2013年7月15日月曜日

覚醒したパワーヒッター、クリス・デイビス

クリス・デイビスの存在は今季のMLBにおいて最も話題になっていることの一つだ。
現時点での成績は以下の通り。
95試合(リーグ6位)
打率.315(リーグ7位)
37本塁打(リーグ1位)
93打点(リーグ2位)
70得点(リーグ2位)
27二塁打 (リーグ4位)
出塁率.392(リーグ6位)
長打率.717(リーグ1位)
OPS1.109(リーグ2位)
fWAR5.1(リーグ3位)
rWAR4.5(リーグ6位)

打撃面においてあらゆる点でリーグトップクラスであり、本塁打に関してはずば抜けての1位。
このペースを維持し続ければ最終的には60本も夢ではない。
近年最も本塁打を打てる選手と言えばホゼ・バティスタであり、彼は過去5年で唯一50本越えを達成した打者だったが、その立ち位置はもはやデイビスのものへとなりつつある。

デイビスは決して弱点のない打者ではない。
ハイレベルなタイトル争いを繰り広げているミゲル・カブレラは現役最強の打者であり、弱点と言えるものはもはやないと言える完璧に限りなく近い打者だがデイビスはまだその域には達していない。
彼は三振が多く選球眼も特筆すべきレベルには達していない。
コンタクト能力に関してはMLB平均レベルですらないし、対右OPS1.239 対左OPS.857というデータは彼が左投手を苦手とする典型的な左の強打者であることを示している。
打者としてはカブレラほどの練度は有していないのだが、デイビスはそれとほぼ同様の怖さを演出することのできる現役唯一の打者になりつつあるのだ。

突然ブレイクしたかのようにみられるデイビスだが、彼はいつこうなってもおかしくないポテンシャルを秘めた選手だった。
ドラフト5巡目とそれほど高くない評価でプロ入りすると1年目に69試合で15本塁打、2年目には129試合で36本塁打と順調にパワーヒッターとして成長していった。
3年目の2008年にはさらに成長しAAAまで駆け上がり、22歳でメジャーデビューすると80試合で17本塁打 OPS.880という数字を残すなど将来を期待された。
しかしそこからは少しづつ伸び悩むようになり、メジャーにはなかなか定着できずにいた。
マイナーでは圧倒的な活躍をみせるが、メジャーでは活躍できない典型的な選手になってしまったのだ。
しかも強豪になったレンジャーズのチーム事情のため、不調のデイビスをメジャーで使ってのんびり経験をつませるということもできなかった。
そして2011年にはついにレンジャーズも見切りをつけてオリオールズへとトレード。
しかしこれが転機になって彼は変わる。
ホゼ・バティスタはブルージェイズで安定して起用されるようになったことがブレイクのきっかけだと語ったことがあったが、デイビスもそうだった。
定着した2012年には139試合で33本塁打してオリオールズ躍進の立役者の一人になったのだ。
もちろん彼のここまでのブレイクを予測した者はいなかっただろうが、彼はいつ本塁打王争いの主役になってもおかしくない選手だった。
最近は打率が落ち始め、ここまでがすべてにおいてできすぎだったことを考えればオールスター以降成績を落とすことになるだろう。
しかし本塁打に関しては相変わらず打ち続けるはずだ。
ファンは50本塁打はもちろん、60本塁打も期待していいだろう。
とりあえずはホームランダービーでのパフォーマンスに期待といったところだろう。

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