2013年11月26日火曜日

今オフ最大の注目選手ロビンソン・カノの契約はどうなる!?

ヤンキースというチームはMLBにおいて特別だ。
デレク・ジーターがMLBの顔となったのも、彼自身の実力やスター性に加えてヤンキースという特別なチーム一筋でやってきたという要素が不可欠だ。
そんなヤンキースで今やチームの顔と言えるのが現役最高の二塁手となったロビンソン・カノである。
今オフFA市場最大の目玉となっているカノは10年305Mドルの超大型契約を要求していると言われる。
つまり市場最大の契約を求めているわけだ。
彼にそこまでの価値があるかどうかはともかく、ヤンキースはもし例年通りならばカノの10年契約をあっさり交わしてしまっていたかもしれない。
しかし今オフのヤンキースは、というより近年のヤンキースは今までとは違う課題を抱えている。
まず一つが年俸総額削減だ。
ヤンキースは近年大金を投じて常にFA市場の中心で有り続けた。
大物選手が市場に出てくれば必ずヤンキースの名が挙がってきたし、実際に2008年オフにサバシア、テシェイラ、バーネットと目玉を揃って獲得したこともあった。
そんな金満ヤンキースだが、そうやって獲得し見境なく長期契約を与えてきたツケがここにきてまわってきたのだ。
ぜいたく税のラインを常に上回ってきたためもし来季の年俸総額が1億8900万ドルを超えてしまうと50%もの税率を課されることになってしまう。
そこで一度リセットするために是が非でも年俸総額を削減しなくてはならない。
しかしここで二つ目の問題であるチームの成績とヤンキースというブランドが絡んでくる。
ヤンキースというチームは常に勝ち続けなければいけない勝利を義務づけられたチームであることは周知の通りだが、今季はプレーオフに出場することも叶わなかった。
主力に怪我人が相次いだことが大きな原因の一つだが、高齢化によるチーム力低下は言うまでもない。
つまりは現有戦力では強豪揃いのア・リーグ東地区では勝ち抜くことができないということになる。
とりわけワールドチャンピオンに輝いたライバルであるレッドソックスとは対称的なチーム状況なのだ。
この状況を打開するためにはなにをすべきか。
それはやはり補強である。
年俸総額は削減したいしチームの高齢化にも歯止めをかけたい、さらには補強して来季はプレーオフにも進出したいという非常に困った状況だ。

そこで今オフ最重要課題とも言えるカノの去就だ。
こんな状況のヤンキースがそう簡単に10年305Mドルなどという大型契約を締結することなどできはしない。
しかもカノと再契約できればそれで終わりというわけではなく、他のポジションにも課題は山積みなのだ。
例えば先発投手だ。
もはやエースではなくただのイニングイーターと化してしまったサバシアが復活する保障はどこにもなく、黒田とも前年より少し上積みした金額で再契約しなくてはならない。
ポスティングが実現し田中を獲得することができれば理想だが、どちらにしろアローヨ、ノラスコ、ガーザ、ヒメネスなどFA市場に出ている投手の中から誰かは獲得することになるだろう。
さらには捕手には先日5年契約でマキャンを補強した。
また野手ではグランダーソンとの再契約や内野のバックアップ選手の獲得なども課題として残っている。
これらを全てこなし、なおかつカノとも再契約してしまうと1億8900万ドルなどという額は超えてしまうことになるだろう。
つまりどちらもとるということはできず、カノと再契約し他の補強もして来季もぜいたく税を課せられるか、カノをあきらめ制限の範囲内の補強で来季に備えるか、あるいはカノ以外に大きな契約をせずほとんど現有戦力だけで戦うかという3択しかないのだ。
しかし現実的には3つめの選択肢をとる可能性は低く、すべてをとるかカノだけを諦めるかの2択になりそうだ。
もしヤンキースがカノと再契約する場合は、その契約内容は他のチームの条件提示次第ということになる。
心情的にはカノはヤンキースでフランチャイズプレイヤーとしてキャリアを終えたいはずで、他チームがヤンキースとほとんど同条件しか出せないのなら少々グレードダウンしても残留することになるはずだ。

ヤンキース以外でカノに高額オファーができるチームはどこがあるかというと、超金満化したドジャースや債権途中で数年以内に逆襲したカブスなどの名前が挙がる。
ドジャースは実際2塁手が弱点の一つになっており、今季2塁を守っていた堅守のエリスのオプションは破棄している。
しかしこのオフにはキューバからアレクサンダー・ゲレーロという26歳の二塁手を4年28Mドルで獲得しており、彼を使っていくつもりならカノの存在はむしろ邪魔になってしまう。
彼は遊撃手としても使えるためラミレスを再び三塁手で使ってカノを獲得する手もあるが、既に超大型契約を抱えているドジャースがそこまでするかは疑問だ。
カブスに関してはかなり面白い存在と言えそうだが、まだまだチーム力が整備されていない今の状況でそこまでの博打を打つ可能性はやはり高くない。
そうなるとやはりヤンキース残留という線が濃厚になってくるだろう。
契約は交渉の末7年200Mドル前後になるだろうか。
そう簡単に決着がつきそうにはないが、ヤンキースファンとしてはもはやぜいたく税など無視してさらなる大型補強に励んでほしいものである。
とにかく中途半端になることは避けなくてはいけない。



2 件のコメント:

  1. MLBでやる「大型契約」って滑稽ですよね。
    全盛期に好成績を残して、後は下降線をたどるだけの存在になぜそこまで大金を積むのか、これはよくわからないです。
    近年の大型契約で成功例と言えば、カージナルスのマット・ホリデイぐらいでしょうか。
    過去から分かるように成功例はほとんどないのに、なぜこんな「大型契約」をするのでしょうね。
    カノーに関しても例外ではないでしょうし、彼の場合は「超大型契約」を望んでいるようですが、ほとんど無理なことぐらい分かるのではないでしょうか?
    個人的にヤンキースはこの要求を無視して新たなプロスペクトを探すべきだと思います。
    数少ない生え抜きと言えど、彼はAロッド以上の成績を残していたとは思えませんし、要求額は明らかに不当なものです。
    ただ、カノーを手放せばヤンキースは暗黒時代に入りそうですね。

    結論
    「大型契約」というのは過去に残した成績へのご褒美ですね。
    Aロッド、アルバート・プーホールズ、ライアン・ハワードなどはもう過去の人です。

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    1. コメントありがとうございます。
      確かに大型契約に関しては色々思うところはありますね。
      実際のところ、不良債権化の印象が強過ぎはしますが例えばA・ロッドが25歳の時にむすんだ最初の10年250Mドル、マニ・ラミレスが28歳の時に結んだ8年160Mドル、カルロス・ベルトランが27歳の時に結んだ7年119Mドルの契約など5年100Mドルを超えるような大型契約にも明らかに成功と言えるものは存在します。
      しかしそういった契約はたいていが20代後半に結ばれたもので、つまりは全盛期に入ろうかという時期からスタートしたものです。
      そこを考えるとやはり長期大型契約を結ぶ際は20代後半であることは必須なのではないかと思います。
      30代に入ってからの7年以上の契約には大きなリスクを伴いますし、それで成功したという例はほとんどありません。
      今回のカノの契約も彼がほとんど怪我をせずに攻守に渡って活躍できる選手であることを考えても10年というのは非常にリスクが高いです。
      チームとしての理想を言えば5年、両者の妥協点としては7,8年ということになるでしょう。
      しかし今のヤンキースにおいて彼が数少ない生え抜きスターであることを考えれば、ジーター引退後は彼がいなくなれば人気面で大きな打撃は受けてしまうはずです。
      そういった面からやはりヤンキースとしてもある程度妥協しなくてはならないのでしょう。
      それでも史上最高額の契約というのはやりすぎですから、一度それをはねのけているヤンキースは今のところ賢明ですね。

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