彼らはいずれも殿堂入り資格1年目だった。
投票内訳は以下の通り。
The 2013 ballot featured 36 candidates, with 17 returnees and 19 newcomers.
Player (Years on ballot) | Total Votes | Percentage |
グレッグ・マダックス (1) | 555 | 97.2 |
トム・グラビン (1) | 525 | 91.9 |
フランク・トーマス (1) | 478 | 83.7 |
クレイグ・ビジオ (2) | 427 | 74.8 |
マイク・ピアッザ (2) | 355 | 62.2 |
ジャック・モリス (15) | 351 | 61.5 |
ジェフ・バグウェル (4) | 310 | 54.3 |
ティム・レインズ (7) | 263 | 46.1 |
ロジャー・クレメンス (2) | 202 | 35.4 |
バリー・ボンズ (2) | 198 | 34.7 |
リー・スミス (12) | 171 | 29.9 |
カート・シリング (2) | 167 | 29.2 |
エドガー・マルチネス (5) | 144 | 25.2 |
アラン・トラメル (13) | 119 | 20.8 |
マイク・ムシーナ (1) | 116 | 20.3 |
ジェフ・ケント (1) | 87 | 15.2 |
フレッド・マグリフ (8) | 67 | 11.7 |
マーク・マグワイア (8) | 63 | 11.0 |
ラリー・ウォーカー (4) | 58 | 10.2 |
ドン・マッティングリー (14) | 47 | 8.2 |
サミー・ソーサ (2) | 41 | 7.2 |
ラファエル・パルメイロ (4) | 25 | 4.4 |
モーゼス・アルー (1) | 6 | 1.1 |
野茂英雄 (1) | 6 | 1.1 |
ルイス・ゴンザレス (1) | 5 | 0.9 |
エリック・ガニエ (1) | 2 | 0.4 |
J.T・ショウ (1) | 2 | 0.4 |
アーマンド・ベニテス (1) | 1 | 0.2 |
ジャック・ジョーンズ (1) | 1 | 0.2 |
ケニー・ロジャース (1) | 1 | 0.2 |
ショーン・ケイシー (1) | 0 | 0.0 |
レイ・デューハム (1) | 0 | 0.0 |
トッド・ジョーンズ (1) | 0 | 0.0 |
ポール・ロ・デューカ (1) | 0 | 0.0 |
リッチー・セクソン (1) | 0 | 0.0 |
マイク・ティムリン (1) | 0 | 0.0 |
見事殿堂入りを果たした3選手について詳細を見ていこう。
グレッグ・マダックスは通算355勝227敗 防御率3.16 5008.1回 3371奪三振 999四球 WHIP1.143という偉大な成績を持つ言わずと知れたレジェンドプレイヤーだ。
4度のサイ・ヤング賞(4年連続)、18度のゴールドグラブ賞(13年連続)、3度の最多勝(2年連続)、4度の最優秀防御率(3年連続)などタイトル獲得経験も豊富で史上最高の投手を論ずる際にも名前が挙がる程だ。
史上最高の投手かどうかはともかく、MLB史上最高の技巧派投手であったことは間違いない。
絶対的なコマンドとコントロールを持ち合わせ、三振を奪うことではなくアウトを奪うことに全身全霊を賭けるスタイルで23年と長期にわたって活躍することに成功した。
23年のうち200イニング超えを記録したのは18年で、ほとんど大きな怪我をすることなく長いイニングを投げ続けたのも特徴的だ。
分業制が確立された中で、少ない球数で長いイニングを投げるという理想を体現した投手でもある。
彼が殿堂入りしたのは当然で、得票率はトム・シーバーの持つ98.8%の記録を更新するかどうかも注目されていたが97.2%とシーバー超えはならなかった。
それでも過去に97%以上を記録したのはタイ・カッブ、ハンク・アーロン、トム・シーバー、ノーラン・ライアン、ジョージ・ブレット、カル・リプケン、トニー・グウィンと錚々たる面々が揃うだけにやはりマダックスもMLB史上最高の選手の一人なのだと実感させられる。
マダックスと同時期にブレーブスで活躍したトム・グラビンは通算305勝203敗 防御率3.54 4413.1回 2607奪三振 1500四球 WHIP1.314とこちらも殿堂入りが当然の300勝投手だ。
サイ・ヤング賞を2度、最多勝を5度獲得しておりとにかく勝てる投手だった。
また4度のシルバースラッガー賞も獲得しており打力もあったのだ。
マダックス程ではなかったがやはり300勝を記録しているだけあって得票率91.9%と90の大台を超えてきた。
これで監督のボビー・コックスを含めて今回の殿堂ではブレーブスから3人が殿堂入りを果たしたことになる。
まさにブレーブスの黄金期を象徴する事例だと言っていいだろう。
3人目のフランク・トーマスは通算打率.301 2468安打 521本塁打 1704打点 出塁率.419 OPS.974のホワイトソックスの歴史に残る強打者だ。
意外にも打撃三冠のタイトル獲得経験はないのだがMVPは2度受賞している。
ステロイドエラと呼ばれるこの時代に活躍した選手、特にボンズに代表される強打者たちは総じて薬物疑惑の目を向けられあくまで疑惑にとどまった選手でも正当な評価を受けられない傾向にあるが、トーマスはクリーンな選手の代表格であり、そのため今回も83.7%という得票率で殿堂入りを果たすことができた。
やはりこういうクリーンな選手は相応に評価されてしかるべきだろう。
今回はこの3選手が殿堂入りを果たしたわけだが、3000本安打達成者のクレイグ・ビジオは74.8とギリギリのところでまたしても落選してしまった。
個人的には彼には薬物疑惑はないし3000本安打に250本塁打&400盗塁も達成しており、フランチャイズプレイヤーとしての側面などを考えても3年目まで残るような選手ではないと思うのだが、とにかく来年に期待ということか。
ギリギリのラインまでは来ただけに流石に来年は殿堂入りしてくれるはずだ。
また今回が15回目だったジャック・モリスは結局75%の殿堂入りラインに最後まで届かずに資格を喪失してしまった。
今後はベテランズ委員会による殿堂入りの可能性に期待することになるだろう。
今回も成績だけは最高級の薬物組には厳しい評価で、ソーサは得票率が一桁になりパルメイロに至っては4.4%で殿堂入り資格を喪失してしまった。
順調に得票率を落としているマグワイア、ソーサあたりは来年あたり資格喪失の危機が待っているだろう。
昨年とあまり変わらないボンズ、クレメンスは薬物組の中でもとびぬけた成績を残しているだけあってしばらくはのらりくらりと一定数の票は得そうだ。
資格1年目となった選手は19人いたが、そのうち14人が1年目での資格喪失。
殿堂入りを果たしたマダックスらを除けば来年まだ残ったのはマイク・ムシーナとジェフ・ケントの二人だけだ。
資格喪失した中には日本人初の有資格者となった野茂英雄も含まれており、1.1%とある意味予想通りの結果になってしまった。
実際成績自体は劣っているだけにパイオニアとしての側面を評価されてベテランズ委員会により殿堂入りする可能性に賭けることになる。
さて、1人も選手が殿堂入りしなかった2013年から一転今回は3人の殿堂入り選手を出すことになった。
来年もランディ・ジョンソン、ペドロ・マルチネス、ジョン・スモルツ、ゲイリー・シェフィールド、ノマー・ガルシアパーラ、カルロス・デルガド、ブライアン・ジャイルズなどの大物選手が初登場する。
特にランディ・ジョンソンは一発殿堂が確実視されており、注目されるのはやはりシーバー超えを果たすのかどうかである。
個人的にはビジオの殿堂入りとジョンソンのシーバー超えに期待したい。
グレッグ・マダックスは私が大リーグを見始めたころ多くの人が「大リーグ一の投手」として紹介していた選手であり、その素晴らしい投球術に感嘆していました。ストライクとボールぎりぎりのところにテンポよく投げ込んで、いい時は80球~90球台で完投してしまう。まさに「精密機械」と呼ばれる所以です。剛速球なしでも大投手になれるという良い見本でしょう。
返信削除トム・グラビンも忘れがたい。マダックス、ジョン・スモルツとともにブレーブス黄金時代を支え続けました。彼も速球よりコントロールを重視した打たせて取る投球で全盛期には安定感抜群の先発投手であり、彼もまた大投手というにふさわしい選手でした。
以前「史上最高の投手陣」というお題をある番組でやったとき、マダックス、グラビン、スモルツを擁するブレーブス投手陣を推す意見が多数を占めたのを覚えています。確かに単年ではなく10年くらいのスパンで見れば私も90年代のブレーブス投手陣が最有力候補だと思います。これほど豪華な投手陣はそうそう見られません。
誰が見たって無敵の大投手陣を擁していたブレーブスは「90年代最高のチーム」と言われていました。ところが、短期決戦のプレーオフとは奇妙なまでに相性が悪く、世界一は一回だけだったのは不思議です(96年のワールドシリーズでヤンキースに思わぬ不覚を取ったのが痛かったですね。みんな「ブレーブスが圧勝する」と思っていたのですが。油断してしまったか?)。そのためこのことを理由にブレーブスやマダックスたちを「二流」扱いする向きもないとは言えません。でも、このような「極端最終結果主義」は不公正。本当の実力は長期ペナントレースで決すべきものです。そうであればやはりブレーブスが一番だと思います。
フランク・トーマスも偉大な選手でした。ホワイトソックスで2度のMVP。意外にも打撃タイトルとはあまり縁がなかったですが(1997年の首位打者くらい)、これまた90年代を代表するスラッガーであり、当時相手投手から最も恐れられた打者でした。球場外でもボランティア活動などに尽力し多くの敬意を受けていただけに殿堂入りも当然でしょう。
今回殿堂入りした三氏に関してはほぼ異論のないところでしょう。
もっとも、殿堂の選考基準自体には改善の余地があるとも思っています。得票率75%というのは本当に適切な基準なのか(高すぎるという気もないではない)。また、今回の野茂等にように一定以下の得票率の選手からいきなり資格を奪ってしまうのも少し酷に過ぎるきらいがあります(3年くらいは猶予を与えてもよいのではないか)。
まあ、ベテランズ委員会がもっと柔軟に機能すれば弊害はかなり緩和されると考えます。ジャック・モリスなど何とか殿堂入りしてもいいのではないかと思います。野茂にも機会があるのではないでしょうか(野茂は日本の殿堂入りは果たした。なお、日本の殿堂はバースやブーマー、レロン・リーといった外国人選手を積極的に殿堂入りさせるべきであろう)。
コメントありがとうございます。
削除今回の殿堂入りは下馬評通りといった結果になりましたね。
マダックスは史上最高の技巧派投手という評価を得ていますし、ステロイド全盛の時代に活躍したことでさらに評価を高めています。
今回のブレーブス勢の殿堂入りは妥当といっていいでしょう。
トーマスに関しては本文中の打撃三冠のタイトル獲得経験はないと書いてしまいましたが、スカーバラさんのおっしゃる通り一度首位打者をとったことがありましたね。
訂正させていただきます。
殿堂入り選考基準はあまり低くしてしまうと殿堂入りの価値を低くしてしまうので難しいところでしょう。
基準よりは投票者の質を考えるのもアリかもしれません。
野茂に関しては残念でしたが、10年プレーすると自動的に資格が発生してしまいますからやはり下位切りは必要なのかなとも個人的には思います。
ジャック・モリスは本当に気の毒としか言いようがないですが、セイバーが発達した昨今ではどうしても評価しづらい投手ですし、いつかベテランズ委員会に救済されるといいですね。