2013年12月22日日曜日

FA市場最後の大物野手シンス・チューがレンジャーズと長期大型契約

レッズからFAになっていた31歳の韓国人外野手シンス・チューがレンジャーズと契約したことが発表された。
契約内容は7年130Mドルと報道されており、このオフの大型契約ではカノー、エルズベリーに次ぐ規模のものとなった。
レンジャーズの外野では若手のレオニス・マーティン、シーズン途中にトレードで加入したアレックス・リオスのレギュラーはほぼ確定しているが、ネルソン・クルーズがFAとなったことで空いた外野の一角にチューが入ることになるだろう。
過去の守備経験から見てもセンターにマーティン、ライトにリオス、レフトにチューという形になる可能性が高い。

チューは現在アジア人メジャーリーガーの中では最も能力の高い野手であり、過去に20本塁打20盗塁を3度達成している走攻守に優れた外野手だ。
ただ守備に関しては近年パフォーマンスが悪化しているため、今では守備面でウリにできるのは肩だけかもしれない。
それでもレフトでなら再び守備でも輝くことができるだろう。

打撃に関してはレギュラーに定着した2008年以降で打率.280 出塁率.370 OPS.810を下回ったのは2011年だけであり、この年は怪我の影響で満足なパフォーマンスを発揮することができなかったことを考えると近年はほとんど高いレベルで安定しており、特に出塁能力の高さはMLB全体でみても随一だ。
スピードはそこまで飛び抜けているわけではないが、20盗塁する力はもっており出塁能力の高さと合わせてリードオフマンとするには理想的なタイプの打者だ。
もちろん長打力もあるため打者に有利なアーリントンの性質を考えても20本塁打40二塁打を計算していいはずだ。
気になるのはここ2年左投手を極端に苦手としている点だが、これはもうほとんどの左打者の常であり諦めるしかないだろう。
キンズラーを失った攻撃面の穴はほぼ完全に埋まったと考えていい上に、今まで出塁能力の高い選手がそれほどいなかったレンジャーズとしてはチューとフィルダーという出塁マシーンを二人も加えられたことは朗報だろう。
チューは怪我のリスクも低くはないが、そこはDHのいるア・リーグのことで休養なども挟めばなんとかなるだろう。
問題は7年間彼が金額に見合うパフォーマンスを続けられるのかということだが、これは難しいだろう。
元々頑丈ではない選手だけに35歳あたりからガクッと成績が落ちてきてもおかしくない。
しかし最初の4年近くを2013年と同じ程度の活躍ぶりで過ごすことができるのならばトータルとしての収支はそう悪くはないだろう。
とにかく怪我をしないことが重要で、今季打線が湿りがちだったレンジャーズとしては得点力が大幅にアップしたことは間違いない。
同僚のダルビッシュもその恩恵を受けることは多いだろう。

また興味深いのは、レンジャーズが多国籍軍になっていっているという点だ。
主力の国籍をみてみると、
シンス・チュー 韓国
ダルビッシュ有 日本
レオニス・マーティン キューバ
ホアキム・ソリア メキシコ
ジオバニー・ソト プエルトリコ
エルビス・アンドラス ベネズエラ
エイドリアン・ベルトレ ドミニカ
ジュリクソン・プロファー オランダ
プリンス・フィルダー アメリカ
と野球が盛んなあらゆる国の選手が集まっている。
来季のラインナップ予想をしてみると

1 LF シンス・チュー(韓国)
2 SS エルビス・アンドラス(ベネズエラ)
3 3B エイドリアン・ベルトレ(ドミニカ)
4 1B プリンス・フィルダー(アメリカ)
5 RF アレックス・リオス(アメリカ)*プエルトリコ系
6 DH ミッチ・モアランド(アメリカ)
7 2B ジュリクソン・プロファー(オランダ)*キュラソー島
8 C  ジオバニー・ソト(プエルトリコ)
9 CF レオニス・マーティン(キューバ)
P  ダルビッシュ有(日本)

となんと内野だけでも実に5ヶ国が揃い、エースのダルビッシュも含めたレギュラー10人では8ヶ国が揃うのだ。
これほどグローバルなチームは国際化が進むMLBと言えども中々なく、非常に興味深い。
これだけの陣容を揃えたレンジャーズには来季大いに期待したい。
プホルス、ハミルトンなどが復活すればまだまだわからないエンジェルス、補強を繰り返し勝負にでているマリナーズ、盤石の投手陣を作り上げつつあるアスレチックス、そして攻守に充実度が増したレンジャーズとア・リーグ西地区はアストロズ以外の4チームが混戦模様でかなり面白い地区になりつつある。
来季最も注目される地区であることは間違いないだろう。






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