2013年11月13日水曜日

注目のFA5選手〈投手編〉

1.アービン・サンタナ(31) ロイヤルズ→?
32試合 9勝10敗 防御率3.24 211.0回 161奪三振 51四球 26被本塁打 WHIP1.14
ネームバリュー的にはカノなどがいる野手に比べてやや小粒感があるが、防御率3点台前半で200回以上投げた今季のサンタナの活躍は勝敗はともかくとしてエース級といっていいものだった。
怪我なく四球も少ない安定した投手で、スライダーという絶対的なウィニングショットも持っている。
しかし以前は隔年投手で、いい年と悪い年がはっきりしているタイプではある。
実際2012年は防御率5点台とかなり調子が悪く、さらに一貫して被本塁打が多いという弱点がある。
この年ごとの波の激しさをどう捉えるか。
いい年は2,3番手クラスの働きをする好投手ではあるが、少々リスクがあるのも確かである。


2.ウバルド・ヒメネス(30) インディアンス→?
32試合 13勝9敗 防御率3.30 182.2回 194奪三振 80四球 16被本塁打 WHIP1.33
復活した元エース。
球速低下が顕著で2011年から2年連続成績悪化させもはや復活は無理かと思われていたが、今季は再び信頼を取り戻すことに成功した。
今季も序盤酷いスタートを切っていたが6月頃から安定し始め、そこからは月を追うごとに凄みをまして行き9月には4勝0敗 防御率1.09という圧倒的な成績を残した。
完全復活したオールスター明け以降は防御率1.82であり、これが本当の復活なら来季以降彼はエース級の活躍をすることになるだろう。
とは言っても球速が全盛期並みに戻ったわけではなく四球の多さも改善されたというわけではない。
それでも今季後半の活躍ぶりを見れば再び支配的な投球をみせるヒメネスを期待せざるをえない。


3.AJ・バーネット(37) パイレーツ→?
30試合 10勝11敗 防御率3.30 191.0回 209奪三振 67四球 11被本塁打 WHIP1.21
パイレーツへ移籍してからはヤンキース時代とは別人のような投球を見せるようになり、2年連続で躍進するチームを引っ張る原動力となった。
今季は200イニングこそいかなかったが2008年以来となる200奪三振は達成しており、今がキャリアで最も成熟した投球をみせていると言ってもいいかもしれない。
ただし年齢による衰えは確実にやってきており、今季は8月9月と調子を落としていることからも体力的にフルシーズンを戦うにはやや厳しくなってきているのかもしれない。
長期契約にはリスクがありすぎるが短い年数であれば彼は獲得するメリットは大きいと言える。
特に彼の場合は大都市でプレッシャーのかかるチームよりはスモールマーケットでのんびりやれるチームの方が向いているだろう。


4.黒田博樹(39) ヤンキース→?
32試合 11勝13敗 防御率3.31 201.1回 150奪三振 43四球 20被本塁打 WHIP1.16
エースサバシアが絶不調に陥ったことで先発ローテーションの柱として今季もチームを引っ張った黒田だが、やはり年齢による体力の衰えがあらわれだしている。
シーズン途中までは防御率のタイトル争いも繰り広げていたのだが8,9月と二ヶ月連続で防御率5点台の不調で一気に成績を落とした。
それでも200回を達成しているのは流石だが、来季も同じようなパフォーマンスをみせるのは少し難しいだろう。
ヤンキースに1年1500~1800万ドル程度で残留となる可能性が高いが、ノバが成長して計算できる投手になっており待望のピネダも復帰するので来季は今季ほど黒田に重荷がのしかかることはないと思われる。


5.マット・ガーザ(30) レンジャーズ→?
24試合 10勝6敗 防御率3.82 155.1回 136奪三振 42四球 20被本塁打 WHIP1.24
以前からトレードの候補となっており、FAになる今季は好成績を残しつつ満を持してレンジャーズへ移籍。
しかし移籍後は防御率4.38と不調で期待を裏切る結果となった。
またこの2年は怪我も多く、被本塁打の多さも改善されていないなど商品価値は当初より下がりつつある。
しかしメジャーで先発ローテーションに定着してから毎年安定して防御率3点台の成績を残しており、投げさえすればある程度計算できる投手でもあるため、ローテーションの3,4番手あたりにおけるのであれば優秀な部類に入る。
エース級の活躍は期待できないが、どこへいってもそれなりにやってくれるだろうという安心感はある。


”番外編”
田中将大(24) 楽天→?
今や時の人と言える今季無敗の日本最強の投手は、FAではないがポスティング移籍を実現させる可能性が高い。
ポスティング制度が凍結されていたり、日本シリーズでの酷使ぶりで周りをヒヤヒヤさせるなど障害もないわけではないが、もしポスティングを利用することになれば入札額は日本人投手史上最高の額となるだろう。
彼に期待されるのはダルビッシュと同等以上の成績で、つまりはサイ・ヤング賞を狙うエース級だ。
今回は金満ヤンキースやドジャースから大きな注目を浴びているということでポスティング・フィーだけで1億ドルに達するのではないとの予想もあるが果たしてどうなるのか。
もし落札額が1億ドル、契約自体が6年6000万ドルということになれば、球団としては実質6年1億6000万ドルの投資で田中を獲得することになる。
つまり年単位では2600万ドル程度の期待値ということになるが、これはMLBの投手で最高クラスの契約であるザック・グレインキーの6年159Mドルに匹敵する。
報道は加熱気味だが冷静に考えればそれだけの投資をMLBでの実績がない投手にするということは現実的ではないのではないかと個人的には思う。
いくら田中が日本で圧倒的で、若い投手だとしてもだ。
となるとやはり基準になるのはダルビッシュだが(ダルビッシュ以上のものになる可能性は高い)、それでもその額を今投資できるのはヤンキースかドジャースくらいだろうか。
年俸総額を削減したいヤンキースとしても、ポスティング・フィーは年俸扱いにはならないため田中は今最も欲しい投手だろう。
いずれにしてもまず田中がポスティングでのメジャー挑戦を表明しないことには周りがどれだけ騒いでも意味がないと言えばその通りなのだが果たして・・・


2 件のコメント:

  1. ロイヤルズのジェームズ・シールズもFAじゃなかったですか?
    もしFAなら最も注目されるはずですが・・・
    QS%は今季ア・リーグ1位ですし、7年連続で200イニングを投げています。

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    1. コメントありがとうございます。
      おっしゃる通りシールズはFA市場に出れば最も注目される存在ですね。
      しかしシールズの契約では2014年は13.5Mドルの球団オプションがあり、優勝したいロイヤルズはこれをほぼ間違いなく行使するだろうと考えて今回は外しました。
      同じ理由で2014年13Mドルの球団オプションのあったジョン・レスターも記事からは除外しています。
      ちなみに記事中にも挙げたヒメネスは8Mドルのプレイヤー・オプションを持っていましたがこれを行使しなかったためFAになっています。

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