2013年10月31日木曜日

2013年ワールドシリーズ Game6 <レッドソックス優勝>

STL 000 000 100 1
BOS 003 300 000 6
勝利投手:ラッキー
敗戦投手:ワカ

彗星のごとく現れた若き右腕も負ければ終わりの重圧には耐え切れなかったか。
レッドソックスが大手をかけて臨んだこの試合、先発したのは好調の若手ワカとリリーフでも登板したベテランのラッキーだった。
第二戦でも同じ対決だったがその時勝ったのはワカのほう。
今回カージナルスは絶好調のMVP候補オルティズとは危険な場面では勝負しないという徹底した作戦をとった。
その結果オルティズが打つことはなかったものの4四球(3敬遠)で4度も出塁を許すことになってしまった。
そして不調だった後ろの打者たちに打たれ作戦が裏目に出てしまったのだ。
短期決戦においてはカージナルスのとった戦法は決して間違っていなかったが、結果的にレッドソックスの意地がそれを上回ったと考えるべきだろう。
早い段階で点差をつけたレッドソックスは7回にピンチを迎えたもののその後はこのシリーズ防御率0.00の田澤、ワークマン、上原の盤石のリレーで試合を終わらせた。
最後は上原が三振でしめて日本人初のワールドシリーズ胴上げ投手になった。
このシリーズの明暗を分けたのは、絶好調と言えるような打者が打線に一人でもいたかどうかという部分に加え、レッドソックス先発投手がほとんど試合を壊さなかったという点だろう。
また先発投手のできがあまりよくないと見るや早い回でも投手を変えたファレル監督の判断の速さも大きな要因になっているはずだ。
結果的にレッドソックスにはこのシリーズで4失点以上した先発投手はおらず、チーム全体でも1試合の平均失点は2.33と短期決戦らしく投手力がものを言った。
もちろんそこには田澤・上原という日本人コンビも大きく貢献している。

MVPを獲得したのはデビッド・オルティズだ。
6試合全てに出場し打率.688 2本塁打 6打点 出塁率.760 OPS1.948と驚異的な活躍だった。
レッドソックス打線自体あまり好調とは言えなかったことを考えると彼の存在の大きさは計り知れない。
個人的には初戦・第五戦という非常に大事な2試合でエース対決を連続で制したジョン・レスターもふさわしかったように思う。
2勝0敗 防御率0.59 15.1回 15奪三振 1四球という数字はオルティズがいなければ間違いなくMVPだったであろうものだ。
両者ともに素晴らしかっただけに野手と投手どちらの貢献度が高いのかという話になってくるのでもはやこれは考え方の問題とも言える。

さてレッドソックスがホームでワールドシリーズ制覇を決めたのはルースが所属していた1918年以来の95年ぶり。
このような記念すべきシリーズに日本人投手が二人もおり、しかも優勝に大きな貢献をしているのだからすごいものだ。
上原も田澤もずっとこの舞台を夢見てきただけに万感の思いだろう。
Congratulations Red Sox !!

2 件のコメント:

  1. スカーバラ2013年11月4日 17:58

     少し日が経ってしまいましたが感想を。

     レッドソックスが3年ぶりの世界一。本拠地で優勝を決めたのは1918年以来のことだそうで、ファンの喜びもひとしおでしょう。2004年にベーブ・ルースの呪いを解いて以来、9年間で3回目のワールドチャンピオン。85年間、あらゆる艱難辛苦を味わってきたボストンのファンにとってここ最近は夢のようなこ状況だと思います。

     さて、カーディナルスの敗因ですが、明らかに調子のよくなかったワカを4回も続投させたことがまずかった。どうせ交代させるのなら4回頭から継投に入った方が勝機があったのではないでしょうか。序盤のチャンスを逃したのも痛かったです。
     一方、レッドソックスのヒーローは、投のラッキー、打のビクトリーノ。特にラッキーは中2日でありながら粘りのピッチングでチームを支えました。見事でした。

     このシリーズはあらためてデビッド・オルティーズのすごさを思い知りました。打席における迫力がすさまじい。打率6割8分8厘(後一回四死球があれば7割超えだった)。MVPは当然です。ただ、レスターにもあげてほしかったですね。

     上原に関しては、大リーグになじんで「はじけている」という感じです。大リーグに行く日本選手の中には妙に陰鬱になって周囲に壁を作るような人もいますが、上原は真逆のようでまことに素晴らしい。先発では挫折しリリーフに活路を見出し紆余曲折の末ついに頂点に立った。まさに「雑草魂」です。

     田澤に関しては、直接大リーグを目指し、苦労の果てやっと晴れ舞台に立ち活躍しました。その根性に頭が下がります。私は野茂に次ぐ先駆者ではないかと思っています。
     残念ながら、今、日本球界では田澤のように直接メジャーを目指す選手を抑圧しようとしていますが、情けない島国根性というほかない。太平洋の広さを考えれば直接メジャー挑戦という選手がそうそう現れるとは思えないし、その心意気を買おうという発想はないのか?

     さて、今回のレッドソックスの優勝でア・リーグは3年続いていたワールドシリーズ連敗をストップしました。それはそれでいいのですが、一方で気になることもあります。今年を入れてワールドシリーズはホームフィールドアドバンテージを有する方が5連勝となりました。個人的には夏のオールスターゲームの勝敗と秋のワールドシリーズのホームフィールドアドバンテージをリンクさせることの是非をそろそろ再検討すべきだと思っています。ホームフィールドアドバンテージの重要性を考えるとたった一試合の球宴の勝敗でその帰趨を決していいのか検討する必要があるでしょう。そもそもこの制度、本来の目的である球宴の活性化に役立っているとは思えない(球宴の権威失墜を招いている最大の要因である頻繁な選手交代が改まっていないばかりか、直前先発投手の登板禁止や全試合DH制導入などマイナス要素が増えている)。私自身は2002年以前のようにア・ナ隔年アドバンテージがベターだと思っていますが、そうでなければNBA、NHLのようにシーズン成績のよい方にホームフィールドアドバンテージを与える方が合理的ではないでしょうか。

     もう一つ、今は選手成績をポストシーズン全体で表示することが増えていますが、私はこの方法があまり好きではありません。シリーズごとに見る場合、成績が分かりにくいからです(特に今調子がいいか悪いか)。今回だってオルティーズが7割近い打率だったことも全体表示でははっきりしませんでした。個人的にはシリーズごとの成績表示を原則にしてほしいです。

     これで今年の大リーグも終わり、個人賞やオフの移籍がどうなるかに興味が移ります。
    また来年面白い試合を見せてほしいですね。

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    1. またまた素晴らしいコメントありがとうございます。
      確かにホームアドバンテージの重要性ということは少し考える必要があるかもしれませんね。
      野球はバスケやサッカーなどに比べるとホーム・アウェイでの有利不利というものが出にくい競技ではありますが、それでも5年連続でホーム側が勝っているということはその影響力は決して軽視できないものであるということでしょう。

      これからのアワードや移籍の行方は非常に気になるところです。
      早速カムバック賞なども発表され、リベラとリリアーノが受賞しましたね。
      リベラにとってはおそらく最後の賞、そしてリリアーノは2度目の受賞となかなか濃い結果になりました。
      後は日本のファンにとっては岩隈、ダルビッシュがサイ・ヤング受賞なるかというところが最も気になるのではないでしょうか。

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