2014年2月13日木曜日

デレク・ジーターはラストイヤーに

デレク・ジーターが今季をラストイヤーとすることに決めた。
ジーターと言えばヤンキースのみならずMLB全体の顔であり、最も人気のある選手だ。
現時点で通算成績は
2602試合 打率.312 3316安打 256本塁打 1261打点 
出塁率.381 OPS.828 348盗塁
打撃三冠のタイトル経験こそないがヤンキースを5度もワールドチャンピオンに導いたまごうことなきレジェンドだ。
通算安打数は現時点で歴代10位。
今季レギュラーとして長期離脱なしにプレーできれば6位のキャップ・アンソンが持つ3435安打は超えられるはずだ。
引退から5年後の一発殿堂入りも間違いないだろう。

さて、ジーターの輝かしいキャリアについては実際に引退する際に振り返るとして、彼の引退でヤンキースはある大きな問題に直面することになる。
それはジーターの後釜不在だ。
ジーターの後継者として最初はエデュアルド・ヌネスが注目されていたがここまで成長はなく、既に26歳で守備も拙い。
とてもじゃないが彼をジーターの後釜に据えることはできないだろう。
かといってヤンキースのマイナーにそれほどの逸材がいるかというとそういうわけでもない。
たび重なる補強で枯渇してきたヤンキースのマイナー組織は特に内野手の層が非常に薄い。
当然ジーターの後釜候補などいるはずもなく、現状はさらなる補強かトレードくらいしかあてがない。
現時点で2015年FAになることが決まっている有力なショートはアズドルバル・カブレラ(インディアンズ)とハンリー・ラミレス(ドジャース)の二人。
ただラミレスはドジャースが契約延長する可能性も高いので(早ければ今オフ中にも)、現実的なのはカブレラの方だろうか。
インディアンズはマイナーにフランシスコ・リンドーアというプロスペクトがおり、彼がいる以上カブレラとの長期契約というのは考えにくい。
昨季は不振だったカブレラだがある程度成績を戻せばFA市場に打って出ることになるだろう。
トレードを活用するならばトロイ・トゥロウィツキ(ロッキーズ)やスターリン・カストロ(カブス)あたりが候補になってくるかもしれない。
トゥロは近年チームが不振だっただけに何度かトレードの噂も出ており、オプションも含めれば2021年まで大型契約が残っている。
リーダーシップも評価が高く、現役最高のショートストップと言われているだけに彼を獲得できればジーター以上の選手が手に入ることになる。
ただ残念なことにヤンキースにはそれに見合うプロスペクトがいない。
当然ロッキーズ側も半端なプロスペクト相手ではトゥロを出すことはないだろうし、チーム自体が上向きになればそもそもトレードの可能性も消える。
そう考えると狙い目なのはカストロの方か。
彼は今23歳で2019年までの契約(オプションを含めれば2020年まで)も残っている。
普通に考えればトレードの可能性はないが、長期契約1年目で躓いたことで少し評価が下がっている。
まだサラリーは低いとは言え、カブスにはセカンド、ショート、サードにそれぞれトッププロスペクトがいる。
頑丈さは評価に値するがパワーはそれほどではないのに四球をあまり選んでくれないところやエラーの多さなど現代の基準では評価しづらい選手だ。
せめて3割前後打ってくれればいいのだが、もし今季もあまり打撃が戻らなければトレード候補になってもおかしくないだろう。
もちろん問題はヤンキースにカブスが欲しがる選手がいるのかどうかなのだが。

ショート補強は急務となっているが、現状で一番現実的なのは来オフのFAでのカブレラ獲得だろう。
結局若返りを図ることはできないが、ヤンキースである以上何もせずにいることはできない。
後釜問題は常についてまわるが、とりあえず今季はジーターがリベラのように有終の美を飾ることが理想だ。


2 件のコメント:

  1. スカーバラ2014年2月20日 17:54

     ジーターもついに引退ですか。ポサーダ、リベラと近年のヤンキース黄金期を支えた選手が次々と引退し、一つの時代が終わったという感じがしますね。私はヤンキースというチームは好きではありませんが(その理由は優勝しすぎだから)、個々の選手が嫌いなわけではなく、ジーターは大リーグ史上最高の遊撃手の一人だったと思います。寂しいですね。

     さて、名選手が引退してしまうと後継者がいないというのはよくあることですが、「容易に代替がきかない」のが名選手というものなのでこれはある程度仕方ありません(空白なくうまく次代の名選手に交代するという例は極めてまれ)。もしも空白を防ぐために他チームで名選手として活躍できるような選手を囲い込んでおくとすれば、その選手にとっても大リーグ全体にとっても有害でしょう。ヤンキースは全体戦力が大きいのですから一人名選手が抜けたからといっても、戦力面からは比較的に容易に補いがつくと思います。
     考え方によっては名選手に頼らず、容易に代替のきく選手のみを用いて総合力で勝利するチームこそ究極のチームと言えるかもしれません。ただ、そんなチームが実現すれば、ファンからは「魅力に乏しい」と考えられる可能性が高いでしょう。

     名選手の引退は寂しいことですが、引退を表明した選手のラストイヤーをファンが味わうことができるのは素晴らしい(昨年のリベラのように)。もしも大相撲みたいに「引退を表明した選手はもうフィールドに立つことは許されない。なぜなら他の選手に失礼であるからだ。」などという発想が存在していれば(困った風習である)、ファンの最後の楽しみも選手への感謝を表す機会も奪われることになっていました。本当、野球でよかったです。何とか怪我なく有終の美を飾ってほしいですね。

     余談。ジーターはニューヨークの誇り、ミスターヤンキースであることを納得するような映画がありました。『アザー・ガイズ』というコメディ刑事映画で、主人公の刑事が左遷された理由が「ワールドシリーズの第7戦の直前にジーターを暴漢と間違って撃ってしまい。その結果、ヤンキースがナ・リーグ王者に負けてしまった」ためというものでした。ジーター自身が本人を演じており、しかも、顔見せ出演レベルなのに確かエンディングのキャスト欄の筆頭に名前が出てました。機会があればご覧ください。

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    1. コメントありがとうございます。
      ジーターはライバルチームの選手すら尊敬の念を隠せない偉大な選手でしたから、彼の引退はやはりMLBの一時代の終わりを感じさせます。
      彼と同等のスター性を持つ選手をヤンキースに期待するのは難しいですが、今後ヤンキースのショートに定着した選手は常にジーターと比較されるのだと考えるとそのプレッシャーは並みのものではないでしょうね。
      私自身別段生え抜き至上主義者というわけではないですが、ジーターの後釜はなんとか生え抜き選手であってほしいとは感じます。
      アザー・ガイズという映画は存じ上げませんでしたので、機会があれば見てみたいと思います。

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