2013年7月28日日曜日

高齢ヤンキースに宿る微かな希望

今季のヤンキースはある意味で驚異的だ。
例年チームを引っ張ってきたジーター、テシェイラ、グランダーソン、ついでにA・ロッドを欠き、正捕手不在というボロボロの状態で未だに勝率5割をキープしているのだ。
ア・リーグ東地区のレベルが高いこともあって順位的には見栄えがよくないが、この悲惨な戦力から考えればかなり健闘していると言っていいだろう。
例年なら常にリーグ上位に来る打撃スタッツはすべて下位をさまよい、自慢の強力打線は跡形もない。
そんなヤンキースを支えているのは投手陣。
野手は高齢化のあまり夢も希望もなくソリアーノまで呼び戻してしまう状態だが、投手の方には今季だけでなく来季以降のヤンキースを考えた場合には希望と言える選手が幾人かいる。

まずは黒田博樹。
この偉大な日本人投手は、今年が38歳ということもあって成績悪化が懸念されていた。
しかし蓋を開けてみるとサバシアも不調の先発ローテーションにおいてヤンキースファン唯一のオアシスとして素晴らしい活躍を見せているのだ。
その投球術は年をとるごとに円熟味をまし、洗練されていっているようにも思える。
彼の投球スタイル自体もヤンキースタジアム向きで、ニューヨークのプレッシャーにも押しつぶされない精神力には脱帽だ。
今季終了後もヤンキースは黒田にオファーを出すことになるだろうし、ファンもそれを望んでいるはずだ。
彼の投球スタイルを考えればあと2,3年程は第一線で活躍できる可能性もあり、ヤンキースが常勝チームへと戻る上で必要不可欠な選手になりつつある。

お次はイバン・ノバ。
サバシアすらも没落傾向にあり、もはやヤンキースの先発ローテーションにおいてまともな投手は黒田しかいないと嘆く声もあるが、実は26歳のノバがブレイクしつつあるのだ。
2011年に16勝 防御率3.70という成績を残しながらも、投球内容に対する評価は高くなく、その予想通り翌2012年には防御率5.02と大きくスタッツを落とした。
しかしそれは被本塁打が大幅に増えたことによるもので、制球力が変わらず三振が増えたことでK/BBは劇的に改善されていた。
そこで彼は被本塁打を減らすことをこころがけたのか今季2シームの割合を大幅に増加させた。
4シーム、2シーム、カーブという3球種を軸に投球を組み立てることにしたのだ。
その試みは成功し、今のところ被本塁打を減らし、高い奪三振力も維持することに成功している。
いわばヤンキースタジアム向きの投球スタイルが完成したとも言ってよく、ヤンキースは思わぬ形で若い好投手を手にいれたことになる。
来季以降サバシアと黒田を左右のエース、ノバを3番手として使えるのならばかなり強力な三本柱になるはずだ。

さらにマイケル・ピネダ。
彼は名を上げた2011年以来メジャーのマウンドで投げていない。
トレードされて早々に怪我で長期離脱したからだ。
とはいえポテンシャルの高さは誰もが認めるところ。
そんな彼が今季マイナーで順調に階段を上りつつある。
以前と同じクオリティの投球を披露できるかどうかはわからないが、近いうちにまたメジャーで投げる日が来るはずだ。
怪我で1年を棒にふっても彼はまだ24歳であり、ポテンシャル的に今後のヤンキースのエースになるとすればピネダがふさわしいはずだ。
とにかく今季の第一目標はメジャーで投げること、そして来季以降はローテーションを守ること。
もしかすると今季終盤の救世主になるかもしれないが、彼の長期の活躍に期待しておこう。

最後にデビッド・ロバートソン。
彼は2011年のブレイク以降ヤンキースリリーフの重要な歯車として活躍してきた。
少なくとも今のヤンキースではリベラに次いで優秀なリリーバーだ。
しかしそのリベラも今季での引退を表明しており、ヤンキースはその後釜を探さなくてはならない。
クローザー経験者を補強するという手ももちろんあるが、総年俸を削減したいチームが一番期待しているのは28歳のロバートソンがそのままクローザーに収まることだろう。
リベラの後釜というのは並大抵の投手には務まらないし、MLB史上最高のリリーバーだった前任者と常に比較されること(しかもニューヨーク)でそのプレッシャーは計り知れないものがあるだろうが、能力的にはクローザー向きでここ数年重要な場面で投げてきたロバートソンならやれるだろう。




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