の指標故に、100%の信頼を置けるものではなく(最も100%信頼できる指標は存在しないが...)現状正しく評価するには3年分のサンプルが必要だと言われている。しかし、正確性にやや難ありだとしても有用な指標であることには間違いなく、DRSの普及によって”実は守備貢献度が高い”、あるいは”実は守備範囲が狭かった”という真の守備力とでもいうべきものが明らかにされている。
その典型が引退したデレク・ジーターで、その華やかなプレーと堅実なグラブ捌きでショートとして5度のゴールドグラブ賞に輝いているが、実際は守備範囲が狭く守備貢献度はかなり低かったことは既に知れ渡っている。

日本の野球ファンの間でも少しずつ知れ渡ってきているこの守備指標は、今や守備を語る上で欠かせないものになりつつある。そこで今回はDRSなどセイバーメトリクスの指標と観客を魅了する魅せる守備の両方の視点をハイブリッドさせ、次回からポジション別に選手を紹介していく。vol.2ではまず、センターの選手のランキングからだ。

vol.2へ続く
http://djokercw.blogspot.jp/2015/12/2015vol2.html

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