2014年11月16日日曜日

2014年MVP

マイク・トラウト(エンジェルス)
157試合 打率.287 39二塁打 36本塁打 111打点 出塁率.377 OPS.939 16盗塁

過去2年MVP級の成績を残しながらミゲル・カブレラに阻まれてきたが、3度目の正直でついに最高の栄誉を得ることに成功した。
本塁打、打点こそキャリアハイの数値を残し打点王も獲得した一方、184三振や打率3割を切るなど粗さにも磨きがかかってしまった。
盗塁も長打力の増加で企図数が減り、全てにおいてキャリアハイとはいかなかった。
それでも周りを全く寄せ付けない満票受賞となり、23歳にしてこれで名実ともにMLB最高の選手となったわけだ。
これからも改善すべき点はいくつもあるが、これはおそらく今後何度もMVPを受賞する活躍をみせ殿堂入りするであろうトラウトの最初の一歩となることだろう。



クレイトン・カーショウ(ドジャース)
27試合 21勝3敗 防御率1.77 198.1回 239奪三振 31四球 9被本塁打 WHIP0.86

投手にMVPはふさわしいのか。
この議題は何度も噴出してきたものであり、様々な意見が今でも見られる。
近年ではジャスティン・バーランダーが2011年に投手三冠王を獲得し受賞したが、先発投手がMVPを獲得したのは25年ぶりとなり、歴史的な受賞だった。
しかしナ・リーグの方はもっと根が深く、最後に投手がMVPを受賞したのは1968年のことだ。
しかし今回カーショウがその呪縛を約半世紀ぶりに打ち破った。
もちろん満票ではなく票はある程度ばらけたが、それでも彼の投球は歴史的と称してよいものだと多くの投票者が認めたということだろう。
バーランダーの時とは違い、カーショウは投手三冠を制したわけではなく、タイトルも最多勝しか獲得していないが、それでも多くの識者をうならせたあたりに彼がどれだけ飛び抜けた存在なのかがうかがえる。
史上11人目のMVP、サイ・ヤング賞の同時受賞となったわけだが、まだ26歳の彼は年齢的にはこれから全盛期に入るところ。
またいつか歴史を塗り替えるような大きなことを成し遂げるのか、歴史的投手のこれからのパフォーマンスに大いに期待しよう。


2 件のコメント:

  1.  ドジャースのクレイトン・カーショー投手がナショナル・リーグのMVPに選出されたことは極めて画期的なことです。特にナ・リーグで投手がMVPに選ばれたのは1968年のカーディナルスのボブ・ギブソン投手以来46年ぶりのことであり、ア・リーグよりさらに強固だった「投手はMVPにふさわしくない」という因習を打ち破ったのですから、これはすごいです。成績も21勝3敗、防御率1.77という素晴らしいものであり、カーショーが現在大リーグ最高の投手であることは明らかでしょう(「黄金の左腕」と呼ばれた大投手サンディ・コーファックスと比較されるのも当然である)。
      本来は68年の並ぶものなき無敵のボブ・ギブソンの後にもナ・リーグのMVPに選ばれてしかるべき投手は少なからずいました。少なくとも72年のスティーヴ・カールトン、85年のドワイト・グッデン、95年のグレッグ・マダックスなどはMVPに選出されておくべきだったと私は思っています(その他にもMVPに選ばれても不思議ではない投手は存在した)。しかし、ア・リーグよりもさらに牢固たるものであった「投手はMVPにふさわしくない」という発想のため45年もの間ナ・リーグには投手のMVPは生まれませんでした。2011年のア・リーグMVP、ジャスティ・バーランダーに続く今回のカーショーの受賞によってここ4年で二人の投手のMVPが誕生したわけであり、これが全米野球記者協会の投手差別が解消されつつある証左であってくれればよいと思います。「最優秀選手賞」であって「最優秀野手賞」ではないのですから、ポジションを問わず全選手に公平に機会が与えられるべきです。

     一方、今年のア・リーグのMVPにはエンゼルスのマイク・トラウト選手が選出されました。彼の実力を考えるとMVPに選ばれたことには何ら不思議ではありません。過去二年ミゲル・カブレラに及ばなかったもののMVP級の活躍を見せていただけに来るべき時が来たというべきでしょう。
     ただ、満票というのはいささか不思議な感じがします。確かに素晴らしい成績ですが、衆を圧するほどすごいかというとそこまでは言えません(もちろん守備等もふくめた総合力がずば抜けているのは確かだが)。カブレラに二年連続でMVP受賞を阻まれていたトラウトへの同情という要素もあった感もします。今後さらなる成長とさらなる活躍を見せてほしいですね。
     なお、私個人はアストロズのホゼ・アルトゥーベ選手にもっと票が集まるかなと思っていましたが、今一つ支持が広がらず残念です。首位打者で最多安打で盗塁王だったのですから、もっと評価されてもよかったはずです(アストロズは振るわなかったが、それはアルトゥーベの責任ではない)。上にMVP選考における投手差別の問題を挙げましたが、野手の間でも「打点偏重」という問題があるのではないか。これはこれで困ったことです。確かに野球は点取りゲームですが、スラッガーが多くの打点を挙げられるのはその前に出塁する人がいるからであり、試合における貢献度はけしてスラッガーに劣るものではありません。野手も役割にかかわらず、MVP選考においては平等に扱うべきです。
     それから、ロイヤルズのホランド投手などにもMVPの資格はあったと思います。救援投手は何だかサイ・ヤング賞選考でも、MVP選考でも不利になってしまう感があり(サイ・ヤング賞は基本的に先発投手の賞であり救援投手は不利、MVPでは投手という理由で不利になる)、これも改善してほしいことですね。
     

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    1. コメントありがとうございます。
      しばらく終わりを迎えることのなさそうな”投手のMVP”論争ですが、こうして近年2人の投手が受賞したことは変革が起きつつある証拠と見ていいでしょう。
      個人的にはリリーフ投手に対する価値観は私はMLBに近いものを持っていますが、先発投手に関してはMVP投票において野手と公平な立場であるべきだと思っています。
      確かに野手はほとんどの試合に出場することになりますが、先発投手は試合の勝敗に最も大きく関わっているのは間違いないわけですから。

      トラウトの満票受賞には私もスカーバラさんと同じ疑問を持っています。
      個人的にトラウトのファンですし、彼が受賞したことは非常に嬉しいのですがやはり満票というのは少しひっかかります。
      また相変わらずチーム成績が大きく加味される傾向にあるのも個人的には気になるところです。
      最も優秀な選手だからといって1人でチームの勝敗を大きくひっくり返すには無理がありますし、野球はそこまで個人の比重が大きすぎるスポーツでもありません。
      今後そのあたりももっと公正な評価が行われるようになるといいのですが、状況は徐々によくなっていると思います。

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