2012年7月22日日曜日

WBC問題

先日NPB選手会がWBC不参加を表明したことで話題になっているWBC問題ですが、私はどちらが悪いとか、出るべきと出ないべきとも思いません。
まずWBCの現状について考えてみると

日本ではやたらと「アメリカが66%で日本は13%しかない」というところが強調されているように感じます。
そこだけピックアップしてみるとどう考えても不平等です。しかし問題はこれがアメリカと日本という国と国ではなく、MLBとNPBという組織と組織の構図であるというところにあります。
WBCに出場している選手の半数はMLB所属選手で、NPB所属選手はその10分の1に過ぎません。アメリカやドミニカ、ベネズエラといった国はもちろん、日本にもメジャーリーガーが何人も出場していました。
つまりMLBに66%配分されていることはそれほどおかしくないのです。アメリカ代表に66%がいっているわけではなく、むしろNPBの選手の方が多くギャラを受け取っているわけですから。

マスコミはここを話題にしていますが、実際のところNPB選手会が強く問題にしているのはスポンサー権などについての方です。
スポンサー権には大会スポンサーと代表スポンサーの二種類があり、大会スポンサーの方は文字通りWBCという大会自体に対するスポンサーなので主催者側であるMLBに行くのは問題ありません。
もう一つの代表スポンサーは国の代表につくスポンサーであり、これをMLBに吸い上げられるのがNPB選手会は納得がいかないわけです。
よく引き合いに出されるのがサッカーのW杯で、W杯(他のスポーツ)では代表スポンサーが認められているのだからWBCでは認めないのはおかしいということです。
しかし第3者機関であるFIFAが運営しているW杯とMLBが主催しているWBCとを同じに考えることはできません。
前述したように日本代表はあくまで日本人の代表であってNPB代表ではないわけです。イチローや松坂といったMLB選手も出場しており、勝利に貢献したいたことから、日本代表の価値=NPBの価値とするのは難しいです。
こちらはMLB側の主張で、「日本代表の価値にはMLB選手(イチローなど)なども貢献している」というわけです。

ここまで考えるとどちらの主張も間違っていないように思えます。
そもそも日本でよく言われる、「日本がMLBの金儲けにつきあう必要はない」という主張には少し疑問を感じます。
年間70億ドルを稼ぎ出すMLBがWBCでの利益1800万ドルのためにそこまで躍起になるでしょうか?
MLBにとっては商業的なメリットはほとんどない大会で、10年以上かけて野球の国際的な発展のためにこの大会を実現させたわけです。
実際に収益を欧州やオーストラリアリーグといった野球後進国の発展のために使うという名目を掲げています。
MLB選手を派遣するための保険金など(もちろん日本メジャーリーガーも含めて)を考えた場合、MLB側にお金が入らないと各球団にMLB選手を派遣させられません。
ドミニカやベネズエラのように野球が強くても貧しい国もあり、こういった国のためにもMLBは援助をしているわけですから、日本の主張は国際的な観点からすると自国の利益のために主催者ともめているように映ってしまうのが現状です。

今回の件に悪者は存在しません。
どちらも問題を抱えており、どちらも正義を主張するために折り合いがつかなくなっているだけです。
日本にいればMLB側が一方的に悪いという風になっていますが、こういった事情も踏まえて考えていただきたいです。

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