2013年12月6日金曜日

青木宣親がトレード 新天地はロイヤルズに

活発になってきているトレードが今日もまたMLBで行われた。
ロイヤルズーブルワーズ間で交わされたトレードの対象となったのは日本人メジャーリーガー青木宣親だ。
青木に関しては以前からトレードの噂が飛び交っていた。
所属しているブルワーズがまたもや低迷し始めたことや、ブルワーズの外野がそれなりに充実していたためだ。
ブルワーズの陣容としてはレフトがライアン・ブラウン、センターがカルロス・ゴメス、ライトが青木というものだったが、期待されていた有望株のクリス・デイビスやカレブ・キンドルが2013年に昇格しそれぞれ一年目としては上々の成績を残していたため(特にデイビスは136打数11本塁打とかなりのパワーを発揮)、ブルワーズとしては30歳を越えている青木がトレード候補になるのも仕方ないことだった。
またライトにおける守備力は高いものがあるが、打撃優先ポジションとしては長打力に乏しく打力自体はMLBの平均的な外野手レベルに収まっていた点も踏まえて、やはり青木がこの先もブルワーズでやっていくのは厳しかっただろう。
そのため彼を欲しがるチームも少なくはなく、様々なチームが獲得候補としているという噂も出ていた。
特にタイガースなど外野事情が芳しくなく、守備力とスピードが欲しいチームなどはぴったりだったかもしれない(有望株のニック・カステラノス次第ではあったが)。

しかし今回青木がトレードされたのはロイヤルズ。
今絶賛成長中のチームだ。
交換要員となったのは左投手のウィル・スミス(24)で、有名なハリウッド俳優と同じ名前を持つ彼は2012年にメジャーデビューしローテーションに定着するも防御率5.32と内容が良くなく、2013年はマイナーも経てリリーフとして再びメジャーのマウンドを踏んだ。
リリーフになってからは投球内容が劇的に改善され、被本塁打の多さだけがネックだが中々の好投手として期待はされていた。
とにかく投手が苦しいロイヤルズとしては左ということもあって、そういった部分に期待して獲得に踏み切ったのだろう。

青木は来季からロイヤルズでプレーすることになるわけだが、実際のところロイヤルズも外野事情は苦しく、完全に固定されているのレフトのアレックス・ゴードンだけで後は数人でやり繰りするという状況だった。
青木の加入によりおそらくライトは彼で固定されるはずで、センターをロレンゾ・ケイン、デビッド・ラフ、ジャスティン・マクスウェルなどの若手で競争することになるだろう。
あるいは青木がセンターを守る可能性もなくはない。

ここでロイヤルズがどういった特徴を持つチームなのか少し見てみよう。
ロイヤルズはここ30年近くポストシーズン進出がないいわゆる弱小球団だ。
しかし近年負け続けた時代にドラフトで好選手を次々と獲得し、有力選手もトレードなどで放出することで若手有望株の数はMLB屈指のものとなっていたため、ここ数年はいずれ黄金時代が来るチームだと言われていた。
そしてようやく花開いたがのが今季で、有望株ウィル・マイヤーズを放出し獲得したジェームズ・シールズを筆頭に強力な投手陣を作り上げ10年ぶり勝率5割越えを記録するなど来季はプレーオフ進出の可能性も低くはない。
2013年ロイヤルズの特徴は強力な投手陣と守備力の高さ(3選手がGG賞を受賞)だったが、逆マネーボールとも言える出塁率と長打力の低さがプレーオフ進出を逃した要因にもなった。
そのため今オフは元ロイヤルズのカルロス・ベルトラン獲得の有力候補だと言われていたのだが、外野を埋めるために青木を獲得したのは少々意外だった。
青木の獲得でロイヤルズは自慢の守備とスピードをさらに強化した上で弱点の出塁率の低さを少々改善することに成功した。
少なくともこれで出塁率の低いリードオフマンに悩むことはなくなるだろう。
しかしもう一つの課題、長打力についてはまだまだ改善されたとは言い難い。
今季20本塁打を放ったのはゴードンのみで、来季20本塁打以上が期待できそうな打者はゴードン、ビリー・バトラー、エリック・ホズマーくらいしかおらず、後は将来は40本塁打を打つと期待されていたマイク・ムースタカスのブレイクを待つばかりだ。
そのためロイヤルズの補強はまだこれでは終わらないはずで、妥当タイガース、プレーオフ進出を目指しさらなら補強を展開してくるはずだ。
また青木は若い選手が多いこのチームの中ではベテランといってもいい年齢のため、その経験が必要とされる場面も出てくるだろう。
青木には今季MLB初のプレーオフと3割を同時に達成し、是非ともロイヤルズをプレーオフに導いた立役者の一人になってもらいたいものである。

2 件のコメント:

  1. スカーバラ2013年12月8日 20:42

     カンザスシティ・ロイヤルズ。かつてジョージ・ブレット、ダン・クイゼンベリー等のスーパースターを擁し、1970年代半ばから80年代半ばにかけて強勢を振るい、80年にア・リーグ優勝、85年に世界一を達成した強豪でした。でも90年代以降は力が衰え、近年は低迷し、いい選手が出てきてチームが上向くかなと思ったら、すぐに金持ちチームに奪われてしまう。そんな感じでした。
     しかし、今年はようやく覚醒し、久方ぶりのポストシーズン進出も夢ではなくなってきており、うれしい限りです。プロスポーツで何が一番いけないかというと、上位チームと下位チームが固定化し、優勝チームやポストシーズン進出チームの顔ぶれがいつも同じようなものになってしまうことです。全てのチームに実質的な優勝への機会がないとリーグ全体が衰退してしまう。その点から見るとロイヤルズの復活は巨視的に見てもよいことです。

     なお、個人的な願望としては日本から大リーグを目指す選手には、できればヤンキースやレッドソックスのような有名球団ではなく、あまり光の当たらない優勝から遠ざかっているチームに入ってそこを強くすることに貢献してほしいと思っています。その意味では青木がロイヤルズに入団したことはよいことですね。
     いきなり世界一とはいかないと思いますが、ロイヤルズにはタイガースやインディアンスを相手に頑張ってア・リーグ中地区のペナントレースを盛り上げてほしいです。それから、できればブレット級のスーパースターが生まれてくれるとうれしいです。

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    1. コメントありがとうございます。
      プロスポーツチームの戦力均衡の重要性はNFLが証明していますから、やはりどこが勝つのか毎年分からないというのが理想的な状態なんでしょうね。
      そういう意味でロイヤルズやパイレーツなど低迷していたチームが逆襲を図る構図はやはりファンにとっては面白いものです。

      おっしゃる気持ちは私もよくわかります。
      最近は日本人メジャーリーガー移籍の際に名前の挙がるチームがある程度固定化されてしまっているので、そろそろあまりスポットライトの当たらないチームでの活躍も見てみたいものです。
      来季はア・リーグ中地区も本格的に面白くなりそうで楽しみですね。
      ブレット級のスターが生まれればロイヤルズも一気に伸びてくるでしょうけど、とりあえずはホズマーやムースタカスあたりにまだ期待しておきましょうか。
      ホランドは既にリーグ屈指のクローザーへと成長しましたし、ペレスも攻守ともにリーグ最高クラスの捕手へと成長する可能性が高いですから、やはり若い選手が多いチームというのは面白くていいですね。

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