2013年8月2日金曜日

絶好調の黒田にサイ・ヤング賞の芽はあるのか?

素晴らしい成績を残す日本人先発投手たちだが、その中でも今際立って活躍しているのが黒田博樹だ。
親友カーショウとのエース対決で素晴らしい投げ合いを見せた黒田は今最もホットな先発投手になっている。
そんな黒田の武器は抜群の安定感だが、これほどまでの投球を見せてくれるとやはり気になるのはサイ・ヤング賞をとれるのかどうかということ。
彼が今季最高投手の栄誉を受ける可能性を考えてみよう。

まず主要スタッツは以下の通り。

10勝6敗 (リーグ10位)
防御率2.38 (リーグ2位)
139.2回 (リーグ13位)
99奪三振 (リーグ28位)
奪三振率6.38 (リーグ35位)
四球率1.74 (リーグ5位)
K/BB3.67 (リーグ10位)
被本塁打率0.77 (リーグ11位)
被打率.226 (リーグ7位)
WHIP1.03 (リーグ4位)
QS率0.68 (リーグ11位)
FIP3.38 (リーグ12位)
xFIP3.61 (リーグ16位)

各スタッツ素晴らしいが、惜しいのはやはり奪三振に関する項目。
また黒田にとってネックなのは数字上リーグ最高と言える部分がない点だ。
どれをとってもそれを上回る存在がおり、それでも全てにおいてリーグ3本の指に入るレベルならばいいのだが、そうではない部分がやはりいくつかある。

また今季のサイ・ヤング賞最有力候補となっているフェリックス・ヘルナンデスの存在も黒田の受賞可能性を大きく引き下げている。
ヘルナンデスは全てにおいてリーグトップクラスと言える数字を残しており、いつもネックになる勝敗に関しても今季は負けが少なく優秀な数字だ。
はっきり言ってしまえばほぼ全てにおいて黒田を上回っている投手であり(実際ヘルナンデスが黒田を下回っているスタッツはWHIPと被打率くらいしかない)、黒田が今の調子を維持し続けてもヘルナンデスが調子を急落させない限りはこの牙城を崩すことは非常に難しい。
それくらい今季のヘルナンデスは絶対的な存在なのだ。

その対抗馬となれそうな投手がいるとしたらマックス・シャーザー。
開幕から13連勝で話題になったがついに土がついてしまったことでやはりサイ・ヤング賞はヘルナンデスのものかという雰囲気になってきている。
実際最近のサイ・ヤング賞投票は内容重視の傾向にあり、勝敗というのはそこまで気にされるものではなくなってきた。
しかしシャーザーに関してはただ勝ち運がある投手というわけではなく、しっかりと内容も伴っている。
特にセイバー的観点から見ればヘルナンデスと同等かそれ以上の内容と考えることもできるのだ。
そこに15勝1敗(今後もっとよくなる可能性も十分にある)という数字がついてくる以上、彼はヘルナンデスの対抗馬として不足はないはずだ。
1敗しているとは言えこの勝率は決して無視できず、最近の試合でも極めて安定している彼が防御率2点台中盤あたりにまで数字を向上させることができれば、一転彼が最有力になることも有り得る。
ただ彼にとって不運なのは、本来独走になることもありえた奪三振レースにおいてダルビッシュという強力すぎるライバルがいることか。
ダルビッシュに奪三振のタイトルを持っていかれると、最多勝との二冠を達成できなくなり、ヘルナンデスが防御率のタイトルを獲得した場合印象として弱くなってしまう。
シャーザーがサイ・ヤングをとれるかどうかは防御率2点台中盤にもっていけるか、奪三振のタイトル争いに競り勝てるか、という2点にかかってくるだろう。

いずれにしても今回のテーマである黒田のサイ・ヤング賞の可能性は低いと言わざるをえない。
やはり強力すぎるライバルの存在は大きいのだ。

2 件のコメント:

  1. やはり、今年のサイヤング賞はヘルナンデスが筆頭候補ですね。
    個人的にRS/9がワースト1位のクリス・セールも候補に入ってくると思いますが、どう思いますか?
    今日打たれてしまいましたが、投球内容はシャーザーらに劣らないと思います。

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    1. コメントありがとうございます。
      セールはやはり勝敗がネックになります。
      投球内容はおっしゃる通り抜群なんですが、流石に今の6勝11敗では候補に入るのは難しいでしょう。
      今は勝敗は運の要素が強く必ずしも実力を反映していないという認識が一般的になっていますが、それでも流石に負け越している投手はサイ・ヤング賞にふさわしくないと考える識者がほとんどです。
      例えば昨年信じられないほど援護に恵まれなかったクリフ・リーも投球内容は相変わらず素晴らしいものでしたが投票では1ポイントも入りませんでした。
      2位に防御率で1点差をつけでもしない限り、投球内容がよくても負け越している投手がサイ・ヤングの栄冠に輝くことは今後もないでしょう。

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