2013年12月21日土曜日

楽天イーグルスがケビン・ユーキリスを獲得

楽天イーグルスがメジャーリーガーのケビン・ユーキリスを獲得することが発表された。
契約内容は4Mドルに出来高が1Mと日本の基準ではかなり高額なものになっている。
この条件が高いか安いかは別にしてユーキリスがどういう選手なのかを見ていこう。
彼はMLBファンならば当然知っているはずの知名度が高い選手だ。
数年間にわたりレッドソックスの主力打者であり続け、映画にもなった『マネー・ボール』でもその存在は言及された。

彼の特徴はなんといってもその選球眼。
選球眼の重要性は言うまでもない。
優秀な打者でも3割強しかヒットを打つことができない中で、残りの7割のうちいくつアウトを減らせるかというのはこの選球眼にかかっているのだ。
打率3割でも選球眼がなく早打ちで出塁率が3割3分しかない打者ならば6割7分は凡退してしまうことになるが、打率2割5分でも出塁率が3割7分ある選球眼のいい選手ならば凡退は6割3分ですむ。
どれだけ凡退しないかという重要なツールが選球眼なのだ。
低打率でも出塁能力の高さとパワーで多大な貢献をしているという点では、今年の楽天ではこちらも元メジャーの大物であるアンドルー・ジョーンズの名前が挙がる。
AJは今季の打率.243 26本塁打 164三振と当たれば飛ぶだけの大砲に見えるが、四球を非常に多く選ぶために出塁率.391と高水準で他のほとんどの打者より凡退していないということになる。

そしてメジャーでの実績のあり方は違えど同じく出塁能力の高さに定評があるのがユーキリスである。
ただし彼は選球眼という一つのツールだけに絞ればAJよりも上で、MLB全体で見ても5本指に入るというレベルだった。
全盛期の彼は打率3割 40二塁打 20本塁打 出塁率4割という好打者で、MLB通算で打率.281 出塁率.382 OPS.861を記録している。
明らかに衰えてしまった今でもその選球眼だけはまだまだ一流の域にある。
近年メジャーではやっていけなくなり日本にやってきた実績ある野手たち(AJ、ロペス、マギーなど)の活躍ぶりを見るに、ユーキリスも日本ではある程度の復活は見込めるのではないかと思う。
問題なのは怪我の多さと、今季悩まされた腰の状態だ。
もし万全ならば来季は打率2割8分 20本塁打 出塁率4割 OPS8割5分前後は期待していいのではないかと思うが、怪我の状態次第では全く活躍できずに終わる可能性もある。
非常にリスキーな賭けではあるが近年の楽天の大物獲得傾向は日本人ファンにとってはなかなか面白いものであることは間違いない。




2 件のコメント:

  1.  イーグルスは大金を投じてユーキリスを獲得し、昨年のジョーンズ、マギーに匹敵する補強で勝負に出たみたいですが、マギーが退団して(マーリンズに移籍)、このままでは攻撃力が低下するのは不可避だっただけに、妥当な判断だと思います(田中を失うことが確定した以上なおさら)。ユーキリスは確か「四球のギリシャ神」と呼ばれていたと記憶していますが、その二つ名の通りの選球眼のよさを発揮すれば大きな力になるでしょう。

     出塁率という評価項目は昔からあったと思いますが、従来は打率に比べてさほど重視されてはいませんでした(特に日本では)。これはたぶん四死球などというものは「投手のミス」にすぎず、打者の功績とすべきではないという考えが強かったためではないかと思います。しかし、考えてみれば、四球で出塁するのも、単打で出塁するのも「一塁に出ること」には変わりがありません。ボールを見極めて出塁するのも立派な打者の力です。そうなると出塁率という項目が積極的に評価されるようになったことはいいことです。もちろん、打率は重要ですが、そればかりでは一見打率の低い選手の真価を見誤るおそれがあるでしょう。
     今年のプロ野球においてはアンドリュー・ジョーンズが打率はほどほどでしたが、出塁率でみるとすごかった。差が大きかったため、多くの人が出塁率という項目に注目しました。隠れた功績ですね。

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    1. コメントありがとうございます。
      ユーキリスは実は近年衰えが顕著で2011年までは毎年大体13%前後を記録していた四球率が2013年は6.8%にまで低下しました。
      三振率も跳ねあがっており、もはや以前のよう”四球のギリシャ神”ではなくなっています。
      それでもあまり速いボールを投げる投手がいない日本でなら落ち着いてボールを見られるでしょうし、腰の状態さえ悪くなければジョーンズ並に四球を選んでもおかしくはないでしょう。

      出塁率の重要性を日本に浸透しつつあるのは映画にもなった『マネー・ボール』と、個人的には鳥谷の功績が大きいのではないかと思います。
      従来四球というのはおっしゃる通り投手のミスであるという考え方が大きかったため、ストライクゾーンに投げると一発の危険性が高くなる強打者は四球が必然的に増えると思われていました。
      これは実際のところその通りで、やはり四球が多くなりやすいのは強打者です。
      しかしそんな概念を日本で覆しつつあるのが鳥谷で、彼はこの3年間特別にパワーがあるわけでも首位打者争いするコンタクト能力を持ち合わせているわけでもありませんでしたが毎年四球を選びまくり2013年はついに100四球 出塁率4割に到達しています。
      投手にとってそれほど恐れるようなタイプではないのに四球を他の選手に比べて多く選ぶことができるというのは、四球を選ぶことも打者の能力のうちの一つなのだと再認識させる要因になっているのではないでしょうか。

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