2013年12月4日水曜日

2つのビッグトレードが成立!

MLBで大物選手が動くビッグトレードが二つ成立した。
一つはアスレチックスとオリオールズの間のトレード。

ジム・ジョンソン ⇔ ジェマイル・ウィークス + 後日発表選手


アスレチックスは先日スコット・カズミアーと2年22Mドルの契約を交わしたことでFA市場に出ている今季エース級の活躍をしたバートロ・コロンとの再契約はなくなったものと見られていた。
他にもクローザーとして大活躍をしたグラント・バルフォアも同じくFA市場に出ていたが、2年連続で防御率2点台&50セーブを記録しているジョンソンを獲得したことでバルフォアとの再契約の可能性も低くなった。
これでアスレチックスは投手陣に空いた穴をしっかりと埋めたことになる。
ジョンソンは今季好不調の波が激しく、セーブ失敗を9度記録している点は気になるが、彼をクローザーとして固定することで再度ライアン・クックとショーン・ドゥーリトルの左右のセットアッパー体制をしけるのは大きなメリットだ。
放出したウィークスも、二塁にはカヤスポや先日獲得したニック・プントなどがいることで構想外になっており、大きな痛手にはならなそうだ。
今回もビリー・ビーンGMはうまくリスクの低いトレードをやってのけたことになる。

対するオリオールズはジョンソンを失いウィークスを獲得したわけだが、これは結構な痛手になるだろう。
代わりのクローザーは今季セットアッパーだったトミー・ハンターやダレン・オデイが務めるのか、新たなクローザー候補を獲得するのかはわからないが、投手力に問題があるオリオールズにとってジョンソンのぬけた穴は小さくない。
見返りとして獲得したウィークス自体はチームの補強ポイントとしては間違っておらず、若い二塁手を欲していたオリオールズにとっては欲しい選手ではあったはずだ。
すでに十分な長打力を持ち合わせているオリオールズにとって欲しいのはスピードと出塁能力に長けた二塁手だったが、ウィークスはこの点をある程度満たしている。
しかし今季はアスレチックスで出場機会に恵まれず、シーズンのほとんどをAAAで過ごした。
AAAでの成績も突出しているわけではなく、2012年はメジャーで結果を残せなかったこともあってオリオールズでレギュラーとしてどの程度やれるのかは未知数だ。
そういう意味ではこのトレードはかなりギャンブル性が高く、後日発表でどういった選手を獲得するのかも重要になってくるだろう。
とは言えオリオールズにはジョナサン・スコープという二塁手のプロスペクトもいる。
もしウィークスがうまく機能しなければスコープにレギュラーのチャンスが回ってくることになるだろう。


もう一つ成立したビッグトレードは、タイガースとナショナルズ間でのもの。

ダグ・フィスター ⇔ イアン・クロル + スティーブ・ロンバルドージー + ロビー・レイ


ナショナルズはスティーブン・ストラスバーグ、ジオ・ゴンザレス、ジョーダン・ジマーマンというリーグ屈指の三本柱を擁しているが、4番手だったダン・ヘイレンがFAになりドジャースと契約したことで、4番手以降に信頼のおける投手を欲していた。
来季の4番手以降の候補としてはロス・デトワイラー、タナー・ロアーク、テイラー・ジョーダンらの中から探すという形になっていた。
そういった状況の中で実績があり優秀な2,3番手クラスの実力があるフィスターを獲得したことで、4番手までを実績ある若い投手で固めることができ、5番手を上記3人の中から探し当てればよくなった。
ストラスバーグ、ゴンザレス、ジマーマン、フィスターはいずれも2,3番手クラス以上の実力を持っており、この時点でかなり豪華なものだ。
さらに5番手投手がある程度活躍できるのなら、今季のタイガース先発ローテーションと同じくらいのパフォーマンスを期待できることになる。
また5番手を固定することができれば他の先発候補の投手をリリーフにまわすことができ、一抹の不安があったリリーフも充実させることができる。
放出したロンバルドージーはユーティリティプレイヤーだったが長打力と出塁能力が低く、貴重な左のリリーフだったクロルもフィスターの交換要員としては特に惜しくはない。
プロスペクトのレイは奪三振力がウリの左の先発投手だったが、ナショナルズは投手が揃っている上にマイナーにはルーカス・ジオリト、AJ・コール、マット・パークといったプロスペクトがいるため痛手にはならないだろう。
この補強の効果は大きく、ナショナルズはリーグ優勝の最有力候補に躍り出たといっても過言ではない。

一方のタイガースは今季強力な先発ローテーションを作り上げた立役者を一人放出する結果になってしまった。
来季の先発ローテーションはこれでジャスティン・バーランダー、マックス・シャーザー、アニバル・サンチェス、リック・ポーセロに加えてもう一人という形になるだろう。
200回を投げるフィスターのぬけた穴は大きいが、5番手として今季6試合に先発したホゼ・アルバレスかリリーフとして好投したドリュー・スマイリーを使うことができれば、右偏重だった先発ローテに一人左投手を加えることができる。
クロルを獲得したのは左のリリーフを一人先発にまわす分の穴埋めということだろうか。
リリーフ全体としては未だ弱点のままだがそれも今後補強していくことだろう。
またタイガースは左投手のプロスペクトが不足していた点を考えればレイを獲得したことも納得で、ロンバルドージーも便利屋的に使っていくことになるだろう。
加えて、フィスターを放出したのには経済的な要因もあったはずだ。
先日タイガースはフィルダーとキンズラーのトレードで契約内容のダウングレードを図ったばかりだが、長期契約しているバーランダー、サンチェスに加え今後FAになるシャーザー、ミゲル・カブレラといった面々に契約延長を申し出ることを考えると現時点であまり長期契約を抱え込んでおくのは得策ではない。
その点フィスターの優先順位はタイガース内では低く、来季30歳になり調停権もあるため今までのように安価で使うことも難しくなる。
先日のフィルダーのトレードからも伺えるように、どうやらタイガースは長期的な視点を持ち合わせているようで今回のトレードもその一端だろう。
タイガースは主力を保持しつつ若い選手たちも育てるという理想的なチームを作り上げようとしているようだ。
この作戦がうまくいくかどうかは、まずは来季が始まってみればよくわかるはずだ。



”追記”

アスレチックスはさらにレンジャーズとのトレードでプロスペクトのマイケル・チョイスとクリス・ボスティックを交換要員にクレイグ・ジェントリーとジョシュ・リンドブルームを獲得。
そしてセス・スミスを交換要員にパドレスからルーク・グレガーソンを獲得した。
注目すべきはグレガーソンで、彼はスライダーを武器として5年連続60試合以上に登板、3年連続防御率2点台の安定したリリーバーだ。
彼を獲得したことによるアスレチックスのリリーフ陣はリーグ屈指のものとなった。

そしてタイガースの方も課題だったリリーフ陣の強化に取り組んでおり、FAになっていた実績豊富なクローザー、ジョー・ネイサンと2年20Mドルで契約した。
ネイサンは39歳と高齢だが、2年契約ならそれほどリスクは高くなく、またパフォーマンスに大きな衰えも見られないためタイガースとしては念願の絶対的クローザーを獲得することに成功したと言える。
タイガースリリーフ陣はここに将来のクローザー候補ブルース・ロンドンや奪三振マシーンのアル・アルバカーキなどが育ってくれば充実度が見違えるはずだ。

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