2014年8月1日金曜日

レッドソックスに2つのビッグトレード!

毎年恒例トレードデッドライン間際のビッグディールが、レッドソックス−アスレチックス間、レッドソックス−カージナルス間で成立した。
こういうトレードは優勝争いをするチームが優勝争いから脱落したチームの主力を獲得するケースがほとんどだが、今回はアスレチックスとカージナルスが前者でレッドソックスが後者にあたる。
昨季のワールドチャンピオンであるレッドソックスは今季またしても最下位にまで落ちてしまい現在勝率.444。
対して近年常に優勝争いを続けるアスレチックスは今季も勝率.617で地区首位にたっており、カージナルスも.528の3位と優勝の可能性を残している。
1つ目のトレード内容は以下の通りになっている。

アスレチックス→レッドソックス

ヨエニス・セスペデス(28)
ドラフト2位指名権

レッドソックス→アスレチックス

ジョン・レスター(30)
ジョニー・ゴームス(33)
金銭

セスペデスとレスターという2人のビッグネームが動くことになったのだが、このトレードの背景を想像するのは容易だ。
レッドソックスは来季以降にかけるため主力を放出する路線できている。
ジェイク・ピーヴィをジャイアンツにトレードし、フェリックス・ドゥブロンをカブスへ放出しており、しっかりエース級の活躍をしているとは言え今季で契約のきれるレスターは最も高く売れる選手だ。
また今季のレッドソックスは長打力不足にも悩まされており、オーティズ1人に頼るわけにはいかない以上今後数年主軸を任せられる選手が必要だった。

対してアスレチックスの方はTJ手術で2人の先発投手が全休に追い込まれるなど投手力復活が課題であり、実際カブスからジェフ・サマージャを獲得するなど弱点を補強してきていた。
またそろそろプレーオフ進出だけでなくチャンピオンリングを獲得するための動きが必要な時期でもあった。
今回放出したセスペデスは2015年まで契約が残っているが、当初想定されたほどの好成績を残すには至っておらず、ホームランダービー2年連続優勝など話題は提供しているもののスターにはなりきれていないという状態だ。

こういった両者の事情が合致して成立する今回のビッグトレードだが、優勝を狙うアスレチックスとしては非常に大きなピースがそろったことになる。
カズミアー、グレイ、レスター、サマージャという布陣は非常に強力で、レスターに関してはポストシーズンでの実績も非常にすばらしい。
例年投手陣は強力なアスレチックスだがこれほどまでに質の高い先発投手が揃ったのは久しぶりだろう。

2つ目のトレード内容は以下の通り。

レッドソックス→カージナルス

ジョン・ラッキー(35)

カージナルス→レッドソックス

アレン・クレイグ(30)
ジョー・ケリー(26)

ラッキーの放出はレッドソックスの解体ぶりを見れば明白なように既定路線で、カージナルスがクレイグとケリーを放出したのも理由はわかりやすい。
クレイグはホリデイ、タベラス、ボージャスが揃う外野にも、アダムスが定着した一塁にも居場所を失いつつあり、ケリーに関しても有望な若手であるマルチネスを先発に回すために放出候補となることは予想されていたからだ。
非常にシンプルでわかりやすいトレードだがこれでレッドソックスは主力投手陣を完全に解体。
しかし投打に若手有望株をそろえるレッドソックスとしてはこれはいい機会でもあり、今季は苦戦必至とは言え今後も目を離すことはできない。



4 件のコメント:

  1. スカーバラ2014年8月3日 11:06

     トレードによるアスレティックスの補強も凄かったですが、タイガースも三角トレードでレイズのエース、プライスを獲得しました。これでシャーザー、バーランダー、サンチェス、ポーセロに加えてプライスが加入することになり、先発陣は大リーグ最高の顔ぶれを言ってもよくなりました(個人的には上原あたりを獲ってリリーフを補強するかと思っていましたが)。アスレティックスとタイガースがア・リーグの覇権をかけて対決する可能性は低くないと思います。

     それにしても大リーグのこの時期のトレードの活発さには毎度のことながら目を見張ります。7月末の正規のトレード期限、そして8月末のウェーバー制度を利用した駆け込みトレード、この二つでガラッとチームが変わることが少なくなく、これらの移籍劇自体が注目すべきものです。特に今年のレッドソックスのような優勝の望みのなくなったチームから主力が大移動し、優勝争いをするチームに移ることによってペナントレースの行方が予想できないものになることが少なくなく、今年も面白いことになりそうです。次の8月末までにまだまだ動きがありそうですね。
     今回のアスレティックス、レッドソックスなどのような大型トレードは日本のプロ野球ではめったに見られません。オフシーズンですら珍しく、シーズン中にはほぼ皆無です。これはトレードに対するネガティブなイメージ(「役立たずや問題児を追い出すもの」)が残っていることもありますが、それ以外にもFA権取得までの期間が長いことや、外国人枠の存在などのため、機動的な戦力補強がしにくいのも大きな理由でしょう(抜けた戦力を容易に埋められない)。ゆえに現有戦力のキープに走りがちになるのではないか?プロ野球の活性化のためすべきことは多いでしょう。

     ただし、大リーグの活発なトレードにも問題点がないわけではありません。特に主力選手を放出するチームの側を見ると、熟考を要する部分もあります。まず、シーズンの途中で主力を放出するのは「勝負を投げた」と見られても仕方ない。次に、長期的な視点で見ても、戦力をキープして来季に再起を図る、ひたすら戦力の熟成を待つというのも一つの方針であり、成績が振るわないからと言って、主力を放出し続けていたら強いチームは作れないおそれがあります(特に資金力の乏しいチーム)。実際、長期低迷しているチームは、毎年のように夏場に主力の放出を繰り返していた例が少なくない。いわゆる「ファイヤーセール」を先の見通しもなしに行わないよう、フロントも戒心すべきでしょう。
     後、今回のセスペデスのように、折角、優勝を狙えるチームで主力として働いていたのに、突然、ほぼ優勝の望みのないチームに移籍する結果となった選手も、内心では複雑でしょう。レッドソックスは資金力もあるので来年は再起してくるでしょうが(実際、レスターの復帰を見越しているともいわれる)、今年に関しては気の毒ですね。

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    1. コメントありがとうございます。
      返信が遅くなってしまい申し訳ありません。
      アスレチックスはトレード敢行したものの調子を落とした選手も少なくなく絶好調のエンジェルスに地区優勝を持っていかれてしまいましたね。
      タイガースの方はバーランダーが相変わらずでサンチェスもDL入りという状態ですがなんとかロイヤルズと競り合っています。
      MLBにおけるトレードの活発さ自体は私は気に入っていますが、自分のサポートチームからお気に入りの選手が抜けてしまうとなんとも気が抜けてしまうのも事実です。
      私は現在サンディエゴ在住ですが、もしパドレスからキャッシュナーやロスといった優秀な投手が放出されてしまったらファンがどう思うのかというのは想像に難くありません。
      ただし明確な将来設計があれば非常に有効な手段であることは間違いありません。
      少なくともFAで出て行かせるのではなくトレードで出て行かせるという方法は日本でももう少しメジャーになってもいいのではないかなと思います。

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  2. スカーバラ2014年9月21日 17:29

     8月3日段階では上記のような見通しを立てていたのですが、アスレティックス、タイガースともに調子を落とし、前者はプレーオフ出場すら黄色信号という状況です。タイガースもリリーフ陣の不調が響くなどしてロイヤルズに猛追を受けています(やっぱりリリーフ投手を採るべきだったか)。ただ、タイガースの方はここにきてバーランダーに多少復調の兆しが出ているのがささやかな明るい材料です。

     それにしてもチーム成績は予想通りにはいかないものですね(ナ・リーグの方もブルワーズが大失速してしまった)今のところ、ア・リーグの優勝候補ははエンゼルスとオリオールズが双璧ですが、プレーオフになるとまた予想外のことが起きるかもしれません(タイガースの先発陣は他球団にとってはやっぱり脅威であろう)。

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    1. コメントありがとうございます。
      ア・リーグのワイルドカード争いはかなり面白くなってきていますね。
      注目はもちろん競り合いを続けるタイガースとロイヤルズですが、個人的にはようやく日の目を見てきたマリナーズにもそろそろプレーオフ進出してほしいところです。
      オリオールズとエンジェルスは2強という感じですが、プレーオフに限っては投手力の重要度が非常に高いですからどういう番狂わせが起こるか全く予測できません。
      優勝の決まったチームはこれから主力にけが人をださないことが最優先事項になりそうです。

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