2013年6月2日日曜日

岩隈久志、サイ・ヤング賞の可能性は?

今季のMLBでは日本人投手の活躍が目覚しいが、その中でも最も安定した活躍を見せているのが岩隈だ。
今季の詳しい成績と順位は以下の通りだが、岩隈のサイ・ヤング賞受賞の可能性を検証し、レースの行方を予想する。

6勝1敗(リーグ7位) 
防御率2.13(リーグ2位)
80.1回(リーグ3位)
被安打57
被本塁打10
74奪三振(リーグ7位)
13四球
WHIP 0.87(リーグ1位)
被打率 .199(リーグ9位)
被本塁打率 1.12(リーグ23位)
奪三振率 8.29(リーグ14位)
与四球率 1.46(リーグ5位)
K/BB 5.69(リーグ2位)
FIP 3.36(リーグ13位)
xFIP 3.25(リーグ10位)
tERA 2.95(リーグ4位)

これらのデータを見ると、岩隈はほとんどの分野でリーグでもトップ10に入る活躍を見せていることがわかる。
ここから岩隈の不安要素について導き出していこう。


①球威の無さと本拠地の恩恵
岩隈の平均球速は90mph前後で、これはMLBのスターターの平均にも満たない。
球速がなくても活躍する投手というのは数多くいるわけだが、球威がないと被本塁打が打たれやすくなるというのはいかんともし難い宿命だ。
同じく日本人メジャーリーガーの上原も球威がないながらも驚異的な奪三振力と制球力を誇るのは周知の通りだが、打たれるときは簡単にホームランにされてしまう。
上記のデータを見てもわかるとおり、岩隈は被本塁打に関する項目だけは好水準とは言えないレベルにある。
特に(本塁打に限らず)よく打たれているスライダーについては使い方を少し考えたほうがいいかもしれない。
しかしこれもまだ本拠地のおかげで助かってるほうだとも言える。
今季の岩隈のホーム・アウェイでの成績をそれぞれ見てみると以下のようになる。
ホーム 33.2回 防御率1.34 被本塁打2 WHIP0.59
アウェイ 46.2回 防御率2.70 被本塁打8 WHIP1.07
アウェイでも防御率はいいが、被本塁打数は跳ね上がってしまい、ランナーを出すことも多い。
昨年も同じような傾向があり、湿度が高くボールが飛びにくい本拠地の恩恵を受けているのは確実だ。
こういう部分はニュートラルな、あるいは打者有利な本拠地を持つ投手がライバルになったときには大きなマイナスポイントになってしまう。


②怪我の危険
岩隈は今季が開幕から先発ローテーションに加わったいわばフルシーズン1年目であり、中4日のローテーションを一年間守り通した経験がない。
その上元々怪我の多い投手であり、MLBではマリナーズの特別なプログラムで強化したと聞くが、やはり不安なことには変わりない。
また年間通した場合のスタミナが持つのかどうかという部分も気になる点だ。
ある程度慎重な起用を受けてはいるものの、とにかく夏場は正念場になるだろう。
他のサイ・ヤング賞候補と比べて経験の少なさが予測を難しくしている。



③強力なライバル
岩隈自身の問題は上記の被本塁打と本拠地についてのみだが、今季は強力なライバルが同じリーグにいる。
それは当然今季大ブレイクしているクレイ・バックホルツだ。
簡単な成績だけピックアップすると

7勝0敗(リーグ2位)
防御率1.73(リーグ1位)
72.2回(リーグ11位)
被安打49
被本塁打2
73奪三振(リーグ8位)
27四球
WHIP1.05(リーグ6位)

制球に関しては岩隈が圧倒しているものの、打たれないということと打線の援護ではバックホルツが上回っている。
もちろんこのまま防御率1点台で無敗のままなんて簡単に行くことはまずないが、もし岩隈とバックホルツが同程度の成績で並んだ時は、①の本拠地の恩恵というものが影響してくるはずだ。
バックホルツはホーム防御率が2.01でアウェイ防御率が1.29だが、彼はどちらかというと打者有利なフェンウェイパークを本拠地にしている。
そのため成績に大きな差がなければ間違いなくバックホルツの評価が高くなるだろう。
これに関してはダルビッシュや黒田がライバルとなったときも同じことが言える。
ヒッターズパークを本拠地にする彼らは、好成績を残せば数字以上の評価を得るだろう。
また同僚のヘルナンデスがライバルになる可能性も高く、その場合は同じチームということで岩隈もかなり比較されるはずだ。


以上の3点が岩隈の不安要素になるが、実際に受賞できる可能性はそれなりにはあるのではないかと思う。
現在候補1番手がバックホルツであることは間違いないが、今の岩隈はレースの2,3番手にはつけているはずだ。
個人的にはヘルナンデス受賞の可能性が高いだろうと予想している。






0 件のコメント:

コメントを投稿