2014年5月16日金曜日

サイ・ヤング賞最有力! ジョニー・クエトの圧倒的パフォーマンス

まだ5月も半ば、前半戦も終わっていないこの時期にサイ・ヤング賞の行方について論ずるのはまだ早いかもしれない。
それでも昨季連勝を続けたマックス・シャーザーのように、この時期からブレイクの雰囲気を漂わせている投手は出てくるものだ。
そして今季その投手に該当するのがレッズのエースであるジョニー・クエトなのだ。

クエトは何もマイナーから昇格したばかりのニュービーという訳ではない。
それどころか2012年には19勝 防御率2.78 217回というかなりの好成績を残したこともある実績のある投手だ。
レッズという投手にとっては不利な環境でこれだけの成績を残したことからもわかるように、実際彼はオールスター級の実力を持っているのだが、度重なる故障により本格ブレイクが妨げられてきた。
しかしこのドミニカ人投手は、28歳にして大ブレイクを遂げようとしている。
もはや故障と無援護以外サイ・ヤング賞を妨げるもののない彼の今季のパフォーマンスを少し見てみよう。

まず以下が今季の詳細な成績だ。*データはFanGraphsより

9試合 4勝2敗 防御率1.25 72.0回 76奪三振 18四球 7被本塁打 WHIP0.71
被打率.135 3完投(2完封) K/BB4.22 FIP3.00 xFIP2.72 tERA2.75 WAR1.4

そしてこちらが投球内容。

4シーム(92.8mph) 29.7% 
2シーム(93.2mph) 22.9%
カッター(88.8mph) 19.0%
チェンジアップ(84.1mph) 15.8%
スライダー(83.7mph) 11.9%
カーブ(76.1mph) 0.5%

投球内容において例年と大きく変わった点はないが、スライダーの割合が落ち、代わりに昨季から本格的に使い始めたカッターを多投するようになったのが変わったと言えば変わったところ。
しかしこのカッターのパフォーマンスはあまり良くなく、今季打たれた本塁打のうち5本はカッターによるものだ。
その分抜群のハイパフォーマンスを誇っているのが4シーム、2シーム、チェンジアップの3球種で、特に4シームの質は他の投手と比べてもずば抜けている。
その被打率は驚愕の.082で、先発投手ということを考えるとこれは異常な数値であることは間違いない。
これは昨季から続く傾向で、昨季も4シームの被打率は.128とハイクオリティだった。

ここまで1試合平均8回というペースで投げ続け、打たれることもないクエトだがこの好成績が.160という異常に低いBABIPに支えられているという側面は無視できない。
シーズンを通してこのBABIPを維持するのは非常に難しく、最終的には今より成績が悪化するのは間違いないだろう。
特に彼のようなグラウンドボールピッチャーはBABIPに左右されやすい傾向にあるからだ。
しかし昨季からのクエトは奪三振率の大幅な向上を実現させてもいる。
制球力のいいグラウンドボールピッチャーという特徴を維持したまま三振まで奪えるようになったということだ。
これは前述したように速球の質が向上したことが関係しているのだろう。
打者に有利なレッズの本拠地(実際今季のクエトも被本塁打のうち5本を本拠地で浴びている)には、クエトのような投球スタイルはうってつけではあるが、そんな本拠地を持ってなおこれだけ優れた成績を叩き出せるのだから今の彼の実力と運がうかがえる。
この調子がどこまで続くかはわからないが、今のところ彼がサイ・ヤング賞の最有力候補だと言って間違いないだろう。












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