2011年11月22日火曜日

2011アワード

ジャスティン・バーランダーがなんとア・リーグMVPを受賞しました。
投手のMVP受賞は1992年のデニス・エカーズリー(OAK)以来19年ぶり、先発投手としてなら1986年のロジャー・クレメンス(BOS)以来25年ぶりとなり、まさに歴史的な受賞といってもいいでしょう。
今回の投票の上位5名を記述します。

��.ジャスティン・バーランダー(DET) 280
��.ジャコビー・エルズベリー(BOS) 242
��.ホゼ・バティスタ(TOR) 231
��.カーティス・グランダーソン(NYY) 215
��.ミゲル・カブレラ(DET) 193

バーランダーは28の1位票のうち13を獲得しました。
やはり打者の中で票が割れたのがバーランダーに有利に働きましたね。

彼のMVP受賞の可能性を最も妨げていたのは、MLBの過去の過ちでした。
1999年のペドロ・マルティネス(BOS)は23勝4敗、防御率2.07。
213.1イニングを投げて313三振を奪い、許した本塁打はたった9本、四球はわずか37でした。
リーグ2位の防御率は3.44で、打者優位の時代にペドロは圧倒的な成績を残しました。
当然のごとくサイ・ヤング賞を満票で受賞し、MVPの最有力候補とも言われましたが、結果はイバン・ロドリゲス(TEX)に次ぐ2位。
その差はわずか13ポイントで、2人の記者が投票の上位10位からペドロを除外していました。
投票の際の注意点として全米野球記者協会は以下の5つの点を挙げています。
①チームに対する貢献度。つまり攻撃力と守備力。
②出場試合数
③性格、気質、忠誠度と努力
④過去の受賞経験者も資格がある
⑤同一チームの2人以上に投票可
また、投手もDHもMVP資格があると明記されています。
しかしそれでも頑なに投手やDHには投票しようとしない記者はおり、DETの監督ジム・リーランドも「投手はMVPを獲得すべきではない」と発言したほどです。
それ故にペドロは圧倒的な成績を残したのにも関わらずMVPを受賞することがなりませんでした。
当時のペドロの成績は、今季のバーラーンダーのそれより優れていました。
しかも今とは違いペドロの時代は打者優位でした。
今回のMVP投票において過去を遡るなら、ペドロが受賞できなかったMVPをバーランダーが受賞することは非常に困難でした。
しかし今回の結果をみるに、どうやら投票者たちは成長したようです。
過去の過ちを過ちとして認め、これからは投手にもMVP獲得のチャンスがあるということを明確にしました。
もちろんさらに論争は起きるでしょうが、歴史を変える受賞になったことは間違いありません。

4 件のコメント:

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    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    今回のバーランダーのMVP受賞はおどろきでした。
    彼の今季のはたらきは素晴らしかったですが結果的にはやはり野手がとるのではないかと考えていました。
    ナリーグMVPも非常に楽しみですね!

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  2. SECRET: 0
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    コメントありがとうございます。
    私も非常に驚きました。
    これを機に球界の見方も変わっていけばいいですね。

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  3. スカーバラ2013年5月8日 19:15

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    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
     ア・リーグのMVPにジャスティン・バーランダー投手が選ばれたことに、大変驚くと同時にとてもうれしく思っています。1999年にペドロ・マルティネスが僅差でMVP受賞を逃した後、先発、救援を問わずどれほど素晴らしい成績を残した投手が現れても、MVPレースでは下位に甘んじていました。もはや「投手がMVPになることはありえないのでは?」という感もあっただけに、それを覆したバーランダーの受賞は画期的です。
     そもそも最優秀選手賞であって最優秀野手賞ではなかった以上、投手をMVPから排除する投票傾向そのものがおかしいものでした(投手以外に、残念ながらDHも排除される傾向がある)。なお、この傾向は90年代半ばから飛躍的に強まったものです。92年までは投手のMVPは数年に一回は生まれていましたから。
     しばしば「毎試合出場しない投手はMVPにふさわしくない」「投手にはサイ・ヤング賞がある」といわれます。でも、一般的にみても投手の負担は野手の比ではありませんし(先発はもちろん、救援投手だってほぼ毎試合準備し極めてプレッシャーのかかる場面で働かなければならない)、だいたい野手だって9回に1回しか打席に立たないではありませんか。一方、サイ・ヤング賞はあくまで最優秀投手賞であり、MVPに代替できるものではありません。それにサイ・ヤング賞は基本的に先発投手の賞であり、今のままでは救援投手はどっちの選考でも不利になってしまいます。これは不条理です。
     今回のバーランダー選出で少なくともア・リーグ担当記者の中では投手差別をやめる気運があることがわかりました(1968年のボブ・ギブソンを最後に投手のMVPが誕生していないナ・リーグはもっと状況は深刻)。無論、すぐさま投手、野手、DHが平等に扱われるとは思いませんが、今後は素晴らしい成績の投手が現れれば不合理な理由でMVPを逃すことはなくなると期待したいです(10年に一回くらいは投手のMVPが出るのではないか)。
     「サイ・ヤング賞の意味がなくなる」という批判もありますが、その問題はMVPを野手の賞に特化するのではなく、ハンク・アーロン賞をポジション(DH含む)や役割を問わない真の最優秀野手賞に発展させ、記者投票で選出するようにして解決すべきだと思います。野手のポジションは多いので一つの賞では評価しきれないのであれば、スラッガー部門、リードオフマン部門、走塁部門、守備部門等々、複数の賞を用意すればいいのではないでしょうか。このように野手にもサイ・ヤング賞に相当する賞を作れば、MVPは真に最優秀選手を選ぶ賞に純化できるでしょう。ついでに言えばMVPは必ずしも成績だけで選ばれているわけではないので、個別賞と受賞者が異なっても別によいと思います(もちろん、成績が最重要評価項目ですが)。
     うれしさのあまり、少したくさん書いてしまいました。来年のMVP投票傾向も楽しみですね。個人的には投手だけでなく指名打者のMVPも生まれてほしいです。

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  4. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    素晴らしいコメント本当にありがとうございます。
    私も投手がMVPを受賞したことはMLBにとってプラスになることで、非常に喜ばしいと思います。
    ですがDHのMVP受賞はかなりハードルが高そうですね。
    あくまで最優秀選手賞であって、総合的な能力を問われますから走・守(DHはたいてい走塁の貢献度も低い)では貢献度が低い選手はどうしても不利になります。
    DHがMVPを獲得しようと思ったら、それこそボンズ並みの打撃スタッツを残さなくてはならないでしょう。
    個人的にはマニーのような打撃しか期待できないようなピーキーな選手は好きなので、そんな選手が現れて欲しいとは思います。
    ところで今回のバーランダーの受賞によって、2001年からのア・リーグMVPの選手でベストナインが出来ることはご存知でしたか?
    C  ジョー・マウアー
    1B ジャスティン・モルノー
    2B ダスティン・ペドロイア
    3B アレックス・ロドリゲス
    SS ミゲル・テハダ
    OF ジョシュ・ハミルトン
    OF イチロー
    OF ブラディミール・ゲレーロ
    P  ジャスティン・バーランダー
    面白いですよね。

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