2013年5月20日月曜日

ダルビッシュの球数論争

先日の登板でダルビッシュが130球を投げたことが一つの論争に発展している。
このことに関して、球数制限というものに関して色々考えていきたい。
MLBと言えば、日本のファンにとっては過保護なまでに球数を制限するというイメージが強いだろう。
MLBでは投手の肩は消耗品と考えられ先発投手は100球を目処に交代し、日本では投げ込みが率先して行われているという文化の違いは有名だ。

今回のダルビッシュの件が話題になっているようにMLBはことさらに球数というものに敏感だが、そもそもこの100球制限というものはどこまで厳密に守られているものなのか。
おそらく普段MLBを見ていないであろう日本の野球ファンたちの意見だけを聞いていると、記録でもかかっていない限り100球をこえれば容赦なく交代させられるように思えるが、実際はそうではない。
例えば今季のMLBにおいて完投は述べ26回達成されており、中には既に3完投を記録している投手もいる。
もちろんその中には100球以内に収めての完投もあれば、120球を超える完投もあった。
MLBでは完投は価値を持っていないかのように語る日本のファンは多いが、完投できるというツールは確かに高く評価されるし、それを望む投手も大勢いる。
結局のところは個人差だったり、チームの方針だったりによって左右されるため、毎回100球以内で降板する投手もいれば何回かに一回は120球近く投げてしまう投手もいる。
頑なに100球というわけではなく、そこらへんは投手の特徴に合わせて柔軟に対応しているものだ。
では100球制限は必要なのかというと、こういう目安は間違いなく必要だろうと私は思う。
日本時代は130球なんて珍しくなかったんだから問題ない、と言うファンの意見はよく聞かれるものだが、そこには中4日と中6日というシステムの違いは考慮されていない。
先発投手が順調にローテーションを守ればMLBの場合は年間34試合前後、NPBでは個人差はあるものの28試合前後に登板可能だ。
MLBで毎試合100球で終えるとすると年間投球数は3400球になり、これはNPBにおける1試合120球に相当する計算になる。
もちろん人間の身体はそう単純ではないが、年間の球数という長期的な観点でみると100球という数字はそれなりに妥当なものだと考えられるだろう。
そのため、今のダルビッシュの問題は先日130球を投げたということよりもむしろ、ここ3試合の球数が127→105→130と推移していることにある。
本来であれば120球を超えるような投球をした次の登板は球数を水準よりも減らして調整すべきであり、それをせずにさらにその次の登板で130球というのは批判されても仕方ない面がある。
結果論にはなるが、5月に入って急激に被本塁打のペースが上がっているのもこのこととは無関係とは言い難いだろう。
ここから夏場に入るとさらに疲れがたまってくるのは間違いなく、このあたりで一度ダルビッシュにはオーバーホールが必要になるかもしれない。

0 件のコメント:

コメントを投稿